採用手法
採用活動
2026.2.9
この記事の監修者:
株式会社アズライト 佐川稔

「採用活動を計画通りに進められない」「どの手法で採用すべきか分からない」
このような悩みを抱える採用担当者は少なくありません。
採用活動は、事業の成長に必要な人材を安定的に確保するための経営プロセスです。
新卒・中途採用ともに人材の獲得競争は激しく、求職者が企業を選ぶ時代へと変化しています。企業は適切な手法を取り入れ、計画的に採用活動を進めることが重要です。
本記事では、採用活動の基本から主な手法、スケジュール、選考プロセス、成果を出すためのポイントまでをくわしく解説します。

採用活動とは企業が経営方針や事業戦略にもとづき、人材を確保するプロセスのことです。
広報やブランディング、候補者体験も採用活動の一部として認識され、採用の範囲は年々広がっています。
近年は、「人材の獲得競争激化」による「採用チャネルの多様化」が進んでいます。厚生労働省の調査によると、約8割の企業が中途採用を行っている状況です。内閣府の別の調査では、新卒採用の選考開始が6月1日からにもかかわらず、約9割の就活生が6月に内々定をもらっています。

(引用:厚生労働省「人材の確保・定着に成功した 企業の取組事例集」)

(引用:内閣府「学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査」)
これらの状況から、多くの企業はさまざまな手法を活用して、人材確保に注力しています。採用戦略は人事担当者だけでなく、経営層や現場と連携しながら全社で取り組む活動です。

採用活動の目的は企業の事業成長を支える人材を確保し、組織の生産性を高めることです。時代の変化に伴い、ITやマネジメントスキルなど多様な経験と知識が求められます。企業はこうした変化に対応するため、長期的な視点で人材戦略の設計が必要です。
適切な戦略設計によって得られる具体的な成果は、以下のとおりです。
企業の成長スピードの加速
採用コストの削減
顧客や求職者からの信頼獲得
経営の安定性強化
社内コミュニケーションの活発化
人材確保は経営課題の中心であることが多く、採用の質が事業成長の速度を左右します。企業は短期的な採用成果にとどまらず、中長期的な組織づくりを見据えて設計することが重要です。

