採用手法
採用方法
2026.1.6
この記事の監修者:
株式会社アズライト 佐川稔

「採用コストが高過ぎる」「応募は来るのに理想の人材が見つからない」
多くの企業が直面するそんなお悩みをもつ採用担当者は多いでしょう。
いま多くの企業が注目しているのが「リファラル採用(社員紹介制度)」です。社員のつながりを活用して人材を紹介・採用するこの仕組みは、単なる“縁故採用”とは異なり、戦略的に組織力と採用力を強化する手法として注目されています。
事実、ベンチャー企業やスタートアップでは、応募数増加・定着率向上・採用コスト削減といった成果を上げており、大手企業でも導入が進んでいます。
本記事では、リファラル採用の定義や縁故採用との違い、導入ステップ、費用相場、メリット・デメリット、成功のポイントまでを網羅的に解説します。

リファラル採用とは、社員が知人や友人を紹介・推薦する採用手法です。(英語の「Referral」に由来)欧米ではすでに一般的であり、日本導入が進んでいる採用チャネルです。
最大の特徴は、自社を深く理解した社員が紹介を行う点にあります。マッチ度の高い採用社風や価値観に合う人材を効率的に見つけられ、求職者側もリアルな情報を得られるため、入社後のミスマッチを防止できます。
また、事前に社風や職場環境を理解しているため「想像のギャップ」が少なく、結果として長期的な定着率が高い傾向にあります。
リファラル採用は、社員のネットワークを活かし、企業文化に合った人材を長期的に迎え入れる、透明性の高い採用活動です。

リファラル採用が注目を集めている背景には、「労働人口の減少」と「採用競争の激化」という二大要因があります。
近年の少子高齢化が進む日本では生産年齢人口が減少し企業間の人材獲得競争が激化しています。特に中小企業では、採用リソースの不足や求人広告への依存により、自社に合う人材に出会えない課題が顕著です。
また、転職サイトなど、採用チャネルが多様化した一方で、求人媒体を通じ優秀な人材の確保は困難になっています。
リファラル採用が注目される最大の理由は、求人広告では届かない転職潜在層への接触が可能な点です。社員の信頼関係を介したこの「潜在層リーチ」は、競合他社との取り合いを避けつつ、質の高い人材を確保できる点で非常に有効です。

リファラル採用と縁故採用は、どちらも「社員などの紹介を通じて採用する」という点で似ています。しかし、選考プロセスの公平性に明確な違いがあります。
採用手法 | 選考プロセスの有無・公平性 | 特徴 |
|---|---|---|
リファラル採用 | 社員からの紹介後も、通常の応募者と同様の公平な選考を経る | 紹介はあくまでも応募のきっかけであり、評価は基準に基づき行われる |
縁故採用 | 選考プロセスが簡略化、あるいは省略され、選考なしで採用が決定される場合がある | 血縁やコネクションなど、属人的な要素が採用判断に影響を及ぼしやすい |
縁故採用は「つながり重視の採用」、リファラル採用は「社員の推薦を起点とした公正な採用プロセス」です。
現代の採用活動においては、透明性と客観性を担保できるリファラル採用が主流となりつつあります。

リファラル採用の費用は、従来の採用手法に比べて大幅に低い傾向があります。コスト構造の違いを理解することで、その費用対効果の高さがより明確になります。
項目 | 従来の採用手法 | リファラル採用 |
|---|---|---|
主な費用 | 求人媒体掲載費、人材紹介会社への成功報酬など | 紹介社員へのインセンティブ(報酬) |
費用相場 | ポジションによっては100〜300万円以上 | 1人あたり数万円〜数十万円が一般的 |
成果発生時の支払い | 採用確定時(成功報酬型が多い) | 入社・定着確認後など柔軟に設定可能 |
コスト削減効果 | 低い(媒体・仲介コスト発生) | 高い(仲介手数料不要) |
リファラル採用では、社員へのインセンティブ(紹介報酬)が主なコストとなります。
金銭的報酬が一般的ですが、表彰制度や特別休暇など非金銭的な報酬を導入する企業も増えています。インセンティブにより、社員のモチベーション維持と制度の長期定着の両立が可能です。

