採用手法
採用活動
2026.1.18
この記事の監修者:
株式会社アズライト 佐川稔

「なぜ選考辞退が多いのか?」「部門ごとに選考対応がバラバラで困っている」
人材の採用活動を進める中で、このような課題に直面していませんか。
採用の成功は、優秀な人材のスカウトや求人広告に頼るだけでは実現しません。実は、応募者の満足度と内定承諾率を大きく左右するのは、採用フローの戦略的な設計です。
本記事では、採用フローの基本構成から、新卒・中途それぞれの具体例、フローを導入するメリット、そして自社に合ったフローの具体的な作り方までを徹底解説します。ミスマッチを防ぎ、採用を成功に導くための基盤を構築しましょう。

採用フローとは、企業が人材を募集してから入社に至るまでの一連のプロセス(道筋)を指します。
これは単なる選考手順を定めたものではなく、「誰を、どのような基準で、どの順番で評価し、採用するか」という企業の採用戦略そのものを具体化したものです。
とはいえ、採用フローの内容は、すべてが同じというわけではありません。新卒採用か中途採用か、募集する役職や職種、さらには企業の採用規模や文化によって、採用フローは大きく異なります。
そのため、特定の採用フローがすべての採用活動に適切であるわけではなく、自社の採用要件や目的に合わせ、カスタマイズされた最適なフローを設計することが、採用活動の成功には不可欠となります。

採用フローの流れは企業の戦略や採用ターゲットに応じて設計されます。
ここでは新卒・中途を問わず、多くの企業で共通して実施される基本的な5つのステップについて解説します。
募集は、採用活動のスタート地点であり、企業の魅力を伝える最初の機会です。この段階では、採用要件(求める人物像、スキル、経験)を明確にした上で、ターゲットとなる人材にアプローチします。
具体的な手法は、求人広告や人材紹介会社、ダイレクトリクルーティング、リファラル採用、企業説明会などがあります。特に近年は、インスタグラムやその他のSNSを通じて、企業のカルチャーや働く社員の姿など、魅力を視覚的に発信するのも有効な手段です。
多様化する求職者層にアプローチするためには、一つの手法に頼るのではなく、複数のチャネルを組み合わせ、企業の魅力と仕事内容を正確に伝えることが重要です。
応募者の基本情報やスキル、適性が企業の求める基準を満たしているかを確認し、面接に進む人を選抜するための重要なステップです。
このプロセスは、書類選考と筆記試験・適性検査で構成されるのが一般的です。書類選考では、履歴書やエントリーシートから、過去の経験、スキル、志望動機などを総合的に評価します。筆記試験・適性検査は、基礎学力や論理的思考力、性格特性などを客観的なデータとして測定する目的で実施されます。
次の面接フェーズに進む人数を適切に絞り込み、選考の効率化と公平性を確保するためには、事前に明確で一貫性のある評価基準を設けておくことが不可欠です。
面接は、応募者と担当者が直接対話し、相互理解を深める重要なステップです。書類では判断できない熱意や人柄、コミュニケーション能力、などを多角的に見極める場となります。
面接の種類は、1対1の個人面接のほか、グループ面接やグループディスカッションなどがあります。面接回数は企業によりますが、自社にマッチする人材か適性を見るために複数回行うのが一般的で、2回〜3回実施する企業が多いです。
ミスマッチを防ぎ、応募者体験を高めるためには、面接官のトレーニングと評価基準の統一が不可欠です。
このステップは、最終面接の結果に基づき内定(または不採用)を通知する段階です。単なる結果通知に留まらず、応募者の入社意欲を固めるための重要な機会となります。
採用決定者には、内定通知書と共に、給与や勤務地などの詳細な労働条件通知書を速やかに発行し、応募者に安心感と企業への信頼感を与えることが重要です。
なお、新卒採用においては、正式な内定通知に解禁日(一般的に大学4年生の10月1日)が設けられています。このため、それ以前の合格は「内々定通知」として伝えられ、多くの企業は10月1日の内定式で正式な内定通知を行います。
さらに、内定承諾後から入社までの期間には、懇親会や入社前研修など計画的なフォローアップの実施が不可欠です。
内定者が正式に入社するにあたり、必要となる最終的な事務処理と受け入れ準備を行うステップです。この段階をスムーズに行うことで、内定者は安心して入社日を迎えることができます。
主な手続きとして、まず雇用契約書への署名や身元保証書、年金手帳、雇用保険関連書類など、入社に必要な各種書類の回収を行います。並行して、企業側は入社後の受け入れ体制を整えなければなりません。
具体的には、新入社員が使用するデスクやPCなどの備品準備、社内システムのアカウント発行、研修資料の準備、現場でのOJT担当者のアサインなどが含まれます。
これらの手続きを経て、応募者は正式に企業の一員として迎え入れられます。

