不動産採用
不動産業界
2026.1.18
この記事の監修者:
株式会社アズライト 佐川稔

「採用してもすぐ辞めてしまう」「若手が定着しない」「経験を積ませても離職されてしまう」
このような人材に関する悩みを抱える不動産業界の企業は少なくありません。
実際に、不動産業・物品賃貸業の離職率は他業種と比べて高い傾向があり、近年では16%を超える水準となっています。
しかし一方で、労働環境や給与制度、業務のIT化を見直すことで、着実に定着率を改善している企業も増えてきました。
そこで今回は、最新の離職率データとともに、不動産業界で離職率が高くなる原因とその対策、専門エージェントの活用方法までを体系的に解説します。

現在、不動産業界では離職率の高さが依然として課題となっています。
厚生労働省「令和5年雇用動向調査」では、不動産業・物品賃貸業における離職率が16.3%に達し、全産業平均の15.4%を上回っています。
営業職を中心に、成果主義や不規則な勤務体系が若年層から敬遠されやすい傾向にあり、採用難と定着率の低さが両立している状況です。
過去3年間の離職率の推移は下記のとおりです。
年度 | 離職率 |
|---|---|
令和3年 | 11.4% |
令和4年 | 13.8% |
令和5年 | 16.3% |
不動産業界全体が慢性的な人手不足に直面するなかで、中途採用による即戦力確保への期待が高まっています。

不動産業界の離職率が他業種と比較してどの程度なのか、関心を持つ方は多いでしょう。
厚生労働省「令和5年雇用動向調査」によると、全産業の平均離職率は15.4%であり、不動産・物品賃貸業は16.3%となっています。
下表は主要業種の離職率を示したものです。
業界名 | 離職率(令和5年) |
|---|---|
宿泊・飲食サービス業 | 26.6% |
生活関連サービス・娯楽業 | 28.1% |
サービス業(その他) | 23.1% |
教育・学習支援業 | 14.8% |
不動産・物品賃貸業 | 16.3% |
建設業 | 10.1% |
金融・保険業 | 10.5% |

不動産業界では、他業種に比べて離職率が高い傾向が見られます。ここでは、不動産業界の離職率が高い主な理由について解説します。
不動産業界では、営業職を中心に「激務で離職率が高い」という印象が根付いています。
顧客対応は土日祝日に集中しがちで、内覧や契約対応に加え、資料作成などの業務が平日夜まで及ぶことも多く、結果として長時間労働が常態化しやすい構造となっています。
こうした環境下では疲労が蓄積しやすく、生産性の悪化やさらなる離職につながる懸念があるため注意が必要です。
不動産業界では「厳しいノルマが課される」という印象が強く、実際にそれが離職の一因となることがあります。
なかでも営業職は成果主義の色合いが濃いです。達成できない状態が続くと、上司からの叱責が激しくなり、場合によってはパワハラと受け取られるような指導が行われることもあります。
こうした精神的な圧力により、職場にとどまりづらくなるケースも少なくありません。
不動産業界では、離職率の高さの背景に休日の不安定さもあるといわれています。
顧客対応が土日祝に集中しやすいため、営業日が週末に設定される企業が多く、定休日は平日の水曜などに偏りがちです。そのため、家族や友人と予定を合わせにくいという不満が生じやすくなります。
こうした勤務体制はワークライフバランスを重視する人材から敬遠されやすく、早期離職や転職の引き金にもなり得ます。
不動産業界では、FAXや紙書類によるやり取り、Excelを使った物件管理、顧客情報の手入力など、アナログな業務が依然として多く残存しています。
このような非効率な体制は業務の属人化を招くだけでなく、社員一人ひとりの作業負担を増大させていることが、不動産業界の離職率が高い理由の1つです。
特に営業現場では、契約書類の作成や問い合わせ対応に時間を取られ、顧客提案など本来注力すべき業務に割ける時間が限られてしまいます。
その結果、成果が見えづらく達成感も得にくいため、仕事への意欲が低下しやすい状況にあります。
不動産業界は参入企業が非常に多く、同業他社がひしめき合う構造になっています。
選択肢の豊富さは求職者にとって魅力的に映る一方で、在職中の社員からは「他社のほうが待遇が良いのでは」と感じられる要因ともなり得ます。
その結果、転職を前提としたキャリア選択が活発になり、離職率が高くなってしまうのです。
不動産業界では「低固定給・高歩合制」の給与体系が一般的で、特に営業職は売上実績によって収入が大きく変動します。
好調なら高収入を狙えますが、成果が出ない月は収入が大幅に減り、生活が不安定になるリスクもあります。こうした仕組みは、特に若手社員の早期離職につながりやすい要因の1つです。
以下は、不動産業界と他業種の平均年収の比較です。
業種 | 平均年収(万円) |
|---|---|
不動産業 | 469 |
金融・保険業 | 652 |
情報通信業 | 649 |
卸売・小売業 | 387 |
参考:国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査 -調査結果報告-」
不動産業の年収は全国平均と同水準ですが、プレッシャーや長時間労働を踏まえると、固定給の低さが離職率に影響していると考えられます。

