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採用活動
新卒採用
2025.12.19
この記事の監修者:
株式会社アズライト 佐川稔

「コストをかけても応募が集まらない」「新卒採用の費用がどれだけかかっているか把握しきれていない」
このような採用コストに関する課題を抱えている企業は少なくありません。
近年、母集団形成や内定辞退に課題を感じている企業は多く、再募集によるコストや人事担当者の工数が圧迫している状況です。
企業は自社の単価を把握し、プロセスの見直しや適切な手法の活用が欠かせません。必要に応じて採用代行サービス(RPO)を利用することで、各チャネルの費用対効果を高められます。
本記事では新卒採用単価の概要や計算方法、相場、コストを抑えるための方法について解説します。

新卒採用単価とは、1人の学生を採用するために企業が支払うコストのことです。求人広告費だけと思われがちですが、採用プロセス全体にかかった費用を含めて算出します。
採用単価に含まれる項目例は、次のとおりです。
採用活動で発生した社内の人件費
求人掲載・採用イベントの外部に支払う費用
インターン運営費用
内定者フォローや入社準備で発生するコスト
たとえば、1年間の採用活動全体で300万円を使い、最終的に5名を採用した場合の新卒採用単価は以下のように求められます。
300万円(総採用費用)÷5名=1人当たり60万円(新卒採用単価)
企業は単価を把握することで、費用対効果の高い施策がわかり、採用活動を最適化できます。

新卒採用単価の推移を見ると、マイナビの調査では2019年と比較して2024年に約8万円上昇しています。

(引用:マイナビ「2019年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」)

(引用:マイナビ 「2024年卒 企業新卒内定状況調査」)
2024年卒の採用活動では約8割の企業が母集団形成に難しさを感じ、予定していた人数を確保できない状況です。2026年卒の調査でも同じような傾向が見られ、企業は追加施策や選考回数の増加といった内部工数が増加しています。

(引用:マイナビ 「2024年卒 企業新卒内定状況調査」)
一方で、SNSやWebセミナーの活用により、広告費のコストは大幅に下がっているものの、担当者の工数増加や個別フォローの強化にコストがかかっているのが現状です。結果として、企業は1人あたりの採用単価が上昇しやすい構造が生まれています。
企業は施策ごとの費用対効果を見直し、コストを最適化しながら戦略を立案していくことが重要です。

採用単価に、どの項目を含めるべきかがあいまいな人事担当者は少なくありません。新卒採用単価は大きく分けると、「外部コスト」と「内部コスト」の2種類で構成されています。
ここからは、新卒採用単価の種類・詳細について解説します。
内部コストとは、人事担当者や面接官が採用活動にかける時間・労力を金額に換算したコストのことです。近年の新卒採用では、内部コストが単価上昇の要因といえます。
内部コストに該当する業務は、以下のように多岐にわたります。
説明会準備・運営
面接対応
学生との日程調整
内定者フォローの個別対応
インターンシップの企画・運営
内部コストは可視化が難しい項目ですが、採用単価への影響が大きい要素です。企業は担当者の工数や時間単価も含めて採用単価を管理することで、費用対効果の高い改善につながります。
外部コストとは、企業が外部のサービスに対して支払う費用のことです。料金体系が明確なため、採用予算に反映しやすい特徴があります。
主な外部コストは、次のとおりです。
求人媒体費
スカウトサービス利用料
合同企業説明会の出展料
採用サイト・コンテンツ制作費
求人広告費
選考ツールの利用料
内定者の懇親会・研修費
新卒採用では母集団形成のために、複数チャネルの併用が主流です。複数手法の活用は採用活動の基盤を作るうえで重要な投資ですが、計画を立てずに施策を増やすと単価が膨らみやすくなります。
企業はチャネルごとの効果測定を行い、費用対効果の高い施策を中心に運用することが重要です。

新卒採用単価は「(内部コスト+外部コスト)÷採用人数」で計算できます。担当者は採用活動にかかったコストを抜け漏れなく洗い出して、算出することが不可欠です。
次の場合、採用単価は次のように計算します。
内部コスト:150万円(担当者の時給3,000円×稼働500時間)
外部コスト:150万円(求人広告・スカウトサービス・イベント出展)
採用人数:5人
採用単価=(150万円+150万円)÷5人=60万円
企業は辞退を考慮して、入社人数をベースとした「有効採用単価」も別で計算しておくと、より明確な算出が可能です。
たとえば、総コスト300万円で内定8名・入社5名の場合
内定ベース:37.5万円/人
入社ベース:60万円/人
採用計画を立てる際は「採用予定人数×期待単価」から総コストを算出し、施策ごとの配分を決めましょう。

