採用戦略
採用戦略
2026.2.9
この記事の監修者:
株式会社アズライト 佐川稔

「他社の発信を真似てみても成果が出ない」「母集団形成の課題を把握しきれていない」
採用活動を戦略的に行いたいと思うものの、進め方に悩む人事担当者も多いのではないでしょうか。
採用市場が常に変化するなかで、今までのやり方だけでは優秀な人材の確保が難しくなっています。自社の課題を明確にしたうえで効果的な施策を打つことが、採用戦略において大切なことです。
戦略の構築は採用の精度が上がるだけでなく社員のエンゲージメントが改善し、生産性の向上につながります。
本記事では、採用戦略に成功した10社の紹介やよくある失敗例、構築のポイントを解説します。

人事部門が採用戦略を練る際に、「本当に方向性が正しいか」と悩む場面は少なくありません。
市場の変化が激しい現在では、採用広報やマーケティング、採用プロモーションといった多角的な手法を組み合わせて、再現性のある戦略を練ることが重要です。
ここでは、業種や企業の規模の異なる10社の成功事例を紹介します。

業種・規模 | 自動車・大企業 |
|---|---|
採用課題 | ・ソフトウェア人材の認知不足 |
戦略・施策 | ・キャリア採用強化 |
成果 | ・キャリア採用比率の増加 |
成功要因 | ・経営戦略との連動 |
トヨタ自動車は採用活動を経営戦略の一部として再定義し、現場主体で人材を惹きつける仕組みを構築しました。採用を企業文化と結びつけた点が、社員の主体性やリファラル採用へ繋がっています。
特に製造業は理念の共感や一貫した採用ブランド設計がポイントとなるため、ぜひ参考にしたい成功事例です。

業績・規模 | SaaS・大企業 |
|---|---|
採用課題 | ・リファラル採用課題の定着 |
戦略・施策 | ・心理的負担を軽減する制度の導入 |
成果 | ・社内全体で採用の主体性が浸透 |
成功要因 | ・自社を紹介したい会社づくりの徹底 |
株式会社SmartHRは採用を始めた当初からリファラル採用を取り入れ、社員が安心して友人を紹介できる仕組みを整えてきました。
企業文化と制度を両立する姿勢は、持続的な採用力を高めたい企業にとって参考となる事例です。

業績・規模 | 電気通信・大企業 |
|---|---|
採用課題 | 事業拡大に伴い、高い専門性と多様な人材確保の必要性 |
戦略・施策 | ・KDDI版ジョブ型人事制度を導入 |
成果 | ・即戦力人材の獲得に成功 |
成功要因 | ・事業戦略と採用を連動 |
KDDI株式会社は専門領域ごとに職務内容とスキルを明確化し、即戦力人材の確保に成功しています。
経営戦略をもとにした採用計画に加え、育成や配置とも連動することで人材の質と組織力の向上を実現されました。専門人材の採用や育成に課題を抱える企業は、特に学びを得られる好例です。

業績・規模 | IT・大企業 |
|---|---|
採用課題 | ・認知度が低い |
戦略・施策 | ・求める人材に適した媒体の利用 |
成果 | ・採用人数の目標を達成 |
成功要因 | ・全社の協力体制 |
株式会社マネーフォワードはミートアップや長期インターンを活用し、学生との接点を拡大しました。戦略的な選考設計により、カルチャー理解を深めたうえでの採用に成功しています。
採用基盤をこれから整えたい成長フェーズにいる企業は、お手本となる事例です。

業績・規模 | 葬祭業・中小企業 |
|---|---|
採用課題 | ・応募が集まらない |
戦略・施策 | ・求職者へ響くコンテンツへ改善 |
成果 | ・応募が安定し。採用計画の見通しが立つ |
成功要因 | ・求職者視点を重視 |
株式会社いわさきは媒体や魅力の表現方法を見直し、視覚的な訴求へと転換しました。経営層が主体となって活動した結果、若手の採用に成功しています。
採用ブランディングの強化や地域密着型で若手採用の課題を抱える企業にとって、ヒントを得られる取り組みです。

