採用面接の場で、「この人を本当に採用して大丈夫か」「入社後に活躍できるか」を見極めるのは、簡単なことではありません。限られた時間の中でも的確に見極められるよう、質問の設計と意図を明確にしておくことが重要です。そこで今回は、面接の各フェーズで活用できる14の質問を厳選し、それぞれの評価ポイントを具体的に解説します。【面接官向け】採用面接で質問すべき必須事項14選応募者の本質を見極めるうえで、限られた面接時間の中で「何をどう聞くか」は極めて重要です。ここでは、面接官が押さえておきたい14の必須質問とその評価ポイントについて解説します。「アイスブレイク」にあたる質問面接官と新卒の候補者が信頼関係を築くうえで、採用面接の冒頭に適切なアイスブレイクを取り入れることは効果的です。緊張を和らげるだけでなく、候補者の自然な言動から本質を見抜くための重要な一手となります。例として、以下のような質問を取り入れることで、スムーズな対話のきっかけが生まれます。本日は電車で来られましたか?趣味は〇〇とのことですが、最近いかがですか?最近、息抜きにしていることはありますか?出身地のおすすめスポットはありますか?合否に影響しない安心感のある質問を選ぶことで、面接全体が対話型となり、採用の質を高めることができます。履歴書・エントリーシート・職務経歴書に関する質問履歴書やエントリーシート、職務経歴書は、面接官が人材を見抜くための出発点となります。しかし、書類に書かれた事実を読み上げるだけでは不十分です。応募者の思考や行動を深く理解するうえで、表面的な回答だけでなく、背景を探る質問が求められます。例として次のような問いが効果的です。大学での研究テーマと、そこから得た学びは何かアルバイトで苦労した経験と、その克服方法前職での具体的な業務内容と成果企業選びの基準や転職の経緯このように設計された質問は、経歴の確認だけでなく、応募者の価値観や判断軸を浮き彫りにする手がかりとなります。仕事に対する意識や価値観を引き出す質問中途採用の採用面接では、スキルや経歴に加え、仕事に対する意識や価値観を見抜く質問も不可欠です。応募者がどのような姿勢で仕事に向き合っているかを知ることで、自社との相性を見極める判断材料となります。例として、以下のような質問が効果的です。あなたにとって仕事とは?やりがいを感じる瞬間は?理想の上司やチーム像は?困難をどう乗り越えたか?こうした質問を通じて、履歴書だけでは読み取れない応募者の本質に迫ることが、面接官に求められる大切な役割です。自己分析力に関する質問採用面接では、スキルや経験だけでなく、「自己分析力」も重視されます。応募者が自分をどれだけ理解しているかを見抜くうえで、強みや弱みに関する質問は効果的です。以下のような質問を通じて、回答の背景や根拠まで深掘りすることで、再現性や人物像が見えてきます。あなたの強みは何ですか?その強みはどのような経験から形成されましたか?その強みを入社後どのように活かしますか?周囲からはどのように評価されていますか?経歴では判断できない人材の核に迫るための視点として活用しましょう。長期的なキャリアビジョンに関する質問応募者のキャリアビジョンを把握する質問は、入社後の活躍や定着の可能性を見極めるうえで大切です。企業との方向性が一致しているかを判断でき、成長意欲や計画性の有無も確認できます。例として以下のような質問が効果的です。5年後、10年後のキャリア目標をどのように描いていますか?当社でどのような役割を担いたいと考えていますか?将来のビジョン実現に向け、今どんな努力をしていますか?キャリアにおいて大切にしている価値観は何ですか?これらの質問を通じて、自社との相性や目標への取り組み姿勢を把握し、より適切な人材の見極めにつなげましょう。問題解決能力に関する質問問題解決能力は、自律的に業務を進められるかを見極めるうえで重要な資質です。特に中途採用では、即戦力性や予期せぬ課題への対応力が評価の分かれ目とされます。過去の困難な経験をもとに、課題の捉え方や行動内容を具体的に引き出しましょう。例として以下の質問が効果的です。直面した課題と解決プロセスを教えてください想定外のトラブルにはどう対応しましたか?人で解決できなかった課題にはどう対処しましたか?方針変更を余儀なくされた経験はありますか?短時間でも対応力を見極める手段として活用しましょう。論理的思考力を確認する抽象的な質問論理的思考力は、複雑な情報を整理し、筋道を立てて結論を導く力です。採用面接でこの力を見抜く場面では、あえて抽象的な質問を投げかけ、回答の背景や根拠を深掘りすることが効果的とされています。