2024年のマイナビによる調査では、新卒採用単価の平均が56.8万円と発表されています。一人あたりの新卒採用コストは、母集団形成のしやすさや必要な施策の数によって変動します。

(引用:マイナビ 「2024年卒 企業新卒内定状況調査」)
企業規模や業種ごとに採用単価が変わる要因は、以下のとおりです。
上場企業 | ・ナビ媒体やイベントに依存せず、母集団を確保しやすい |
|---|---|
非上場企業 | ・学生との接点づくりに多くの施策が必要 |
製造業 | ・専門性を持つ学生が少ない |
非製造業 | ・母集団の幅が広い |
企業は採用単価だけを見て施策の改善をするのではなく、自社の求める職種や規模まで含めて適切な予算を組むことが重要です。

毎年採用単価が上がり、できる限りコストを削減したいと悩む人事担当者は多いのではないでしょうか。企業は単価の分析から必要な施策を見極め、効果的に運用することが大切です。
ここからは、新卒採用単価を抑える方法について解説します。
まずは、求人媒体の選定を見直し、費用対効果の高いチャネルに予算を再配分しましょう。求人媒体は企業や求める人材によって、得られる成果が異なります。
近年は選択肢が多様化しているため、データをもとに判断する必要があります。
求人媒体を見直すポイントは以下のとおりです。
媒体ごとの応募数・説明会参加数・一次通過率を比較する
地方採用は地元大学のキャリアセンターを活用する
専門職採用は、職種特化型の媒体を検討する
求人媒体ごとの効果を定量的に評価し、成果の高いチャネルへ予算を集中させることで、単価を抑えられます。
選考フローの見直しは歩留まりが改善し、採用コストの削減につながります。新卒採用の単価が高くなる原因の1つは、選考や内定辞退です。無駄な選考ステップをなくすことは、人事担当者の負担を軽減できます。
選考フロー改善は、以下のポイントを意識しましょう。
選考回数を減らせないか検討する
説明会から一次選考までの期間を短縮する
ツールを導入し、書類選考や面接の日程調整を自動化する
選考フローの見直しは学生の離脱を最小限にするために、社内の運用体制を整えることが重要です。
SNSは広告費を抑えながら自社の魅力を発信できるため、採用単価の引き下げに効果的です。
SNSは学生の日常的な情報手段であり、採用広報を効率よく行えます。求人媒体のように高額な掲載費が発生せず、投稿の工夫次第で企業の認知度を高められます。
SNSを効果的に活用するためのポイントは、次のとおりです。
プロフィール欄に応募フォームのリンクを貼る
投稿スケジュールを決め、定期的に発信する
求める人材に適したSNSを選択する
SNSはコスト削減の成果を得るまでの時間はかかりますが、長期的な視点では求人媒体に依存することなく母集団を形成できます。
内定辞退や早期離職の減少は追加募集が不要なため、コストと人事担当者の工数を削減できます。近年、内定辞退や入社3年以内の離職が増加しているため、企業側のフォロー施策が欠かせません。
具体的な対策として、以下の取り組みが有効です。
内定後は交流会・先輩社員との面談を企画する
入社前研修を行い、仕事内容・配属・将来のキャリアを丁寧に説明する
内定者のコミュニティを作る
メンター制度を導入する
内定辞退と早期離職の対策は学生の不安を減らすことにつながり、安定した採用活動が行えます。