業績・規模 | Webサービス・中堅企業 |
|---|---|
採用課題 | ・人事だけでは各部門のニーズに対応しきれない |
戦略・施策 | ・スクラム採用の導入 |
成果 | ・採用スピードと精度が向上 |
成功要因 | ・現場社員の意識改革 |
BASE株式会社は人事・経営・現場が一体となって採用を進める体制へ移行しました。現場の専門性を反映することで、求職者とのミスマッチを削減しています。
部門間の連携不足や採用制度に課題を感じる企業にとって、有益な事例です。

業績・規模 | 建設・中小企業 |
|---|---|
採用課題 | ・知名度の低さによる応募不足 |
戦略・施策 | ・社内改革 |
成果 | ・応募数、採用数の増加 |
成功要因 | ・社内改革による企業努力 |
沼尻電気工事はオフィス環境改善やPR動画制作・HP刷新に注力し、魅力を可視化しました。その結果、応募数・質ともに向上し、社員の早期成長を実現しています。
長期的な採用基盤づくりを行いたい地域密着型の中小企業は、取り入れたい導入実績です。

業績・規模 | 広告・中堅企業 |
|---|---|
採用課題 | ・求める人物像とのミスマッチ |
戦略・施策 | ・媒体運用の見直し |
成果 | ・質の高い応募の増加 |
成功要因 | ・明確なターゲティング |
新東通信はミスマッチを解消するために、若手主体の情報発信とカジュアルな接点づくりを強化しました。内定者も施策に巻き込むことで、マッチング精度を向上させています。
学生との心理的距離を縮めたい企業にとって、役に立つ成功事例です。

業績・規模 | IT・中小企業 |
|---|---|
採用課題 | ・経験、スキルのミスマッチ |
戦略・施策 | ・柔軟に運用できる媒体の選定 |
成果 | ・入社後のミスマッチ減少 |
成功要因 | ・理念重視の採用により条件での競争を回避 |
株式会社Daiは大手企業との条件競争を避けるために、理念と事業内容の共感を重視した採用に転換しました。媒体を最大限活用し、質の高い人材確保に成功しています。
採用コストを抑えつつ、自社に合った人材の採用を目指している企業に適した事例です。
業績・規模 | 建築・小規模 |
|---|---|
採用課題 | ・応募数の少なさ |
戦略・施策 | ・共感採用への注力 |
成果 | ・採用数と質が向上 |
成功要因 | ・戦略転換 |
株式会社フジサワは現場発信を軸に、共感の得られるコンテンツ制作を実施しました。企業と求職者の相互理解が深まることで、採用の質と定着率の向上に成功しています。
大手との競争を避けつつ、自社の理念に共感する人材採用に力を入れたい企業に最適な取り組みです。

成功事例からは多くの事が学べる一方で、うまくいかなかった事例からも避けるべき取り組み方について理解しておくことが重要です。
ここでは、実際の採用現場で起こりがちな失敗の傾向を3つ紹介します。
他社の成功事例を形だけ取り入れても、自社の採用目的が不明確なままでは成果に結びつきません。特にスタートアップの企業が大企業の採用手法を模倣すると、求職者との期待値がズレてミスマッチが発生しやすくなります。
具体的な失敗事例は以下のとおりです。
採用目的が不明確のまま施策を導入している
表現やコンテンツの一貫性がなく、効果的な採用広報ができていない
カルチャーフィットを誤解していて多様性を損なってしまう
採用戦略は理念・文化・現場の課題に基づき、施策を自社に合わせてカスタマイズすることが不可欠です。
求人媒体やSNS、スカウトサービスが流行っているという理由で導入してしまうと、自社のターゲット層や目的に適さない運用になりかねません。自社に合わないチャネルは、応募数の増加に対して質が伴わず、歩留まりが低下してしまいます。
チャネル設計・選定による失敗例は次のとおりです。
ペルソナ設計が甘く、適切なチャネルの判断ができない
採用チャネルごとのKPIを設定していない
ターゲットの行動特性を前提としたチャネル選定ができていない
採用戦略は新卒や中途、職種、地域によって異なります。ターゲットごとにチャネルを適切に分け、最適な採用手法を活用することが重要です。
採用担当者の経験やスキルに頼りすぎてしまうと、異動や退職時にノウハウが失われ、業務が回らない状態になりかねません。
特に中小企業では、最小限の人数で業務を進めていることが多く、属人的な運用になりがちです。
以下は、属人化した採用活動で陥りやすい事例です。
採用基準が共有されず、個人の感覚で合否判断をしてしまう
担当者によって候補者対応の質やスピードが異なる
データやプロセスが組織で管理されていない
採用フローや評価項目や候補者対応は仕組み化し、誰でも一定の品質で運用できる体制を作ることが大切です。特に採用広報が上手い企業は、全社で取り組みを進めています。

