採用手法
採用活動
2026.1.26
この記事の監修者:
株式会社アズライト 佐川稔

「自社の認知を増やしたい」「選考前に、業界や自社の理解を深めてもらいたい」
人材確保の難易度が高まるなかで、こうした悩みを抱える人事担当者は少なくありません。
オープン・カンパニーは学生のキャリア形成をサポートし、仕事に対する理解を深めてもらうことを目的とした取り組みです。低学年から接触できる機会をつくれるため、自社の認知を広められる手段として、関心が集まっています。
早期からの認知拡大は将来の採用活動を安定させ、入社後のミスマッチ防止に効果的です。
本記事では、オープン・カンパニーの基本的な考え方から他施策との違い、設計時のポイント、成功事例、実施時の注意点を解説します。

オープン・カンパニーとは、学生が業界や会社への理解を深める事を目的に、企業が主体となって実施する取り組みです。会社説明や業界研究、社員との交流を通じて働くイメージを持ってもらう場として活用されています。
従来は1dayインターンシップとして扱われていました。2022年6月に文部科学省・厚生労働省・経済産業省の三省合意により、2025年卒からは学生向けキャリア形成支援は4つのタイプに分類されています。
オープン・カンパニーはタイプ1に該当し、就業体験や選考に直結する活動は認められていません。
現在は8割を超える企業が実施し、母集団形成やミスマッチ防止の観点から開催の重要性が高まっています。

(引用:株式会社リクルート「就職白書2025」)
参考:文部科学省 厚生労働省 経済産業省「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る 取組の推進に当たっての基本的考え方」

項目 | オープン・カンパニー | インターンシップ |
|---|---|---|
実施内容 | 会社説明・業界研究 | 実務体験・課題対応 |
就業体験 | なし | あり |
対象者 | 全学年 | 大学3~4年生・修士1~2年生 |
選考との関係 | 直結しない | 選考に活用される場合あり |
オープン・カンパニーとインターンシップの大きな違いは、就業体験を通じて相互理解を深められるかという点です。
インターンシップは実施期間の半分を超える就業体験を必要とし、企業と学生が相互に適性を確認することを重視しています。一方で、オープン・カンパニーは学生のキャリア形成に焦点を当て、低学年を含めた早期接点を持てる点が特徴です。
参考記事:インターンシップとは?種類・企画の流れ・成功ポイントまで徹底解説

項目 | オープン・カンパニー | 会社説明会 |
|---|---|---|
目的 | 業界・企業理解の促進 | 企業情報の提供 |
理解の深さ | 働くイメージが掴める | 概要理解が中心 |
対象者 | 全学年 | 主に就活生 |
オープン・カンパニーと会社説明会の大きな違いは、学生との関わり方の深さにあります。会社説明会は企業情報を伝える場であり、一方向の説明が中心です。開催時期も採用活動が本格化するタイミングに集中し、主な対象者は就活生です。
一方で、オープン・カンパニーは対話や体験を通じて、学生が自分のキャリア軸を考える機会を提供します。全学年を対象にしているため、企業は学生に早い時期から自社の認知を広げられます。

「オープン・カンパニーはどんな効果が得られるのだろうか」と疑問に思う人事担当者は少なくありません。企業は自社の状況や採用フェーズに合わせて、設計を柔軟に調整できます。
ここでは、オープン・カンパニーを設計するうえで押さえておきたい要素を分解して、具体的に解説します。
オープン・カンパニーを開催する目的は自社の魅力を発信し、学生が自分のキャリアについて考えるきっかけをつくることです。業界や企業、仕事の役割を伝え、まずは知ってもらうことが重要です。
学生は社会経験が限られているため、BtoB企業やバックエンド業務、ニッチな職種は認知されにくい傾向があります。オープン・カンパニーでは、そうした仕事を選択肢として認知してもらう役割を担います。
企業は資料やWebサイトだけでなく、社員の表情や声色を通じて熱意を伝えられる点が特徴で、学生の理解や関心を深めやすい取り組みです。
オープン・カンパニーの対象者は、大学生の全学年です。年々、低学年のうちからキャリア形成活動に参加する学生の割合は増え、マイナビの調査では2027年卒では約半数の学生が参加したと答えています。

(引用:マイナビ2027年卒 大学生 キャリア意向調査4月<インターンシップ・キャリア形 成活動>)
最近では大学1・2年生のうちから就職や社会の仕組みを理解したいという意識の変化が見られます。
企業がオンラインでの開催を企画していることから、学生は時間や交通費の負担が軽減され、参加のハードルが下がった点も要因の1つです。企業は低学年向けにオープン・カンパニーを開催することで、採用活動が本格化した際の情報不足を減らす効果があります。
オープン・カンパニーは、通年で開催できる点が特徴です。実施期間は、原則として1日で行うものと定められています。学業とのバランスが取りやすい点から、オープン・カンパニーは学生が参加しやすい設計です。
株式会社リクルートの調査によると、学生の時間に余裕がある夏休みや就職活動への関心が高まる11月〜1月にかけて実施されています。一方で、3月〜5月に開催する企業もあり、時期をずらすことで他社と差別化し、早い段階で認知を広げることが可能です。