コストの見直し方を活かして、具体的にどの手法を使っていけば良いか分からないという人事担当者は少なくありません。採用チャネルが多様化している現在は、コストを抑えつつ効果的に母集団を形成できる方法があります。
ここからは、新卒採用単価の引き下げに役立つ手法を紹介します。
リファラル採用は社員からの紹介で人材を確保するため、コストを抑えながら質の高い応募者を獲得できる手法です。社員からの紹介は企業文化や仕事の実態を理解したうえで推薦してもらえるため、辞退率・早期離職率が低い傾向にあります。
以下は、リファラル採用が単価削減につながるポイントです。
若手社員が大学のサークル・ゼミの信頼関係のある後輩を紹介しやすい
コストは紹介インセンティブ(3万円〜10万円程度)
採用決定率が高く、追加募集が発生しにくい
若手社員の大学ネットワークを活かすことで、企業は媒体費を削減しつつ、志望度の高い学生を安定して獲得できます。
関連記事:リファラル採用の詳細はこちら≫
ダイレクトリクルーティングは必要な学生にピンポイントでアプローチし、歩留まりを改善できるため、単価の削減が可能です。
求人媒体の掲載費用は、100万円以上かかることも少なくありません。ダイレクトリクルーティングの場合は、30万円〜50万円と単価を抑えられます。
単価を意識したダイレクトリクルーティングの活用方法は以下のとおりです。
母集団が小さい専門職採用に活用する
年間の採用人数が1〜10名程度の場合に適している
スカウト文面を最適化する
ダイレクトリクルーティングは人事担当者のスキルが必要ですが、単価削減と応募の質向上を同時に実現できる手法です。
SNS採用は自社に興味を持つ母集団を継続的に形成できるため、採用単価の安定化が見込める手法です。SNSは拡散力があり、幅広い学生に自社を知ってもらう機会が作れます。
SNSごとに強みが異なるため、目的に応じて使い分けましょう。
種類 | 発信内容 | 効果 |
|---|---|---|
働く社員の姿 | 企業理解を深めてミスマッチを減らす | |
X(旧Twitter) | 募集開始の告知 | 幅広い学生に届ける |
TikTok | 1日密着動画 | 学生の共感を得る |
YouTube | 会社説明・部署紹介 | 応募意欲を高める |
SNSは応募前から自社のファンができるため、低コストで志望度が高い母集団形成が可能です。
関連記事:SNS採用の詳細はこちら≫
オウンドメディアリクルーティングは、より深く自社の魅力を伝え、内定辞退率を下げて採用単価を安定させる手法です。オウンドメディアは仕事内容や企業文化を制約なく伝えられるため、学生の理解が深まります。
以下は、オウンドメディアを活用するポイントです。
SEOを意識し、学生が検索しそうなキーワードでコンテンツ制作する
写真は社員の表情に焦点を当てる
他の媒体からの流入経路を整える
オウンドメディアは、コンテンツの数が増えるほど効果が高まります。企業はコンテンツ制作が継続的に行える仕組みを作り、長期的な目線で単価の推移を検証する必要があります。
アルムナイ制度は過去に自社で働いていた元社員との関係を維持し、ポジティブな口コミや紹介につなげる手法です。企業は求人媒体だけでなく、広報のコストを削減しながら学生に魅力を伝えられます。
アルムナイ制度が新卒採用にもたらす効果は、次のとおりです。
ポジティブな口コミが企業イメージを良くする
採用ブランディングの効果がある
元社員の声は企業の信頼性を高める
アルムナイ制度は、日頃から既存社員との信頼関係を築いておくことが重要です。企業への愛着が良質な口コミにつながり、新卒採用コストの削減につながります。

採用代行サービス(RPO)の活用は媒体費の最適化や選考工数の削減ができ、単価を抑えられます。新卒採用はやるべき業務が多く、各工程で担当者の手が回らないことも少なくありません。
採用代行サービス(RPO)を利用することで得られるメリットは、以下のとおりです。
ルーティン業務を委託することで、内部コストを削減できる
採用のプロが運用するため、無駄な媒体費を省ける
プロセスが最適化し、採用単価が安定する
担当者は内定者フォローや戦略立案に専念できる
採用計画の精度が上がる
企業は自社の採用規模や課題に応じて、必要な業務を委託することで、安定した新卒採用とコスト削減が可能です。
新卒採用単価は、1人の学生を採用するために発生した「外部コスト」と「内部コスト」を合計した金額のことです。2019年と比較すると2024年は採用単価が上昇し、母集団形成の難化やフォロー工数の増加が背景にあります。
採用単価の相場は企業規模や業種によって異なりますが、56.8万円です。企業は求人媒体の精査や選考プロセスの見直しを行い、費用対効果を高めることが重要です。
自社だけで採用単価の削減が難しい場合は、採用代行サービス(RPO)の活用がおすすめです。企業は自社の計画や課題と照らし合わせながら、最適な手法を組み合わせて安定した活動を進めていきましょう。

この記事の監修者
株式会社アズライト 佐川稔
株式会社アズライト代表取締役。採用がうまくいかない優良企業を採用できる企業へ改革するために、戦略・運用に特化した採用コンサルティングファーム「株式会社アズライト」を創業。キャリアに悩む方々のために就活・転職相談BAR「とこなつ家」を池袋にて共同経営中。
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