採用活動は企業の目的やターゲットに合わせて、さまざまな種類や方法があるため、活用に悩む人事担当者は少なくありません。企業はトレンドである採用方法を適度に取り入れることで、効果的な母集団形成が可能です。
ここでは、採用手法の特徴と活用ポイントを1つずつ解説します。
特徴 | 専門の紹介会社が自社の要件に合った候補者を選定する |
|---|---|
メリット | 採用担当者の工数を削減できる・人材のマッチ度が高い |
採用ターゲット | 専門職・管理職のピンポイント採用 |
人材紹介は人事担当者の負担を減らしながら、自社が求めるスキルを持つ人材を効率よく採用できる手法です。報酬体系の多くは成功報酬型で、採用コストが膨らんでしまいかねません。
ただし、経験値の高い候補者を短期間で採用できるため、人材紹介は即戦力になる候補者を早急に確保したい場合に最適です。
人材紹介の詳細についてはこちら≫
特徴 | 企業が求人情報を掲載し、求職者からの応募を待つ |
|---|---|
メリット | 幅広い層に届けられ、短時間で多くの応募を集めやすい |
採用ターゲット | 大量採用や若手・未経験層 |
転職サイトは多くの求職者に一斉に情報を届けられるため、母集団形成に適しています。人事担当者は、魅力の伝わる求人票作成をするために工夫が欠かせません。
幅広く母集団形成を行いたい企業におすすめの採用手法です。
特徴 | 社員が知人を自社に紹介する |
|---|---|
メリット | 採用コストを抑えられる・入社後のミスマッチが少なく、定着率が高い |
採用ターゲット | カルチャーフィットした人材 |
リファラル採用は社員のつながりを活かして、信頼性の高い人材を採用できる手法です。企業は説明会や転職サイトを通じた発信よりも、自社の魅力をリアルに伝えられます。
多様な人材を確保するために、SNSやオウンドメディアとの併用が効果的です。
特徴 | 企業が候補者を探し、メールで直接アプローチする |
|---|---|
メリット | 企業から能動的に声をかけ、採用ターゲットを絞り込める |
採用ターゲット | 応募が集まりにくい職種・転職潜在層 |
スカウトメディアは、自社が求めるスキルや経験を持つ人材にピンポイントで声を掛ける方法です。スカウト文面や対応スピードによって返信率が変わるため、人事担当者の運用力が重要です。
スカウトを活用した手法は、潜在層への接触や他社との差別化を図りたい企業に適しています。
特徴 | 自社のサイトで企業文化・社員紹介・働く環境を発信し、応募につなげる |
|---|---|
メリット | 自社のブランド力・認知度向上 |
採用ターゲット | 自社の文化・価値観に共感する人材 |
オウンドメディアは短期的な応募数よりも、長期的に候補者との接点をつくるための仕組みとして機能します。就職活動に役立つ記事や社員インタビューを発信することで、求職者は自社の理解を深めます。
オウンドメディアは採用広報と母集団形成を進めたい企業に最適な手法です。
特徴 | 企業が自社の事業内容・職場環境・募集職種を直接説明するイベント |
|---|---|
メリット | 求職者の理解促進と志望度向上に効果的 |
採用ターゲット | 入社意欲を高めたい新卒採用・若手採用 |
会社説明会は、企業の雰囲気や働く社員の価値観をリアルに伝えられる場として効果があります。参加者は社員の発言や表情から企業と合いそうか判断するため、登壇者の選定や当日の進行が重要です。
会社説明会は、候補者との信頼関係の構築に有効な手法です。
特徴 | 一度退職した元社員を再び採用する |
|---|---|
メリット | 即戦力としての早期の活躍が期待できる |
採用ターゲット | 自社理解度が高く、企業成長の中心を担う中堅・管理職層 |
アルムナイ採用は仕事の進め方や社風を理解している元社員を採るため、再入社後に活躍しやすい点がメリットです。ただし、過去の印象だけで判断すると、適性を見誤る可能性があるため、注意が必要です。
再雇用を検討する際は、現在のスキルや希望を改めて確認し、通常の採用と同じ基準での見極めが欠かせません。
特徴 | 複数の企業が集まり、学生や若手求職者と直接交流できるイベント |
|---|---|
メリット | 母集団形成がしやすい・企業の認知拡大・採用ブランディングの強化 |
採用ターゲット | 就職活動を始めたばかりの学生層や若手人材 |
就活イベントは多くの学生と短時間で会えるため、幅広く母集団を形成できる手法です。多くの企業が参加するため、イベント後は興味を示した学生にフォローするといった工夫が重要です。
就活イベントは、認知度を高めたい企業に向いています。
特徴 | 企業情報や社員の様子を発信し、求職者と直接つながる |
|---|---|
メリット | 企業のリアルな雰囲気を伝えられる |
採用ターゲット | 若手やZ世代層・企業文化や働く雰囲気を重視する求職者 |
SNS採用は社員の日常や職場の雰囲気を発信し、求職者に自社を身近に感じてもらう方法です。InstagramやTikTokといったSNSは成果を得るまでに時間がかかりやすいため、企業は運用体制を整える必要があります。
SNS採用は視聴者の共感を集め、採用ブランディングを強化したい企業に最適です。
特徴 | 選考前に企業と候補者が気軽に話す場を設け、相互理解を深める |
|---|---|
メリット | 候補者の不安を解消し、応募意欲を高めるきっかけを作る |
採用ターゲット | 転職を検討し始めた潜在層・企業理解を重視する若手~中堅層 |
カジュアル面談は、お互いの理解を深めることを目的とした採用活動です。企業は仕事内容や働き方の細かな部分まで伝えられるため、応募前の不安や誤解を減らせます。
カジュアル面談は、入社後のミスマッチ防止に役立つ手法です。
説明会やイベント、広告出稿の最適なタイミングに悩む人事担当者は少なくありません。採用スケジュールは新卒と中途で異なり、施策の準備を計画的に進めていくことが重要です。
ここからは、新卒と中途それぞれの活動スケジュールイメージを紹介します。
2026年度の新卒採用では、内閣官房が以下のようにスケジュールを正式に取り決めしています。

(引用:内閣官房「就職・採用活動に関する要請」)
しかし、6月までに約9割の学生が初めての内々定を取得している現状を踏まえると、企業側は次の例を参考に、早期から採用活動を進める必要があります。
卒業前年度の夏〜冬:インターンシップ
卒業前年度1〜2月:インターン参加者の選考準備
卒業年度3月:本選考につなげる準備期間
卒業年度4〜5月:選考ピーク
新卒採用は早期から計画的に活動を進めていき、学生の志望度を高めていくことが重要です。
中途採用では通年で動くことが多く、迅速な対応を前提としたスケジュール設計が求められます。即戦力の確保が企業の事業推進力を大きく左右するため、プロセスの効率化が重要です。
中途採用の一般的な流れは以下のとおりです。
1〜2日:求人要件の整理・募集開始
1〜4週間:応募受付・書類選考・面接
1〜2ヶ月ほど:採用決定・入社
中途採用では欠員補充・事業拡大といった採用の緊急度が高い場合が多く、企業は短期間での意思決定・選考ができる体制づくりが不可欠です。

