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タレントアクイジションとは未来志向の採用戦略?従来手法との違い・成功ポイント

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2026.1.18

タレントアクイジションとは未来志向の採用戦略?従来手法との違い・成功ポイント

この記事の監修者:

株式会社アズライト 佐川稔

「応募が来ても優秀な人材がいない」「せっかく採用したのにすぐに辞めてしまう」

人材獲得競争が激化する現代において、採用の悩みは尽きません。

もはや単なる欠員補充では、企業の未来は築けません。そこで近年、事業成長と競争優位性を見据え、戦略的な人材確保を目指す企業が注目しているのが「タレントアクイジション」という未来志向の採用戦略です。

本記事では、タレントアクイジションの基本概念から、従来の採用手法との決定的な違い、成功のための実践ポイント、具体的な手法、メリット・デメリットまでを網羅的に解説します。

タレントアクイジションとは

タレントアクイジションとは

タレントアクイジションとは、企業の持続的な成長と未来の競争優位性の確立を目的とし、優秀な人材を戦略的かつ継続的に確保する活動全般を指します。

「タレント(Talent:才能・資質のある人)」と「アクイジション(Acquisition:獲得・入手)」の言葉が示す通り、その本質は「優秀な人材の獲得」です。

日本語では「戦略的人材獲得」や「人材戦略」と訳され、未来志向の経営戦略として位置づけられています。タレントアクイジションは、短期的な充足ではなく、長期的な視点で企業の成長エンジンとなる人材を「攻め」の姿勢で築き上げるプロセスです。

タレントアクイジションと従来の採用の違い

タレントアクイジションと従来の採用の違い

タレントアクイジションと従来の採用手法の最も大きな違いは、その時間軸と戦略性にあります。

項目

タレントアクイジション

従来の採用(リクルーティング)

時間軸

長期的・継続的(未来のニーズを見越す)

短期的・突発的(現在の欠員を埋める)

スタンス

戦略的・能動的(企業成長の原動力と捉える)

受動的・対応的(要求された業務をこなす)

目的

優秀な人材との長期的な関係構築と確保

求人枠の早期充足

焦点

企業全体の戦略的目標と人材の能力

特定の職務要件への適合

従来の採用は、「目の前の穴埋め」に焦点を当てた短期的な戦術であるのに対し、タレントアクイジションは「未来の企業価値向上」を見据えた中長期的な戦略です。

タレントアクイジションでは、常に市場にある優秀な人材に目を向け、採用に至る前から継続的にアプローチし、関係を築き続けることを重視します。

タレント・アクイジションの考え方

タレント・アクイジションの考え方

タレントアクイジションのプロセスは、人材を「見込み客(リード)」として捉え、段階的に関心を高めて最終的に「採用」に至るという、マーケティングのファネル(漏斗)に似た考え方で構成されます。

ここでは、主要な3つのフェーズを解説します。

リードジェネレーション

リードジェネレーションとは、将来的に企業が必要とする優秀な人材を特定し、接点を創出してリスト化する、採用プロセスの初期戦略です。

単なる求人応募を待つのではなく、ターゲットとする人材像(ペルソナ)を明確にした上で、彼らが接触する場所(SNS・イベント・ブログなど)で企業ブランドを積極的に露出させます。

リードジェネレーションの目的は、まだ転職意向がない潜在層との最初の接点を能動的に創出し、次のステップであるナーチャリングにつなげることです。

リードナーチャリング

リードナーチャリングとは、リードジェネレーションで発掘した潜在的な候補者に対し、中長期的に関心度を育成・維持するプロセスです。

すぐに応募・採用には至らない「転職潜在層」を対象に、企業のビジョンやカルチャー、働きがいに関する情報や価値あるコンテンツを継続的に発信します。

これにより、候補者が本格的に転職を考え始めた「その時」に、自社が第一の選択肢となるよう、長期的な信頼関係と志望度を戦略的に高めていきます。

リクルーティング

リクルーティングとは、タレントアクイジション・プロセスにおける最終的かつ決定的な実行フェーズです。リードナーチャリングを通じて志望度が高まった候補者や新規応募者を対象に、面接、スキル評価、オファー交渉といった具体的な選考活動を行い、内定・入社まで導きます。