成功・失敗事例を「どのように自社に活かしてよいか」と迷っている人事担当者も多いのではないでしょうか。
ここでは、事例をもとに効果的な採用戦略を構築するためのポイントについて解説します。
採用戦略についての詳細はこちら≫
採用と経営戦略を連動させることで求める人物像が明確にでき、採用後のミスマッチを防げます。採用を現場任せにすると、短期的な視点での空いたポジションを埋めるだけの作業にしかなりません。
以下のような流れで戦略の設計を行いましょう。
全社の中・長期計画の把握
必要な役割・人数・スキル・価値観の明確化
ペルソナ・チャネル設計
採用ブランディング・広報の連携
効果測定
採用戦略に成功した企業は、積極的に経営層がイベント登壇する機会を設けています。候補者にも熱意が伝わり、企業は優秀な社員の確保につながります。
採用戦略はペルソナとチャネルの整合性を保ち、ターゲットに合った媒体やメッセージで発信することが重要です。
以下のように、採用戦略ではフレームワークを活用すると、精度が向上します。
3C分析:求職者の価値観・他社の訴求・自社独自の魅力を整理してペルソナを明確化する
SWOT分析:ペルソナに合わせた自社の強み・弱み・機会・脅威を分析する
ロジックツリー:手段を構造的に整理して、使うべきチャネルを見極める
採用戦略に取り組む企業は狙った層へのアプローチを実現し、応募数の安定や選考の効率を高めています。
参考記事:採用戦略を成功に導くフレームワーク完全解説|目的別で使い分ける12の思考法
採用戦略は、市場や求職者の動きに合わせたアップデートが必要です。採用市場は常に変化していて、景気や業界の動向、求職者の価値観によっては数か月前に有効だった手法でも通用しなくなることがあります。
特に採用広報はトレンドが目まぐるしく変化するため、以下を意識しましょう。
SNSでどんな発信が見られているかチェックする
他社の発信する内容を確認する
トレンドは常に変化していますが流行に振り回されず、設定したペルソナが求めている情報を発信することがポイントです。
採用は人事だけの仕事だけでなく、経営層や現場を含めた全社体制で進めることが、目標達成につながります。
チーム運営を行ううえで人事が意識するポイントは次の3つです。
企業理念を現場に落とし込む
現場が主体性を持てるように活動状況をオープンにする
気軽に意見を出せる環境を整える
経営層や現場を巻き込んだ活動は、よりリアルな言葉で候補者に魅力を伝えられます。人事は、現場の社員が通常業務との両立ができるような調整も不可欠です。
採用戦略は人員の補充ではなく、事業計画を達成していくための基盤を作る経営施策です。
成功した企業に共通していることは、自社の理念や文化、事業戦略を明確にしている点です。反対に他社が上手くいった方法を真似るだけや属人的な運用は、なかなか成功に結びつけることが難しくなります。
採用設計のポイントは経営戦略から必要な人材を具体化し、全社で取り組むことです。チームでの運営は一体感が生まれるだけでなく、社員のモチベーション向上にもつながります。
採用活動の方向性に悩んでいる企業は成功事例を参考に、自社の課題と照らし合わせてヒントを探してみましょう。
採用戦略を立てるのが難しい、ノウハウがないという場合はプロへ相談しましょう。採用戦略が得意なアズライトなら課題解決に役立ちます。

この記事の監修者
株式会社アズライト 佐川稔
株式会社アズライト代表取締役。採用がうまくいかない優良企業を採用できる企業へ改革するために、戦略・運用に特化した採用コンサルティングファーム「株式会社アズライト」を創業。キャリアに悩む方々のために就活・転職相談BAR「とこなつ家」を池袋にて共同経営中。
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