採用フローが定まっておらず、効率的に進められていない企業は少なくありません。人事担当者は全体の流れを把握し、計画的に進めることが重要です。
ここからは、採用活動の進め方を5ステップで紹介します。
採用活動の第一ステップは、自社の採用目的とターゲットに合った戦略を立てることです。戦略が定まっていないと、チャネルの設定ミスや工数の無駄が発生し、採用効率が悪くなります。
具体的な手法・戦略策定のステップは次のとおりです。
採用ターゲットの明確化
競合分析の実施
採用チャネルの選定
採用メッセージ・魅力の整理
採用体制の整備
企業はターゲットとチャネルを正しく設定することで、質の高い母集団形成が可能です。
採用戦略をもとに、実際の行動計画へ落とし込むフェーズです。人数や時期だけでなく、役割や予算まで一貫して設計することで、採用の抜け漏れや過剰なコストを防げます。
以下は、計画を明確にするステップです。
必要人数の設定
採用時期の見極め
採用予算の設定
チャネルごとのKPIを設定
選考プロセスの設計
採用計画を事前に可視化しておくことで、採用活動が安定し、意思決定のスピードを高められます。
求人・募集の実施では、採用ターゲットに合ったチャネルで自社の魅力を適切に発信し、応募につなげます。人事担当者は情報設計や発信方法を最適化することで、母集団の質を安定させられます。
求人・募集のフェーズで重要なポイントは以下のとおりです。
入社後のイメージを明確にする求人票の作成
求職者一人ひとりに合わせたスカウト送信
SNSやオウンドメディアで社内のリアルを発信
人事担当者は求職者目線に立ち、より自社の魅力が伝わる発信を心がけましょう。
選考は、応募者のスキル・適性・カルチャーフィットを多面的に評価するフェーズです。企業側は候補者に自社で働きたいと思ってもらえる体験を提供することが、辞退防止や最終的な採用成功につながります。
選考実施の際に押さえるべきポイントは、以下のとおりです。
書類選考の精度を高める
面接の質を一定に保つ
レスポンスのスピード管理をする
面接や対応の質が高い企業は候補者からの信頼が高まり、選考途中での辞退を防げます。
内定後から入社・定着までの対応は候補者の不安を解消し、入社後の早期定着を実現するために欠かせないプロセスです。中途・新卒ともに、内定辞退や早期離職は企業にとって大きなコスト損失につながります。
内定・入社後フォローで実施すべき内容は、以下のとおりです。
定期的な面談や連絡
受け入れ部署との連携
メンター制度を導入する
企業は入社前から内定者とコミュニケーションを取ることで、早期戦力化とエンゲージメント向上が可能です。

専任の人事担当者が不在の企業は採用業務にかけられる時間が少なく、なかなか手が回らないことも多いでしょう。採用戦略の精度向上と運用力の強化により、限られたリソースでも成果を出せます。
ここからは、採用活動を実施する際のポイントについて3つ紹介します。
採用・選考基準を明確にすることは、ミスマッチを防ぎ、採用の再現性を高めるために欠かせません。ターゲットがあいまいなまま進めると、スキル不足やカルチャーフィットの不一致が発生します。
採用基準を明確化するポイントは以下のとおりです。
求める人物像の定義
評価軸の整理
評価シートの統一
企業は採用・選考基準を明確にすることで採用の質が安定し、早期離職の防止につながります。
自社のユニークさが伝わる求人内容は、応募の質・量が安定し、採用活動の最適化が可能です。求人票の内容が不十分だと、求職者は入社後のイメージが湧かず、応募の土台に乗らないことも少なくありません。
魅力的な求人内容にするコツは、以下のとおりです。
求める人物像とスキル要件を整理する
待遇・条件を正確かつ誠実に記載する
競合との差別化ポイントを盛り込む
人事担当者は求人内容を丁寧に設計することで、求職者の応募意欲が高まります。
採用活動は実施して終わりではなく、定期的に成果を分析・改善していくPDCA運用が不可欠です。数値で可視化することで、ボトルネックを把握し、次回の採用精度を高められます。
効果測定は、以下のポイントに注目しましょう。
各チャネルごとに数値を測定する
選考スピードを数値化する
辞退率の分析を行う
面接官ごとの評価傾向を把握する
採用単価と最終成果を比較する
企業は測定結果をもとに改善を行い、採用力を底上げしていきましょう。
採用活動は単に人を採るための業務ではなく、企業の成長につながる戦略的なプロセスです。企業は適切なチャネルを活用し、計画・実行・検証を一貫して行うことで、安定した採用成果を得られます。
ただし、新卒や中途でスケジュールが異なるように、ターゲットに合わせて採用活動を進めていく必要があります。明確なターゲットやスケジュール設計をすることで、自社が求める人材が集まりやすくなります。
人事担当者は、求職者に自社の魅力を具体的に伝えることが大切です。常に求職者目線に立った対応を心がけ、採用効率を高めていきましょう。
自社だけで課題解決が難しい場合はアズライトの専門サービスへの相談も検討しましょう。採用活動を成功させる解決策が見つかります。
この記事の監修者
株式会社アズライト 佐川稔
株式会社アズライト代表取締役。採用がうまくいかない優良企業を採用できる企業へ改革するために、戦略・運用に特化した採用コンサルティングファーム「株式会社アズライト」を創業。キャリアに悩む方々のために就活・転職相談BAR「とこなつ家」を池袋にて共同経営中。
関連記事