離職率を下げるうえで重要なのが、労働環境や評価制度の見直し、ITツールの導入、社員教育の強化など、企業による前向きな取り組みです。
ここでは、不動産業界における離職率を下げるための具体的な対策について解説します。
不動産業界の離職率を改善するうえで、社員の働き方を根本から見直すことは重要です。
営業職に業務が集中する体制では、長時間労働や休日出勤が常態化し、心身の負担が蓄積しやすくなります。定着率を高めるためには、業務の棚卸を行い、職域や制度の改善を具体的に進めることが求められます。
たとえば、以下のような対策が効果的です。
業務分担の明確化により、属人化を避けて長時間労働を抑える
振替休日や時間単位の休暇を導入し、多様な働き方に対応する
ITツールを活用して業務を効率化し、負荷の軽減とミスの抑制を図る
不動産業界では、紙ベースや特定の担当者に依存したアナログ管理が業務負担や残業を招き、離職の一因となっています。
しかし近年ではITツールの導入により、業務効率が向上し、長時間労働の是正や心理的ストレスの軽減に効果があります。
たとえば以下の施策で負担軽減が可能です。
契約書類を電子契約で自動作成
顧客情報をCRMで一元管理
紙・Excel業務をクラウドSaaSでデジタル化
内見対応をVRやオンライン接客に移行
IT活用によって業務構造が見直され、生産性や満足度の向上につながります。
不動産業界の離職対策として、給与体系の見直しは欠かせません。
従来の「低固定給・高歩合制」は成果を反映しやすい一方で、収入の変動が大きく、早期離職につながる要因となり得ます。安定した収入を求める未経験者や若手層にとっては、不安を感じやすい制度といえます。
そのため、固定給の底上げと歩合割合の調整を行い、一定の安心感を与える設計が求められるところです。
不動産業界においては、早期離職を防ぐ対策として、研修制度の見直しも重要なテーマとなっています。
特に新卒や未経験の採用が多い現場では、入社初期の支援体制が定着率を左右する傾向があります。離職リスクを抑える手段としては、段階的な研修導入が効果的です。
たとえば以下のような設計が考えられます。
入社時に業界知識と企業理念を学ぶ初期研修を実施
実務ではOJTとメンター制度を併用し、不安の軽減と定着を支援
継続的に契約対応やキャリア支援に関する研修を行い、成長実感を促進
こうした仕組みは、教育にとどまらず、組織文化の共有や将来像の明確化にも貢献します。
不動産業界の離職を防ぐうえで、採用計画の見直しも重要です。人手不足を理由に急ぎ採用を進めると、入社後にミスマッチが生じ、早期離職につながる恐れがあります。
特に若手層では、業務内容や休日制度に対する期待とのギャップが退職理由になりやすく、採用時の丁寧な情報開示が欠かせません。
採用時は以下の工夫が効果的です。
経験やスキルだけでなく、企業理念や働き方への共感も重視する
教育期間を確保しやすいタイミングで採用を行う
労働条件や制度を求人票に明記し、誤解を防ぐ
現場社員との座談会を通じて、職場のリアルを伝える
採用活動は「離職防止の第一歩」として位置づける視点が求められます。
不動産業界では短期間での人材確保が求められる場面が多く、人材のミスマッチが早期離職の一因となっています。採用・育成にかけたコストが定着前に失われる事例も少なくありません。
こうした課題に対する効果的な手段として、不動産専門エージェントの活用もおすすめです。
自社採用と不動産専門エージェントには以下の違いがあります。
自社採用では幅広い応募がある一方で、ミスマッチの発生率は高め
エージェント経由では、業界経験者を中心に絞り込め、マッチング精度が高い
面接対応やフォローアップを代行できる点も、大きなメリット
現場業務に通じた経験者を紹介できるため、定着につながりやすいのも特長です。

不動産業界では離職率の高さが深刻な課題となっており、人材確保と同時に定着への対策も求められています。
ここでは、離職対策の相談にも対応できるおすすめの不動産専門エージェント5選を紹介します。