(引用:株式会社リクルート「就職白書2025」)
企業は目的に応じて柔軟に開催時期を設定できる点が、オープン・カンパニーの強みといえます。
オープン・カンパニーの実施内容は、実務を伴わない情報提供が基本です。会社説明や業界・職種理解、社員との交流、職場見学を通じて仕事や働く環境を知ってもらいます。
オープン・カンパニーでは学生を評価したり、選考を想起させる内容は認められていないため、人事担当者は企画をする際に注意が必要です。ポイントはワークショップ形式での体験を取り入れ、企業側が一方的な説明にしない設計にすることです。
特に、リラックスした状態で社員や学生同士の対話をする時間を設けることで、仕事や企業への理解を深めやすくなります。

「実際にどんなことを行えば学生が集まるだろう」と企画に悩む企業は少なくありません。オープン・カンパニーでは、学生を主体とした体験を実施するのが効果的です。
ここからは、学生の理解を深めやすい代表的な取り組みを例に挙げ、それぞれの役割を解説します。
オープン・カンパニーにおける会社説明は、企業の全体像を理解してもらうための導入的な役割を担います。自社が社会のなかでどのような責任を果たしているかを伝え、後続の内容を理解しやすくすることが目的です。
主に、以下のような内容が紹介されます。
企業のビジョンや将来の展望
事業内容や自社の強み
具体的な職種や仕事の役割
働き方や1日の業務イメージ
若手社員は「思っていた仕事と違った」と感じて離職することも少なくありません。企業はライフイベントに応じた働き方や近年注目されている副業の可否を含めて紹介すると、学生は具体的にイメージできます。
業界研究セミナーでは業界全体の構造や役割を整理し、仕事の背景理解を深めることを目的としたプログラムです。学生は業界の視点から学ぶことで、社会にどのような価値を生むかを理解しやすくなります。
主に、以下のような内容が取り上げられます。
業界の概要や市場の特徴
業界の動向や課題、最新技術
業界ならではの魅力や働くうえでの大変な点
このセミナーでは、業界に携わる社員の実体験を通じて生の声を聞ける点が特徴です。企業は社会への貢献という視点で仕事をとらえられるきっかけを提供できます。
先輩社員との交流は、実際に働く人を通じて仕事や職場のリアルを知ってもらうためのプログラムです。学生にとっては身近な立場の社員と交流することで、キャリア形成に対する意欲を高められます。
主に、以下の内容で行われます。
社員の自己紹介
仕事のやりがいや大変な点
学生時代との違い
質疑応答やフリートーク
少人数制での実施は学生が発言しやすくなり、満足感を得られる傾向にあります。座談会の早期開催により学生は目標ができたり、企業へのファン化したりと継続的な接点づくりにつながります。
職場見学は、企業が言葉や動画だけでは補いきれない仕事の臨場感を伝えるためのプログラムです。仕事がどのような環境や社員の関わり方で進んでいるかを可視化する役割を担います。
職場見学は、主に以下の内容で構成されます。
執務スペース・会議室・休憩エリアの案内
部署ごとの役割やチームでの連携方法
社員同士のやり取りや雰囲気の見学
人事担当者は社員の会話量や働く姿勢、職場全体の空気感といった要素を通じて、社風を伝えられます。特に業務内容が想像されにくい職種では、視覚的に示す手段として有効です。
ワークショップ・グループワークは学生同士の意見交換を通じて、業界や仕事への理解を深めてもらうためのプログラムです。企業は考える場を提供することで、学生は仕事の背景や価値観を醸成できます。
主に、以下のような内容で構成されます。
業界や仕事理解を深めるディスカッション
事例や課題をもとにした意見交換
価値観やキャリア観を言語化するワーク
実務に近いテーマを扱う場合でも、成果や正解を求めるのではなく、考え方や視点を共有することが目的です。人事担当者は学生の関心領域や傾向を把握でき、新しい視点を得る機会としても活用できます。
オープン・カンパニーの開催事例

「本当にこの企画で学生が集まってくれるだろうか」と不安に感じる人事担当者は少なくありません。他社の事例を知ることで、具体的なプログラム設計や工夫のヒントをつかめます。
ここでは、オープン・カンパニーの成功事例を3社紹介します。