タレントアクイジションにおけるリクルーティングの鍵は、プロセス全体で候補者体験を最大化することです。

選考の迅速さ、透明性の高いフィードバック、企業文化とのフィット感の深い相互確認を通じて、内定辞退を防ぎます。

タレント・アクイジションで用いられる採用手法

タレント・アクイジションで用いられる採用手法

タレントアクイジションは、従来の「待ち」の採用ではなく、企業から能動的に優秀な人材にアプローチし、長期的な関係を構築する未来志向のアクティブな手法を多用します。

ここでは、タレントアクイジションにおいて特に重要な役割を果たす代表的な採用手法を解説します。

タレントプールリクルーティング

タレントプールリクルーティングとは、タレントプール(人材情報のデータベース)を中核に据える戦略的な採用手法です。

この手法では、将来的な企業の採用ニーズを見据え、過去の応募者やイベント参加者、社員紹介候補者など、あらゆる接点を通じて得られた人材の情報を継続的に蓄積・管理します。

そして、これらの候補者と継続的に関係を構築しながら、企業のニーズが発生した適切なタイミングで能動的にアプローチを行います。

いざ採用が必要になった際、既に自社に興味を持つ候補者の中から選考対象者を見つけられるため、採用にかかる時間とコストを大幅に削減できるのがメリットです。

ソーシャルリクルーティング(ネットワーキング)

ソーシャルリクルーティングは、LinkedInやX(旧Twitter)などのSNSを、情報発信と人材ネットワーキングの場として戦略的に活用する手法です。

従来の広告ではアプローチしにくい転職潜在層に対し、企業のリアルな文化や社員の声を届け、エンプロイヤーブランディングを推進し、潜在的な関心を引き出します。

また、人事や現場社員がターゲット人材へ直接コンタクトを取るダイレクトリクルーティングの一環としても機能します。

リファラル採用

リファラル採用は、自社の社員に友人や知人を紹介・推薦してもらう採用手法です。

社員は自社のビジネスや文化を深く理解しているため、紹介・推薦される候補者は企業文化への適合性(カルチャーフィット)が極めて高い傾向にあります。これにより、採用後の定着率と活躍度が向上します。

また、リファラル採用は、新たな広告費用が発生しないため採用コストを抑えられるだけでなく、社員が会社の成長に貢献することでエンゲージメント向上にもつながる、多角的なメリットを持つ戦略です。

ブランドマーケティング

ブランドマーケティングとは、企業の「働く場」としての本質的な魅力と価値を定義し、それを一貫したメッセージとして市場に発信し続ける長期的な戦略です。

企業サイトや採用ページ、SNSなどを通じて、企業の存在意義・価値観・文化・社員の成功事例を積極的に伝えます。

これにより、「この会社で働きたい」と候補者に感じさせ、優秀な人材からの応募を能動的に引き出すための基盤を築きます。

インターナルモビリティ

インターナルモビリティとは、外部採用に頼らず、既存の社員を他の部署やポジションに配置転換することで、組織の必要な人材を充足する戦略です。社内の人材データを分析し、社員の持つスキルや潜在能力、キャリア志向を把握することで、最適な配置を実現します。

これは、社員のキャリア形成を支援して離職を防ぐとともに、組織全体のスキルギャップを迅速に解消する手法です。持続可能なタレントアクイジション戦略において、組織の成長と個人の成長を両立させる不可欠な機能として注目されています。

タレントアクイジションのメリット

タレントアクイジションのメリット

タレントアクイジションは、従来の採用手法を超えた戦略的な取り組みであるため、企業の成長と競争優位性に直結する数多くのメリットをもたらします。

ここでは、特に重要となるメリットについて解説します。

優秀な人材を獲得できる可能性が高い

タレントアクイジションを導入するメリットは、企業の成長に不可欠な優秀な人材を獲得できる可能性が飛躍的に高まる点にあります。

これは、タレントアクイジションが企業の未来を担う人材を戦略的ターゲットとして定義し、従来の受動的な「欠員補充」とは一線を画す能動的なアプローチを取るからです。

具体的には、ソーシングやネットワーキングを通じて市場に出ない転職潜在層に直接働きかけるとともに、エンプロイヤーブランド(採用ブランド)を強化し、企業自体の魅力を高めます。

これにより「選ばれる企業」となり、従来の採用活動では接点を持てなかったハイレベルな人材を継続的に確保するための強固な基盤が築かれます

組織力の底上げが期待できる

タレントアクイジションは、単なる人材確保に留まらず、組織力全体の底上げを可能にする戦略です。なぜなら、タレントアクイジションは企業の事業戦略と人材戦略を直結させ、未来の成長を牽引する、カルチャーフィットと成長ポテンシャルの高い人材の採用に焦点を当てるからです。

さらに、インターナルモビリティ(社内異動)の活用により、既存社員のスキルを最大限に活かした最適なチームへの配置を促進します

結果として、外部から新しい価値を取り込みつつ、組織内部のパフォーマンスと柔軟性を高め、イノベーションを生み出しやすい強靭な組織を形成できます。

マッチング率が高い

タレントアクイジションは、採用後の人材とのマッチング率が非常に高いというメリットを持ちます。これは、タレントアクイジションが候補者と企業の「相互理解の深化」をプロセスの中核に据えているからです。