リファラル採用の成功には、戦略的な導入手順が不可欠です。
ここでは、制度の設計から全社展開に至るまでの3つの主要なステップについて解説します。
まず、リファラル採用を推進するための中核となるチームを編成します。
社員の熱意は紹介時の説得力に直結するため、自社への愛着や貢献意欲が高い、エンゲージメントの高い社員を選抜することが重要です。
プロジェクトチームは、採用ターゲットの定義、インセンティブ(報酬)制度の設計、社内広報戦略など、制度の基盤となる重要事項を具体的に決定します。
次に、設計した制度を本格的に稼働させる前に、限定された範囲で試験的な運用を実施します。
具体的には、プロジェクトメンバーや影響力のある社員を対象に先行導入し、制度の不備や現場の課題点を洗い出しましょう。このトライアル運用を通じて、社員からのフィードバックを収集し、制度の運用フローやツールの実用性を改善します。
また、この段階で、制度の効果を測定するための指標(KPI)を設定し、データに基づいた評価を行う体制を構築することが、全社展開に向けた精度向上に繋がります。
試験運用で効果が確認され、制度が洗練された後、リファラル採用の取り組みを全社員へと正式に展開します。
全社展開時には、制度の目的、具体的な紹介手順、報酬の詳細について、全社員が深く理解できるよう、明確かつ網羅的な説明を行うことが不可欠です。
さらに、制度を一過性のもので終わらせず、文化として定着させるために、採用実績を定期的に全社へ報告し、貢献した社員に感謝を伝える仕組みを恒常的に運用します。

リファラル採用は、企業の成長ステージや組織文化の醸成という点で、以下の2つの特性を持つ企業において、特に高い有効性が認められます。」
ここでは、それぞれの特徴とリファラル採用の親和性について解説します。
スタートアップやベンチャー企業にとって、リファラル採用は成長を加速させるための最適な採用手段です。
スタートアップやベンチャー企業が、通常の採用市場で優秀な人材にリーチするのは困難です。しかし、社員のネットワークを通じて自社の魅力を深く理解した上で紹介を行うリファラル採用であれば、定着率の高い即戦力を効率的に獲得することが可能となります。
リファラル採用の取り組みは、社員が「会社に貢献している」という意識を持つことや、制度を通じて会社への誇りを感じることができ、結果的に社員の会社に対するエンゲージメントを高める効果があります。
社員が自社を「友人におすすめしたい」と思えることは、会社への高い満足度を意味します。
また、紹介を通じて採用が実現した際には、会社から感謝の意や報酬を示すようにしましょう。

リファラル採用は、従来の採用手法に比べて多くの優位性をもたらし、採用コストの削減や質の高い人材の獲得に直結します。
ここでは、リファラル採用が単なる人材確保に留まらず、組織全体に好影響を与えるメリットについて解説します。
リファラル採用で入社した人材は、入社後の早期離職が少ないという大きなメリットを企業にもたらします。 社員から事前に企業のリアルな情報や文化を得ており、入社後のミスマッチが起こりにくいためです。
一般的な採用活動では、候補者が企業の表面的な情報しか得られず、入社後にギャップを感じやすい傾向があります。
しかし、リファラル採用では紹介者から職場の雰囲気や大変な点まで具体的に伝えることが可能です。
リファラル採用は、採用プロセスを大幅に簡略化し、効率的な採用活動が可能となります。 社員が自社の採用基準に近い人材を選定して紹介するため、初期段階でのスクリーニング工数が削減できるからです。
求人媒体などでは、大量の応募書類の選別や、質の低い候補者との面接対応に多くの時間を割かなければなりません。
一方、リファラル採用では、紹介者がすでに「自社で活躍できそうか」という視点で候補者を吟味しています。
結果として選考の初期段階での手間が減り、採用担当者は最終面接などの重要な業務への集中が可能になります。
リファラル採用は、従来の採用手法と比較して、コストを大幅に抑えられるというメリットがあります。 高額な求人広告掲載費用や、人材紹介会社への成功報酬が不要になるためです。
リファラル採用にかかる主な費用は、紹介者へのインセンティブ(報酬)や運用に関わる間接費用のみです。
特に、人材紹介の成功報酬は高額になるため、この高額な報酬を削減できるリファラル採用は、企業全体の採用コスト最適化に大きく貢献します。
リファラル採用は、社員の個人的なネットワークを活用するため、他社との激しい人材獲得競争を回避できる有効な手段となります。
一般的な採用活動では、企業は常に優秀な候補者を巡って他の企業との奪い合いを強いられます。
しかし、リファラル採用では、社員の個人的な信頼関係を基盤に、外部の競争に影響されない独自の採用チャネルを構築できます。
結果として、競争環境から独立した場で、質の高い人材の安定的な確保が可能になります。
リファラル採用を導入・運用することで、社員が「どのような人材が会社に必要なのか」という採用基準を意識し、会社の成長や経営についての視点が育まれるというメリットがあります。
社員は、自分の友人を単に紹介するだけでなく、「この人は自社のビジョンに合っているか」「入社後に貢献できるか」といった視点で候補者を評価できるようになります。
リファラル採用は、一般的な採用手法では接点を持てない転職潜在層へ、効果的にアプローチできます。 社員との信頼関係を通じて、非公開の求人情報やリアルな魅力を伝えることが可能になるためです。
転職潜在層は求人広告を見ていないため一般的な求人媒体の活用ではリーチできません。しかし、信頼する社員からの直接的な紹介は、彼らにとって安心感と説得力を持って受け入れられ、新たな転職のきっかけを提供できます。
リファラル採用の取り組みは、社員が「会社に貢献している」という意識を持つことや、制度を通じて会社への誇りを感じることができ、結果的に会社に対するエンゲージメントを高める効果があります。
社員が自社を「友人におすすめしたい」と思えることは、会社への高い満足度の現れです。また、紹介による採用が実現した際の感謝や報酬は、自身の会社に対する貢献意欲と帰属意識を強くし、組織の活性化に繋がります。