たとえば、次のような問いが挙げられます。あなたを動物に例えると?桃太郎ならどの動物を連れて行くか?その理由を3つに分けて説明してほしいこれらの質問を通じて、特徴の抽象化、判断基準の明確化、要素の整理力などが見えてきます。入社意欲を確認する意図の質問採用面接では、候補者のスキルや経験に加えて「なぜ当社を選んだのか」を見抜くことも面接官の重要な役割です。志望動機を掘り下げる質問は、定着の見込みや活躍の可能性を判断するうえで欠かせません。例として以下のような質問を通じて、企業理解の深さや価値観の一致度を測ることができます。当社を志望した理由は?関心のある仕事は?同業他社との違いは?入社後に挑戦したいことは?こうした質問設計と深掘りの姿勢が、人材の適性を見抜くポイントとなります。コミュニケーション能力を確認するための質問採用面接では、話し方の巧拙ではなく「意図を正しく理解する力」と「明確に伝える力」の両面から応募者を評価することが重要です。短時間で見極める場面では、質問設計がポイントとなります。以下の質問は、理解力・表現力・対人対応力を多面的に把握するために効果的です。簡単に自己紹介をお願いします周囲からどのような人だと言われますかチームで意見が割れたとき、どう対処していましたか抽象的な質問にどう対応しますか苦手なタイプの人とどう関わってきましたかマネジメントスキルを確認する質問マネジメント経験者の採用では、単なる管理経験の有無ではなく「再現性のある実行力」を見抜くことが重要です。面接では判断力やリーダーシップ、育成姿勢を多角的に確認できる質問を意識しましょう。例として、以下のような質問を組み合わせることで、応募者のマネジメント力をより的確に把握できます。管理職として担っていた役割は?チームの課題にどう対応してきましたか?指示を出す際に意識している点は?理想の管理職像は?面接中盤ではこの領域を重点的に確認し、自社の人材要件と合致するかを見極めましょう。転職理由や退職理由に関する質問面接官が転職・退職理由を尋ねる目的は、応募者が早期離職しないか、自社に適応できるかを見極めるためです。単に表面的な理由を確認するのではなく、背景にある価値観や課題への向き合い方を掘り下げることが重要です。例として以下の質問を組み合わせると、行動特性や思考の深さが把握しやすくなります。前職を退職した理由は?転職を考えたきっかけは?不満や課題にどう対応したか?同様の状況に直面したらどうするか?転職で実現したいことは?当社でその課題をどう解消できると考えるか?これらの質問から、履歴書では見えない応募者の本質に迫ることができます。募集内容・採用条件を確認する質問採用面接の終盤では、業務内容や勤務地、残業時間、給与などの条件を応募者とすり合わせることが重要です。認識にズレがあると、早期離職や内定辞退の原因になりかねません。例として、以下のような質問を通じて希望条件や柔軟性を確認しておきます。月20時間程度の残業がありますが、問題ありませんか?土曜出勤の可能性がありますが、対応は可能ですか?ご希望の年収を教えてください条件の確認は、安心して働ける環境づくりにもつながります。逆質問を促す際の質問採用面接の終盤における「何か質問はありますか?」という一言は、応募者の志望度や理解度を見抜く重要な機会です。面接官がすべきことは、形式的に問いかけるのではなく、対話を通じて人材の本質に迫る質問を意識することにあります。以下のように、目的に応じて逆質問を促すことで、応募者の視点や関心軸を具体的に把握しやすくなります。入社後に不安な点はありますか?当社についてさらに知りたいことはありますか?私の立場で答えられる範囲でお答えしましょうか?あらかじめ質問を一覧化し、面接フェーズに応じて使い分ける姿勢が、選考精度を高めるポイントとなります。「向上心」を見極める質問採用面接で向上心を見抜く場面では、応募者の成長意欲や学び続ける姿勢に焦点を当てた質問が効果的です。面接官がすべきことは、志望動機やキャリア観だけでなく、現在の行動から将来の成長ポテンシャルを見極めることにあります。例として次のような質問がおすすめです。継続して学んでいることはありますか成長を実感した経験はありますかモチベーションの源は何ですか限られた時間の中でも、こうした問いを通じて人材の本質に迫ることが面接官に求められます。面接官が質問をする目的とは採用面接では、ただスキルや経歴を確認するだけでなく、応募者の価値観や人柄、自社との相性まで多角的に見極める必要があります。ここでは、面接官が質問を行う目的について解説します。面接を実施する目的面接は、応募者のスキルや経験を見極めるだけでなく、企業と応募者が互いを理解し合うための重要な場となります。