株式会社アズライトは、不動産業界に特化した人材紹介および採用コンサルティングを展開しています。
特に賃貸仲介・売買仲介・住宅販売・用地仕入れといった専門性の高い職種で実績が豊富であり、経験者やポテンシャル人材とのマッチング力に優れています。登録者の9割以上が不動産志望で、意欲の高い人材を確保できる点も魅力です。
短期間で人材を確保したい企業や、急な欠員に対応する必要がある場合にも柔軟に対応でき、完全成功報酬型のため初期費用は不要です。コストを抑えながら採用リスクを回避したい企業にも適しています。
具体的な特長としては、以下のような点が挙げられます。
業界特化のアドバイザーによる高精度な人選
候補者との調整や交渉まで一括対応
採用決定時のみ費用が発生
支援実績は500社超、継続率92.4%
採用後の定着支援にも力を入れており、離職リスクへの相談も可能です。
また、「不動産の口コミ評判堂」にて紹介もされています。


不動産キャリアエージェントは、不動産業界に特化した人材紹介サービスで、業界求人数No.1の実績を誇ります。
大手から中小まで幅広い企業に対応し、即戦力となる経験者の登録も豊富です。そのため、採用リードタイムの短縮や歩留まり改善が期待できます。
また、候補者の志向やキャリア課題への理解も深く、定着を見据えたマッチングが可能。工数削減や早期離職の防止にも効果的です。
具体的な特徴は以下のとおりです。
不動産業界に完全特化(他業界紹介なし)
非公開求人多数、求人数は業界トップクラス
年収600〜1,000万円の求人が約47%
専任エージェントが入社後の定着まで支援

参考:宅建Jobエージェント
不動産業界に特化した「宅建Jobエージェント」は、短期間での採用実現を目指す企業に適した転職支援サービスです。
非公開求人を含む3,000件超の求人データベースから、候補者とのマッチングを実施。面接対策や書類添削などの手厚いサポートも評価されています。
導入から定着支援までを一貫して担う同サービスは、次のような特長を備えています。
不動産業界・宅建士に特化した専門的サポート
専任アドバイザーによる高精度なマッチング対応
面接通過率No.1の実績(2024年6月期調査)
完全無料で登録から入社後フォローまで支援

リアルエステートWORKSは、不動産業界に特化した無料の転職エージェントです。
求人紹介から入社後のフォローまで、業界経験豊富なパートナーが一貫して支援します。特に不動産営業や仕入れ領域に強みがあり、上場企業への転職実績も豊富です。
また、人事工数の削減にもつながる特徴として、以下のような点が挙げられます。
書類作成が不要で即時対応が可能
非公開求人が多数あり、条件面でも優位
最短11日で内定が決まる迅速な選考フロー

参考:RSG不動産転職
RSG不動産転職は、不動産開発や仕入れ、PMなどの専門職採用に強みを持ち、業界経験者との精度の高いマッチングを実現しています。
人材業界と不動産業界の双方に精通したコンサルタントが、即戦力人材の採用を支援しており、スピード感を重視する企業にも対応可能です。
同社では以下のような強みを活かし、採用活動全体の質を高められます。
不動産開発・用地仕入れ・PM・FM・施工管理など幅広い職種に対応
常時15,000件以上の求人を保有し、取引企業は全国で2,000社超
職務経歴書添削や面接対策、条件交渉までを一貫して支援
不動産業界では、他業種と比較して離職率が高い傾向にあります。残業や休日の不安定さ、厳しいノルマ、給与水準の低さ、IT化の遅れなどが主な背景です。
しかし、これらの課題も、労働環境の改善や業務のデジタル化、評価制度や給与体系の見直し、離職防止を目的とした研修などを通じて着実に改善することが可能です。
また、採用段階からミスマッチを防ぐ手段としては、不動産業界に特化した転職エージェントを活用する方法も効果的といえます。
従業員が安心して働き続けられる仕組みと、キャリアを長期的に築ける環境を整えることが、定着率向上のポイントとなります。
ぜひこの記事を参考にして、採用から定着までを見直し、持続可能な人材戦略を実現しましょう。
この記事の監修者
株式会社アズライト 佐川稔
株式会社アズライト代表取締役。採用がうまくいかない優良企業を採用できる企業へ改革するために、戦略・運用に特化した採用コンサルティングファーム「株式会社アズライト」を創業。キャリアに悩む方々のために就活・転職相談BAR「とこなつ家」を池袋にて共同経営中。
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