リファラル採用は強力な採用手法ですが、成功のためにはリファラル採用のデメリットを把握し、対策を講じる必要があります。
ここでは、制度の失敗や組織の混乱を招かないよう、企業が特に留意すべき主要な懸念事項について解説します。
リファラル採用では、社員が自分と価値観や経歴が近い知人を紹介する傾向があります。
そのため、組織内の多様性が失われ、均質性の高い人材ばかりが集まるというデメリットが生じやすいです。
この均質性は組織の一体感に繋がる反面、新しい視点や発想が生まれにくくなるリスクを伴います。
リファラル採用の成功には、紹介を行う全社員に対して、採用に関する適切な教育を施すことが不可欠です。
社員が採用基準や制度を正しく理解していなければ、不適切な人材を紹介し、結果的に制度運用に混乱を招きかねません。
社員は採用の専門家ではないため、「どのような人材が自社に必要か」という基準意識が不足しがちです。企業側は、求める人物像、選考プロセス、報酬制度の適法性などを全社員に明確に伝達し、教育を行う必要があります。
リファラル採用は、制度の運用方法によっては、社内外から「公私混同ではないか」という疑念を持たれるリスクを伴います。
社員の個人的な関係が選考に影響を及ぼすのではないかという、公平性への懸念が生じるためです。特に縁故採用との区別が曖昧な場合、公平性への疑念は増幅するでしょう。
企業側は、紹介された候補者に対しても一般の応募者と同様に、厳格で公平な選考プロセスを経ていることを社内外に明確に示す必要があります。
紹介した知人が不採用となった場合、紹介者である社員と候補者との人間関係に悪影響を及ぼすリスクが生じます。 社員は良かれと思って紹介したにもかかわらず、その結果が知人の不採用であった場合、心理的な負担や責任を感じてしまいます。
この心理的負担が原因で、社員が今後の紹介活動をためらったり、モチベーションが低下したりする可能性もあるでしょう。
企業側は、不採用となった場合でも、紹介者の貢献に感謝を伝え、丁寧なフィードバックを行うなど、社員への細やかな配慮を徹底することが求められます。
リファラル採用では、紹介者である社員側に、本来業務以外の負担や工数が増加するデメリットを考慮すべきです。
社員は、候補者への制度説明やフォローアップといった採用活動の一部を担うことになります。社員が善意で紹介しても、通常業務に支障が出るほど工数が増えれば、モチベーション低下に繋がりかねません。
企業側は、リファラル採用ツールの導入や、人事担当者による積極的なフォロー引き継ぎなど、社員の負担を最小限に抑えるサポート体制の構築が不可欠です。