具体的な活動では、リードナーチャリングの段階から企業のビジョンや文化を継続的に発信し、候補者の企業理解を深めます

。また、面接プロセスでは単なるスキル評価を超え、価値観やカルチャーフィットの相互確認を丁寧に行うとともに、適合性が高いリファラル採用なども多用します。

これにより、入社前後のミスマッチや早期離職を最小限に抑え、高い定着率と早期の事業貢献の実現が可能です。

採用コストを軽減できる

タレントアクイジションは初期投資を要するものの、中長期的には採用コストの軽減に大きく貢献します。これは、タレントアクイジションが外部の高コストなチャネルへの依存度を低減し、自社主導で人材を獲得する持続可能な仕組みを構築するからです。

具体的には、タレントプールやリファラル採用などの低コストな手法が中心となり、広告費や人材紹介手数料などを削減します。

さらに、高いマッチング率によって早期離職が減少し、再採用コストを抑制します。

この費用対効果の高い構造はタレントアクイジションの採用投資対効果(ROI)を劇的に向上させる最大の要因です。

タレントアクイジションのデメリット

タレントアクイジションのデメリット

タレントアクイジションは多くのメリットをもたらす一方で、従来の採用手法にはない特性と難しさも伴います。

ここでは、導入を成功させるために理解しておくべき、主なデメリットと潜在的な課題点を解説します。

実施の難易度が高め

タレントアクイジションは単なる人事部門の採用活動ではなく、経営戦略に基づいた広範な取り組みであるため、実施の難易度が高めです。

成功には、採用計画の立案からエンプロイーブランディング、CRMシステムを活用した候補者との長期的な関係構築、そして高度なデータ分析まで、多岐にわたる専門的なスキルが求められます。

また、人事、経営層、マーケティング、現場部門など組織横断的な連携が不可欠です。このため、特定の部門のみの努力では達成できず、全社的な意識改革と専門知識を持つ体制構築が求められます。

早く人材を採用したい場合には向いていない

タレントアクイジションは、短期的なニーズへの迅速な対応には不向きというデメリットがあります。

タレントアクイジションのプロセス、特にリードジェネレーションやリードナーチャリングは、タレントプールを構築し、潜在候補者との信頼関係を築くために、数ヶ月から数年に及ぶ長期的な視点で行われるからです。

そのため、「今すぐ欠員を埋めたい」「来月までに採用を完了したい」といった緊急性の高い戦術的なニーズには迅速に対応しにくい側面があります。

新手法のため事例が少ない

タレントアクイジションは、特に日本において比較的新しい概念であり、その手法やフレームワークが広く浸透し始めたのは最近です。

そのため、特に中小企業や非IT業界では、人事部門が参照できる成功事例や具体的なノウハウの蓄積がまだ少ないという課題があります。導入を検討する際、人事は自社と類似した組織の成功モデルを見つけにくく、手探りで独自の戦略を構築する必要が生じやすい傾向にあります。

タレントアクイジションの成果を高めるには、外部の知見を取り入れつつも、自律的にPDCAサイクルを回し、ノウハウを内製化していく姿勢が必要です。

費用対効果が低い

タレントアクイジションは長期的なコスト軽減に貢献しますが、短期的には費用対効果が低く見える可能性があります。

これは、タレントプールの構築、ブランドマーケティングのためのコンテンツ制作、そして採用管理システム(ATS)やCRMなどのテクノロジー導入に初期コストがかかるためです。

これらの先行投資に対し、採用成果がすぐには追いつかない期間があることで、費用対効果が低いと判断されるリスクが生じます

このリスクを回避し、経営層や現場からの理解を得るためには、短期的な指標だけでなく、長期的な投資対効果を明確に示し、評価される仕組みを構築することが重要です。

タレントアクイジションを実施する流れ

タレントアクイジションを実施する流れ

タレントアクイジションは、場当たり的な採用活動ではなく、明確な手順に基づいて進められるべき戦略的なプロセスです。

ここでは、タレントアクイジションを成功させるための主要なステップを解説します。

自社のポジション・現状を分析する

戦略の出発点は、自社の現状と市場におけるポジションを正確に把握することです。これにより、どのターゲット層に対し、どのような手法でアプローチすべきかという戦略の方向性を定められます

