採用手法
採用活動
2026.2.9
この記事の監修者:
株式会社アズライト 佐川稔

「求人広告の反応が鈍い」「優秀な人材と出会えない」そのような採用課題に直面している採用担当者は多いでしょう。
その解決策として近年注目されている手法が、企業自らが情報発信を行う「オウンドメディアリクルーティング」です。
自社の価値観や文化、社員のリアルな声などをメディア化し、単なる募集要項以上の魅力を発信できる手法として、多くの企業が導入を進めています。求人媒体ではアプローチしづらい転職潜在層にも届き、結果として採用の質や効率の向上にもつながる点が特長です。
そこで本記事は、オウンドメディアリクルーティングの概要や背景を紹介します。あわせて、メリット・デメリットや導入ステップなども詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。

オウンドメディアリクルーティングとは、自社が保有・運営するホームページやSNSなどを通じて行う採用手法です。求人サイトや人材紹介サービスとは異なり、情報発信の主導権を企業側が握れるため、内容や表現に制限がなく、自社の価値観や魅力を自由に伝えられます。
たとえば、社員インタビューや経営者の理念、日常の職場風景などを通じて、求職者に企業への理解を深めてもらうことが可能です。このように、オウンドメディアは採用情報の掲載にとどまらず、自社に適した人材との関係構築や採用ブランディングを担う役割も果たします。
求人サイトと併用し、両者の特性を活かした運用を行うことで、より効果的な採用活動が実現します。

採用市場の競争が激化する中、オウンドメディアを活用した「オウンドメディアリクルーティング」が注目されています。スマートフォンの普及により求職者の情報収集力が高まり、企業の理念や職場環境を理解したうえで応募を判断する傾向が強まっているためです。
特に新卒採用では、条件よりも価値観や社風への共感が重視されるため、自社の魅力を主体的に発信する手法が求められます。
実際に、社員インタビューや動画を通じて応募者の共感を得たオウンドメディア成功事例も増えており、求人媒体に頼らない採用手法として注目されています。

オウンドメディアリクルーティングは、自社の魅力や情報を直接発信することで、企業と候補者の相互理解を深められる手法です。
ここではオウンドメディアリクルーティングのメリットについて解説します。
オウンドメディアリクルーティングは、採用後のミスマッチを防ぎやすいというメリットがあります。求人広告では伝えきれない企業の価値観や職場の雰囲気を、自社メディアで具体的に発信できるため、求職者は応募前に企業理解を深めやすくなります。
特に社員インタビューや経営層のメッセージは、共感を促しやすく、自社と価値観の合う人材の応募が集まりやすいです。結果として、離職のリスクが下がり、定着率や採用の質の向上につながります。
オウンドメディアリクルーティングは、採用活動にとどまらず、従業員エンゲージメントの向上にも貢献します。社員インタビューや経営者のメッセージを発信する過程で、自社の価値観やビジョンへの理解が深まり、共感が生まれやすくなるのです。
また、制作に関わることで、自身の仕事が評価されていると感じやすくなり、やりがいにもつながります。
結果として、モチベーションの維持や離職防止にも貢献し、社内の一体感を高める効果も期待できます。
オウンドメディアリクルーティングは、自社の認知度を高める効果的な手段です。採用サイトやSNSを通じて情報を発信すれば、求職者と自然に接点を持てます。求人サイトでは届きにくい転職潜在層にも訴求できるため、将来的な応募にもつながる可能性が高いです。
また、社風や社員の声を継続して発信することで共感が得られやすくなり、企業への理解も深まります。結果としてブランディングが強化され、他社との差別化にも貢献します。
オウンドメディアリクルーティングは、求人広告や人材紹介にかかる費用を抑えられる点もメリットです。採用サイトやSNSを自社で運用すれば、制限なく情報を発信でき、長期的に費用対効果の高い採用を実現できます。
さらに、潜在層への継続的な接点構築により、毎回広告費をかけずに応募を集める仕組みも築けます。初期費用や運用負担はあるものの、安定的な採用につながれば十分に元が取れる手法です。