企業側は、候補者の価値観や人柄、自社との相性を多角的に確認し、採用要件に適しているかを判断するのです。一方で、応募者にとっては、仕事内容や職場環境、キャリアパスなどを具体的に知る機会となり、不安を解消しながら入社意欲を高める場にもなります。面接は「選ぶ立場」と「選ばれる立場」が交差する過程であり、双方が納得できる関係を築くことが、採用成功への第一歩です。面接官に求められる役割面接官は、応募者の能力や経験を見極めるだけでなく、自社の価値観や文化との適合性を判断するという重要な役割を担っています。単なる質問の応答ではなく、限られた時間の中で「自社で長く活躍できる人材か」を多角的に評価する姿勢が求められます。また、面接官は応募者にとって企業の印象を左右する存在でもあり、質問の意図を明確に伝えながら、安心して話せる雰囲気をつくることが大切です。誠実な対話を意識すれば、応募者の理解と信頼が深まり、入社意欲の向上にもつながります。面接官が聞いてはいけないタブーな質問面接では応募者の適性や能力に基づく評価が原則ですが、本人の責任でない事項や自由にすべき内容に踏み込む質問は、就職差別や法令違反につながる恐れがあります。厚生労働省もガイドラインで具体的に禁止項目を示しています。例として、以下のような質問はNGです。家族や住宅状況(例:「ご両親の職業は?」「持ち家ですか?」)宗教・政治的信条(例:「支持政党は?」「尊敬する人物は?」)人生観や信条(例:「人生の目標は?」「信条としている言葉は?」)面接官はこうした質問を避け、公正で安心できる選考環境づくりに努めましょう。参考:厚生労働省「応募者の適性・能力に関係のない質問は違反です!」≫面接で聞いてはいけない質問はこちら採用面接の質問で心がけるべきポイント採用面接では、限られた時間内に応募者の本質を見抜くために、質問の内容だけでなく、その聞き方や雰囲気づくりも重要な要素となります。ここでは、面接官が質問時に心がけるべきポイントについて解説します。事前に採用基準を再度意識しておく採用面接では、面接官が質問を始める前に「自社が求める人材像」を明確に再確認しておく必要があります。採用基準が曖昧なままでは、質問の焦点が定まらず、応募者の適性を正しく判断できなくなるおそれがあります。また、複数の面接官が関与する場合、基準の不一致によって評価にばらつきが生じ、結果としてミスマッチを招く可能性も否定できません。評価軸や見極めポイントをあらかじめ共有しておくことで、歩留まりの改善や選考工数の削減にもつながります。話しやすい雰囲気を意識する応募者の本音を引き出す場面では、面接官が話しやすい雰囲気づくりを意識することが大切です。冒頭では天候や趣味の話題など、雑談を交えて緊張をほぐすと効果的です。いきなり本題に入らず、自然な会話から心を開いてもらう工夫が求められます。特にオンライン面接では、接続状況の確認や聞こえづらい場合の対応をあらかじめ伝えることで、安心感を与えることが可能です。また、面接官自身の業務紹介や、表情・声のトーンに配慮することで、応募者がリラックスして話しやすくなります。質問の順序や言い回しも含め、雰囲気づくりは面接官の重要な役割です。本音を引き出せるよう深堀する応募者の本音を引き出す場面では、背景に踏み込む質問と安心感のある雰囲気づくりが重要です。「なぜそう考えたのか」「どんな経緯で判断したのか」と聞くことで、価値観や人柄が見えてきます。共感を示しながら傾聴すれば、自然な対話につながります。効果的な聞き方の例は以下のとおりです。「具体的なエピソードは?」で具体性を加える「なぜそう思ったのですか?」で価値観を探る「そのとき何を学びましたか?」で成長意欲を確認するスキル以上に人物像を捉える工夫が、見極めの精度を高めます。面接官が聞くべき質問のまとめ採用面接では、スキルや経歴だけでなく、応募者の価値観や意欲、柔軟性などを総合的に見極める視点が重要です。本記事で紹介した14の質問は、そうした人物像に迫るための効果的な質問といえます。面接官は、質問の背景にある目的を明確にしたうえで、安心して話せる空気をつくることが求められるのです。その姿勢が、応募者の本音や可能性を引き出し、結果として採用の精度向上にもつながります。自社にふさわしい人材を見極められるよう、対話と深掘りを大切に面接を進めていきましょう。もし、「面接がうまくいかない…」「良い採用ができていない」そんな悩みがあれば、面接代行に依頼すると効率よく採用できます。面接のノウハウを持った採用のプロ、アズライトに相談してみましょう。問い合わせはこちら≫