具体的には、現在の従業員のスキルセット、パフォーマンス、キャリア志向を分析し、「社内のどのポジションに、どのようなスキルギャップが存在するか」を特定します。

同時に、競合他社と比較した自社の働く魅力や市場でのブランドイメージを分析し、自社の採用市場における強みと弱みを明確にしましょう。

この現状分析が、将来的に必要な人材を特定するための土台となります。

経営戦略や事業戦略から逆算して採用計画を考える

次に、自社の現状分析に基づき、次に経営戦略や事業戦略に合致した採用計画を策定します。

タレントアクイジションは短期的な欠員補充ではなく、企業が目指す未来のビジョンを達成するために必要な人材を逆算して定義する、最も戦略的なステップです。

具体的には、3年後、5年後に向け、「いつまでに」「どのようなスキル・ポテンシャルを持つ人材が」「何人」必要なのかを明確化しましょう。

この計画には、採用ペルソナ(ターゲット像)、最適な採用チャネル、そして各フェーズでのKPIが盛り込まれます。これにより、人材要件が企業の成長戦略に直結し、採用活動が「未来への投資」として機能します。

採用ブランドを構築する

採用計画が定まったら、それを実現するための「採用ブランド」を構築・強化します。これは、企業が「働く場」として持つ独自の魅力や価値を定義し、一貫性のあるメッセージとして市場に発信し続ける戦略的活動です。

企業の存在意義、価値観、文化を具体的に伝えることで、候補者に深い共感を促します。

採用ブランドが確立されると、リードジェネレーションが強化され、優秀な人材からの自発的な応募やタレントプールへの質の高い人材の流入が促進されます。

タレントアクイジションを成功させるポイント

タレントアクイジションを成功させるポイント

タレントアクイジションは、単なる手法ではなく、企業の文化や体制に根ざした戦略です。

ここでは、タレントアクイジションを効果的に機能させ、持続的な成功を収めるために不可欠な3つの実践ポイントを解説します。

組織の基盤を固める

タレントアクイジションを成功させるには、まず組織全体の基盤確立が不可欠です。

これは、タレントアクイジションが単なる人事部門の活動ではなく、経営戦略に直結する広範な取り組みであるため、全社的なコミットメントが必要となるからです。

具体的には、経営層の強力な関与のもと、現場社員を「採用アンバサダー」として巻き込む組織横断的な連携こそが、一貫したブランドメッセージの発信と優れた候補者体験の提供を可能にする基盤となります。

さらに、外部から経験者を採用して専門知識を取り込む、あるいはコンサルタントから外部アドバイスを得ることで推進の基盤確立を早められます。

緻密な計画や戦略策定をする

タレントアクイジションは長期戦であるため、緻密な計画と戦略策定が欠かせません。

戦略策定においては、まず経営戦略から逆算して、採用ペルソナ(求める人材像)、最適な採用チャネル、そして候補者とのコミュニケーション戦略など、すべてのプロセスを詳細に設計する必要があります。

一度戦略を策定したら終わりではなく、各採用フェーズでKPI(重要業績評価指標)を設定し、データに基づき継続的に効果を測定・分析しましょう

リテンションも意識する

タレントアクイジションの目的は、単に優秀な人材を採用することではなく、採用した人材による企業価値の創造にあります。そのため、採用後のリテンション(人材の定着)までを、一連のプロセスとして意識する必要があります。

具体的には、オンボーディング(入社後の立ち上がり支援)をタレントアクイジションのプロセスと連携させ、新入社員が早期に新しい環境に馴染み、活躍できる仕組みを提供しましょう。

また、インターナルモビリティ(社内異動)を活用するなど、社員が「この会社で成長し続けられる」と感じられるキャリア形成の機会を提供することが、長期的なリテンションとタレントアクイジション戦略の成功につながります。

タレントアクイジションのまとめ

タレントアクイジションは、従来の欠員補充とは一線を画す、企業の成長戦略に直結した未来志向の採用戦略です。

その核心は、経営戦略に基づき人材を定義し、リードナーチャリングやブランディングを通じて転職潜在層と長期的な関係を築くことにあります。これにより、優秀でマッチング率の高い人材を継続的に獲得し、組織力の底上げを実現します。

ぜひこの記事を参考にして、緻密な計画とデータ分析、そして経営層から現場までを巻き込む全社的な組織基盤を構築してタレントアクイジションを成功させましょう。

タレントアクイジョンを活用した採用戦略は難しい、ノウハウがないという場合はプロへ相談しましょう。

採用戦略が得意なアズライトなら課題解決に役立ちます。

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この記事の監修者

株式会社アズライト 佐川稔

株式会社アズライト代表取締役。採用がうまくいかない優良企業を採用できる企業へ改革するために、戦略・運用に特化した採用コンサルティングファーム「株式会社アズライト」を創業。キャリアに悩む方々のために就活・転職相談BAR「とこなつ家」を池袋にて共同経営中。