新卒採用では、応募者のポテンシャルやカルチャーフィットを見極めるため、企業側が多くの時間をかけ、多様なステップを設けるのが特徴です。
ここでは、代表的なフロー例を紹介します。
説明会・選考一体型は、会社説明会と一次選考を同日に行う採用フローです。これにより、選考プロセスを大幅に短縮できます。
一般的な流れは、以下の通りです。
プレエントリー
エントリーと応募書類の提出
企業説明と筆記試験やグループディスカッション
一次面接
最終面接
このフローの最大の目的は、内定出しまでの期間を短縮し、他社との内定競争において優秀な人材を早期に囲い込むことです。
しかし、スピードを重視するあまり、学生の企業理解が浅いまま選考が進んでしまうため、内定辞退や入社後のミスマッチが発生しやすいという懸念点も併せ持っています。
インターンシップ型は、選考過程の一部または全体にインターンシップ(就業体験)を組み込む採用フローです。実施期間は短期から長期までさまざまです。
この型では、新卒の学生に実際の業務を体験してもらうことで、企業側は学生の実践的なスキル、適性、意欲を深く把握し、評価します。インターンシップ期間中の評価に基づき、筆記試験や一部面接を省略して選考に進みます。
インターンシップ型の最大のメリットは、企業側は客観的な評価を得られる点、学生側は企業理解が深まる点にあり、結果として入社後のミスマッチを大幅に軽減できることです。
一方で、採用活動が長期化すること、インターンシップの企画・運営に大きな工数がかかる点は留意が必要です。
テスト先行型は、会社説明会よりも先に、書類選考や筆記試験・適性検査を実施し、候補者を絞り込んでから次のステップに進むフローです。
募集に対してまずWebテストなどを受験してもらい、その結果に基づき、企業が求める基礎能力を持つ候補者を選抜します。これは、応募数が多い場合に、人事の業務負荷を軽減し、選考の公平性を確保したいときに有効です。
絞り込まれた候補者に対してのみ会社説明会や面接を実施することで、採用活動全体の効率化を図ります。

中途採用フローは、応募者の即戦力となるスキルと経験が評価軸の中心となるため、新卒採用に比べて選考期間が短く、個別対応を重視する傾向があります。
ここでは、代表的なフロー例を紹介します。
リファラル採用は、自社の社員から知人や友人を紹介してもらう採用フローです。
社員からの紹介であるため、応募者は企業の文化や仕事内容への理解度が高く、入社後のミスマッチが少ないことが最大のメリットです。また、採用コストを大幅に抑えられ、信頼性の高い人材を確保しやすい特徴があります。
【リファラル型の一般的な流れ】
社員に対して採用情報を周知
社員からの紹介
面接(1~2回)
内定
内定者フォロー
入社
リファラル採用についての詳細はこちら≫
リクルーター型は、自社の社員が出身大学のネットワークを活用し、同じ大学を卒業した人材を採用するフローです。
リクルーター役の社員が候補者(後輩)と非公式に接触し、企業情報や選考情報を提供することで、選考前から強固な関係性を構築します。
主な目的は、特定の大学との間に優秀な人材確保のためのパイプを構築することです。候補者側にとっては、OB・OGを通じたリアルな情報収集が可能となり、選考開始前から入社意欲を効果的に高められるメリットがあります。
【リクルーター型の一般的な流れ】
採用広報開始
リクルーター(社員)による出身大学の後輩との接触
カジュアル面談・情報提供
本エントリー
面接
内定
内定者フォロー
入社