オウンドメディアリクルーティングは多くのメリットがある一方で、導入や運用にあたって注意すべきデメリットも存在します。
ここではオウンドメディアリクルーティングの主なデメリットについて解説します。
オウンドメディアリクルーティングは即効性が低く、効果がでるまでに時間がかかる点がデメリットです。サイトやSNSを立ち上げても、コンテンツが認知されるまでに数ヶ月かかります。
そのため、短期間での採用を目指す企業にとっては不向きです。応募数だけでなくアクセス数や認知度の変化を見ながら、中長期的に成果を積み上げていく視点が求められます。
オウンドメディアリクルーティングは、自社の魅力を伝えやすい反面、導入・運用にコストがかかる点もデメリットです。初期段階では以下の費用が発生します。
初期構築費:採用サイト制作やCMS導入
制作費:記事や動画などの作成費用
人件費:運用・更新にかかる工数
外注費:専門家への業務委託費
社内にノウハウがない場合、外部支援が不可欠となり費用が増えることもあります。成果がでるまで時間を要するため、長期的な視点で運用することが重要です。
オウンドメディアリクルーティングでは、社員インタビューや職場風景の撮影など、現場や各部署の協力が不可欠です。しかし、通常業務に加えて対応を求められるため、社内理解が不足していると協力が得られにくくなります。
協力体制を築くために、採用活動の目的や意義を共有し、経営層を含めた全社的な認識を統一することが大切です。理解が得られなければ発信内容の質や頻度が低下し、成果にも影響するおそれがあります。

発信するコンテンツの質は、オウンドメディアリクルーティングの成功に大きく影響します。ここではオウンドメディアリクルーティングで発信すべきコンテンツについて解説します。
オウンドメディアでは、自社の強みや価値観を伝えるコンテンツが重要です。求職者は待遇だけでなく、自分に合うかを重視するため、共感を得る情報が求められます。たとえば以下のような内容が効果的です。
成長できる環境:経営者の語り、挑戦事例
強みを活かせる職場:業務紹介、社員インタビュー
安心感ある人間関係:社内イベント、社員の声
納得できる制度:勤務例、福利厚生の紹介
こうした発信が応募意欲や定着率の向上につながります。
経営者の理念や価値観を伝えるコンテンツは、オウンドメディアリクルーティングで求職者の共感を得るうえで欠かせません。企業の姿勢に納得できなければ、入社後のミスマッチを招く可能性があります。
経営者自身が語る創業の背景やビジョンは、企業の本質を伝えるうえで効果的です。
さらに、実体験や事業にかける想いを交えて発信することで、信頼と共感を得やすくなります。理念と行動の一貫性を示すことが応募意欲の向上にもつながります。
オウンドメディアにおける従業員インタビューは、求職者に職場の雰囲気や働き方を伝える効果的なコンテンツです。特に採用ターゲットに近い社員や活躍中の人材を取り上げると、共感が得られやすくなります。
内容は業務や入社理由、将来の展望などを軸に構成し、写真や動画を活用すると理解が深まる内容です。入社後の姿を具体的に描けることで、ミスマッチの防止にもつながります。
オウンドメディアを活用した採用では、自社サービスや事業内容を伝えるコンテンツも効果的です。単なる紹介にとどまらず、背景や意義に触れることで、求職者の共感を得やすくなります。具体的な視点としては、以下の内容がおすすめです。
立ち上げの経緯や現場の想いを伝える開発ストーリー
解決する課題や利用者の声を示す社会的インパクト
事業の将来像と関われる可能性を示す展望
企業の方向性を明確にすることで、価値観の近い人材を惹きつけやすくなります。
オウンドメディアで採用情報を発信する際、社内制度や福利厚生の紹介も求職者の関心を引く重要なコンテンツです。特に柔軟な働き方やキャリア支援に関する情報は、働く姿を具体的に思い描く助けとなります。
フレックスタイム制:勤務時間を柔軟に調整可能
在宅勤務制度:週3回まで自宅勤務が可能
資格取得支援制度:試験費用を全額補助
育児時短勤務制度:小学校入学まで短時間勤務可
制度の背景や活用例を添えると、企業の姿勢が伝わりやすくなります。