リファラル採用を失敗させず、その効果を最大限に引き出すためには、以下の3つの重要な注意点を確実に実行することが不可欠です。
ここでは、それぞれの注意点と対応策について解説します。
リファラル採用を全社的な成果に繋げるためには、制度の目的や仕組みを全社員に深く浸透させることが不可欠です。
社員が「なぜこの制度が必要か」「紹介するメリットは何か」を理解していなければ、自発的な協力は期待できないでしょう。特に報酬制度や選考基準といった重要情報を曖昧にし
てはいけません。
企業は、説明会や専用のイントラネットなどを活用し、制度のメリットと重要性を継続的に発信する必要があります。継続的な情報提供により、社員が制度を自分事として捉えられるような働きかけが求められます。
質の高い人材を効率的に集めるためには、現在どのような人材を求めているのか、その採用情報を社員に対して明確に可視化することが重要です。
社員が求める人物像や募集ポジションの詳細を知らなければ、紹介すべき知人を適切に判断できません。
社員が「どの部署で」「どんなスキルを持った人が」「なぜ必要なのか」を具体的に理解できるよう、採用ターゲットの情報を整理し、共有リストで公開しましょう。
採用情報の共有を徹底することで、社員が自信を持って知人に声をかけられるようになり、企業が求める人材とのミスマッチを防ぐことが可能となります。
リファラル採用においては、紹介者と被紹介者の入社後の人間関係や、その配置に細心の注意を払わなければなりません。
親しい二人が同じ部署に配属された場合、公私混同や馴れ合いが生じ、組織の公正な評価や業務遂行に影響を及ぼすリスクが生じます。
企業側は、原則として紹介者と被紹介者の所属部署を分ける、または、評価者が二人の関係性に配慮できるように事前に情報共有を徹底するなどの対策を講じましょう。

リファラル採用を一時的なもので終わらせず、継続的な採用チャネルとして確立するためには、以下の3つのポイントを押さえた戦略的な取り組みが求められます。
ここでは、それぞれの成功ポイントについて解説します。
リファラル採用を活性化させるためには、社員が手間なく積極的に紹介活動に参加できる、利用しやすい仕組みの構築が欠かせません。 紹介の手続きが複雑であったり、情報共有に手間がかかったりすると、社員の利用意欲が低下してしまいます。
具体的には、スマートフォンから簡単に紹介できる専用ツールの導入や、募集要項を社内で容易に共有できるプラットフォームの整備が有効でしょう。
利用のハードルを徹底的に下げる工夫を通じて、社員が日常業務の延長で自然に紹介活動を行える環境を整備することが重要です。
リファラル採用は、短期的な成果を追求せず、長期的な組織文化の醸成を目指して継続的に実施する必要があります。
社員の信頼やネットワークの構築には時間がかかり、制度の浸透には継続的なコミュニケーションが不可欠です。一時的なキャンペーンで終わらせず、企業は採用活動が「人事部だけのものではない」という意識を組織全体に根付かせましょう。
継続的な視点を持つことで、社員の協力体制が恒常化し、リファラル採用を安定した質の高い採用チャネルとして確立することが可能となります。
リファラル採用の成功には、他の採用手法と併用し、多様な人材の獲得を目指す戦略的なアプローチが有効です。リファラル採用のみに依存すると、組織の均質化が進み、事業成長に必要な多様なスキルや視点を獲得できなくなるリスクが生じます。
求人媒体やエージェント経由の採用を組み合わせることで、リファラル採用ではリーチしにくい専門性の高い分野の人材が確保できるでしょう
複数のチャネルを使い分けることにより、それぞれの採用手法のデメリットを補完し合い、組織全体のバランスと成長を維持することが可能となります。
リファラル採用は、現代の採用課題を解決する有効かつ戦略的な採用手法です。
この手法には、社員からの紹介を通じて、企業文化にフィットする質の高い人材を低コストで獲得できるメリットがあります。さらに、社員エンゲージメントや定着率の向上といった効果も期待できます。
ただし、制度を成功させるには、公私混同や組織の均質化といったデメリットへの対策が不可欠です。
本記事を参考に、利用しやすい仕組みの構築、社員教育の徹底、長期的な継続を通じて、リファラル採用を貴社の安定した採用チャネルとして確立してください。
採用戦略を立てるのが難しい、ノウハウがないという場合はプロへ相談しましょう。採用戦略が得意なアズライトなら課題解決に役立ちます。

この記事の監修者
株式会社アズライト 佐川稔
株式会社アズライト代表取締役。採用がうまくいかない優良企業を採用できる企業へ改革するために、戦略・運用に特化した採用コンサルティングファーム「株式会社アズライト」を創業。キャリアに悩む方々のために就活・転職相談BAR「とこなつ家」を池袋にて共同経営中。
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