採用フローを明確に作成し、社内で共有することには多くの利点があります。
ここでは、特に重要となる3つのメリットを解説します。
採用フローを作成すると、採用活動に関わる関係者間の連携を強化できます。
採用活動は、人事部門だけでなく、面接官を務める現場部門や労働条件を決定する経営層など、多くの関係者が関わるプロジェクトです。フローを明確にすることで、「誰が、いつ、何をすべきか」という役割分担と手順が可視化されます。
これは、面接官が候補者の評価基準をすぐに確認できる場合や、人事部門が現場のフィードバックに基づいて迅速に次の選考を設定できる場合に特に有効です。
関係者間の情報共有がスムーズになれば、認識のズレや対応の遅れを防ぐことができ、結果として選考の停滞や応募者への連絡漏れといったヒューマンエラーを最小限に抑えられます。
採用フローを作成することで、採用活動における異常や問題点を早期に発見し、迅速に対応することが可能になります。フローを定めると、各ステップの通過率や辞退率が数値として明確に可視化され、「標準値」が設定されるからです。
例えば、「二次面接後の辞退率が急上昇した」という採用課題が発見された場合、問題が二次面接にあると特定でき、すぐに面接官トレーニングの見直しといった具体的な改善策を実行できます。
このように、明確なフローを基準とすることで、問題発生から解決までの時間を劇的に短縮し、採用活動のPDCAサイクルを効率的に回せるようになります。
明確な採用フローは、応募者の選考離脱リスクを軽減する効果があります。採用フローを体系化することで、応募者に対して「次に何があるか」「いつまでに結果が出るか」といった選考の全体像と見通しを明確に伝えられるようになるからです。
フローが不透明であったり、選考の進行が遅れたりすると、応募者は企業に対する不信感や不安を感じ、選考途中で他社へ流れたり、内定を辞退したりといった離脱リスクが高まります。
企業側がフローや各ステップの所要期間を事前に提示することで、応募者の不安を解消し、選考への納得感を高めることが、優秀な人材の獲得に直結します。

効果的な採用フローを設計するためには、単に選考ステップを並べるだけでなく、事前に準備すべき重要な手順があります。
ここでは、採用フローを作成するまでの具体的な3つの流れを解説します。
採用フローを作成する最初のステップは、「いつまでに」「どのようなポジションに」「何人」採用するかという具体的な目標を数値で明確に設定することです。
単に「良い人を採用する」ではなく、「来期の新プロジェクト立ち上げのため、3ヵ月以内にWebエンジニアを3名採用する」といった具体的な目標を設定しましょう。この目標が、採用活動の予算配分、スケジューリング、そして選考のスピード感を決定づける基礎となります。
目標が明確になれば、採用活動全体に優先順位がつき、活動終了後の効果測定も容易になります。
採用ペルソナとは、自社が最も採用したい理想の人物像を具体的に設定したものです。
年齢、性別、学歴、スキルといった表面的な要素だけでなく、「どのような価値観を持ち、どのような職務経験や成功体験を持ち、転職において何を重視しているか」といった深い人物像まで落とし込みましょう。
ペルソナ設計を行うことで、採用要件が明確化し、選考における評価基準が一貫したものになります。
また、ペルソナに響くような最適な広報媒体やアプローチ方法を選定できるようになり、無駄な選考工数の削減にもつながります。
採用目標とペルソナが固まったら、具体的なフローの設計に取り掛かります。
まず、基本的な選考ステップをベースとしつつも、ペルソナに合わせたカスタマイズが不可欠です。例えば、中途採用はスピード重視、新卒採用は多角的な評価のための時間をかけるフローが適しています。
次に、選考工程を細かく洗い出し、必要な期間や候補者数を逆算して決定しましょう。これにより、適切な募集開始時期と目標母集団が明確になります。
そして、各ステップの評価者や担当者の役割、面接官のスケジュールを事前に調整しておくことも重要です。
採用フローは、単なる手順ではなく「誰を、どのような基準で採用するか」を示す採用戦略そのものです。
明確なフローを持つことで、選考の効率化、公平性の確保、関係者間の連携強化という大きなメリットが生まれます。
また、新卒採用と中途採用ではターゲットが異なるため、リファラル型やインターンシップ型など、目的やペルソナに応じたフローにカスタマイズすることが成功に不可欠です。
採用目標とペルソナを設定し、自社に合ったフローを計画的に構築・運用すること。この戦略的な基盤こそが、ミスマッチを防ぎ、優秀な人材を安定的に獲得する鍵となります。
とはいえ、自社では難しいと感じると思います。その際は、人材採用のプロであるアズライトに相談しましょう。採用フローを的確にアドバイスしてくれます。

この記事の監修者
株式会社アズライト 佐川稔
株式会社アズライト代表取締役。採用がうまくいかない優良企業を採用できる企業へ改革するために、戦略・運用に特化した採用コンサルティングファーム「株式会社アズライト」を創業。キャリアに悩む方々のために就活・転職相談BAR「とこなつ家」を池袋にて共同経営中。
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