採用戦略に沿って段階的に準備を進めることが、オウンドメディアリクルーティングの効果的な推進につながります。ここでは、導入に向けた具体的なステップについて解説します。
採用活動の出発点は「ペルソナ設計」です。自社で活躍しそうな人物像をモデル化することで、発信の方向性を明確にできます。設計では以下の項目を具体化します。
年齢・性別:30歳・男性
職種・役職:営業・マネージャー
決裁権の有無:あり
趣味・関心:業界セミナー
働き方の志向:裁量重視、リモート希望
BtoBでは役職や決裁権、BtoCでは価値観や行動傾向に着目します。明確なペルソナを設けることで、訴求の精度と共感が高まります。
オウンドメディアリクルーティングを実施するうえで重要なのが、事業計画に沿った採用計画の策定です。採用人数・時期・ターゲット像を明確にし、過去の歩留まりをもとに逆算します。たとえば以下のような設計が効果的です。
人数:営業2名、マーケ1名
期間:1月募集開始、6月入社目標
歩留まり:書類40%、面接30%、承諾80%
チャネル:オウンド60%、紹介20%、SNS等20%
数値化によって無駄を省き、効率的な採用を実現できます。
採用競合との差別化を明確にするポジショニングマップの作成は、オウンドメディアリクルーティングの推進において効果的です。
ここでの競合とは、事業上ではなく同じ人材をターゲットにする企業を指します。
求職者が重視する2軸をもとに自社と競合の立ち位置を整理することで、自社ならではの訴求点の可視化が可能です。戦略の方向性が定まり、コンテンツやブランディング設計にも一貫性を持たせやすくなります。
オウンドメディアリクルーティングでは、情報発信に一貫性を持たせるために、ブランディング設計も必要です。ターゲットの価値観に基づいて軸を明確にすることで、企業の魅力がより伝わります。設計時は以下の要素を整理すると効果的です。
ブランドターゲット
インサイト
コアバリュー
パーソナリティ
ベネフィット
エビデンス
明文化しておくことで、発信内容に統一感が生まれます。
CX(候補者体験)の策定は、求職者が企業と接点を持ってから入社するまでの体験を設計する工程です。まず以下のようにジャーニーマップを使い、各段階での行動や感情を整理します。
認知:理念や職場の雰囲気を伝える
応募前:仕事内容や選考の流れを提示
選考:迅速な対応と丁寧なフォローを行う
内定後:歓迎の姿勢で不安を和らげる
段階ごとの適切な設計が、承諾率や定着率の向上に貢献します。

オウンドメディアリクルーティングを導入しただけでは、理想的な人材を獲得することはできません。
ここではオウンドメディアリクルーティングを成功に導くための具体的なコツについて解説します。
オウンドメディアリクルーティングでは、ジョブディスクリプションの明確な提示はポイントとなります。業務内容や必要スキルを具体的に記すことで、応募者は自分に合った職務かを判断しやすくなります。
業務内容:UI改善やデータ分析に基づく施策立案
必須スキル:Figma操作、GAの使用経験
組織構成:CDO直下、デザイナー3名と連携
評価指標:CVRや滞在時間の改善率など
このような記述が、応募の質と定着率の向上に貢献します。
転職潜在層とは、今すぐの転職は考えていないが、条件次第で検討する層を指します。オウンドメディアでは、この層との接点をつくる姿勢が重要です。
すぐに応募がなくても、見やすい情報発信を通じて関心を引く工夫が求められます。たとえば以下の内容が効果的です。
社員の声やスキル習得の道筋
柔軟な働き方や制度の紹介
理念や社風が伝わる動画
継続的に発信することで、「いつか応募したい」と思わせるきっかけが生まれます。
オウンドメディアリクルーティングを成功させるうえで、KGIとKPIの設定は重要です。
KGIは「採用数」などの最終目標、KPIはその達成に向けた中間指標を指し、たとえば次のような数値が挙げられます。
月間PV数
滞在時間
応募フォーム送信数
これらはSMART(具体性・測定可能性・達成可能性・関連性・期限)を意識して設計し、定期的に見直すことがポイントです。数値化することで、施策の精度と社内理解も高まります。
オウンドメディアリクルーティングは、企業独自の情報発信を通じて、自社にマッチする人材と出会うための採用手法です。メリットとして、ミスマッチの低減や採用コストの削減、企業ブランディング強化などが期待できます。
一方で、効果がでるまでの時間や初期コスト、社内理解の必要性といったデメリットも存在します。
成功に向けては、ターゲット設計や採用戦略、発信コンテンツの工夫に加え、KPIの明確化やCX設計など多角的な視点が欠かせません。
ぜひ本記事を参考にして、自社の魅力を的確に伝える土台としての「オウンドメディア」を活用した採用戦略を構築していきましょう。
この記事の監修者
株式会社アズライト 佐川稔
株式会社アズライト代表取締役。採用がうまくいかない優良企業を採用できる企業へ改革するために、戦略・運用に特化した採用コンサルティングファーム「株式会社アズライト」を創業。キャリアに悩む方々のために就活・転職相談BAR「とこなつ家」を池袋にて共同経営中。
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