実施時期 | 夏 |
|---|---|
対象 | 学部・学科不問 |
主な内容 | ゲーム形式で製造小売業の仕組みを理解 |
プログラム構成 | 当日のスケジュール案内・体験ゲーム・振り返り・会社説明・質疑応答 |
株式会社西松屋のオープン・カンパニーはゲーム形式を通じて、小売業の仕組みを学生自らが考えられる設計が特徴です。学生に馴染みがあるゲームに業務を組み合わせることで、参加のハードルを下げ、人気を集めることに成功しています。

実施時期 | 冬 |
|---|---|
対象 | 学部・学科不問 |
主な内容 | 1dayアニバーサリーコーディネーター体験 |
プログラム構成 | 会社説明・ホテル内見学・座談会・業務体験 |
ホテルオークラ東京ベイのオープン・カンパニーでは業務体験を通じて、顧客目線に立ったサービス設計を提供している点が特徴です。学生は利用者としては気づきにくいホテル側の視点から、立ち振る舞いや細かな配慮を体感できます。
ホテルオークラ東京ベイは華やかなイメージの裏にあるホスピタリティ精神から、サービス業の魅力を伝えています。

実施時期 | 11月~翌年2月 |
|---|---|
主な内容 | グループワーク企画型・体験型 |
プログラム構成 | 総合職:事業説明・商品企画ワーク・座談会・相談会 |
東急セキュリティ株式会社のオープン・カンパニーは体験や対話の時間を重視し、警備業界への理解を促す設計が特徴です。
東急セキュリティ株式会社は厳しいといった先入観を和らげ、社会や施設の安全を支える身近な仕事として認識してもらう狙いがあります。

「他にも施策があるなかで、オープン・カンパニーを実施する意味はあるのだろうか」と疑問を感じる人事担当者は少なくありません。オープン・カンパニーは採用活動だけでなく、企業の成長にも効果がある施策です。
ここでは、オープン・カンパニーを実施することで企業側が得られる利点を紹介します。
オープン・カンパニーは採用活動が本格化する前に、将来の採用候補となり得る学生と継続的な接点をつくれる点がメリットです。大学1〜2年生の段階から関係を築くことで、企業は将来の早期選考を見据えた土台づくりにつながります。
低学年で参加する学生は学習意欲が高く、主体的に情報収集を行う傾向があります。こうした優秀な学生と早期に接触できれば、成長過程を見ながら相互理解を深めることが可能です。
夏のインターンシップのみでは他社の施策に埋もれやすいため、オープン・カンパニーは採用競争が激化する前に関係構築できる有効な手段です。
オープン・カンパニーは単日で行う設計のため学生の参加ハードルが低く、認知を広げやすい取り組みです。企業はキャリア形成を目的とすることで、幅広い層に自社を知ってもらえます。
特に小規模のBtoB企業は会社名が知られていないことから、母集団形成に苦戦することも少なくありません。早期にオープン・カンパニーを開催することで、社名の認知や事業を理解するといった接点を作れます。
内容に満足した学生は口コミによって認知が広がる点も特徴です。人事担当者は継続開催により参加者が増え、社風への共感が生まれやすくなります。結果として、面接への応募が期待できます。
オープン・カンパニーは学生向けの取り組みである一方で、社内の人材育成にもつながる施策です。座談会やワークショップ、職場見学では、学生から仕事内容やキャリアについて率直な質問が寄せられます。
社員は自分の業務や経験を言語化する必要があり、日常業務では意識しにくい仕事の意味や自分の役割を整理する機会がつくれます。こうした取り組みにより、社員は自然と責任感を持ち、仕事へ前向きになることも少なくありません。
オープン・カンパニーは育成文化の醸成や部門間の連携強化につながり、企業全体の成長に効果的です。

企画担当者は「せっかく実施するなら学生の満足度を高める内容にしたい」と考えるでしょう。オープン・カンパニーは、学生の理解プロセスを意識した設計が重要です。
ここでは、オープン・カンパニーを効果的に設計するための具体的なコツを紹介します。
オープン・カンパニーの内容を企画する際は、学生の理解レベルに合わせて段階的に構成しましょう。
オープン・カンパニーはこれから業界に対しての理解を深めていくフェーズにいる学生が参加しやすいため、流れを意識することが重要です。
以下の流れで構築すると、学生の納得感を得られる傾向にあります。
第1段階:業界や自社の全体像を知る
第2段階:仕事を具体化する
第3段階:自分事として考える
上記の構成を意識することで、企業側の一方的な情報提供に終わらず、学生が主体的に考えるオープン・カンパニーを設計できます。
会社紹介では企業側としては当たり前の表現でも、学生にとっては難しい場合があります。特に事業内容の説明において理解度が下がると、選考への応募意欲が低下してしまいます。
人事担当者は以下のポイントに注意しましょう。
専門用語や業界用語の取り扱い
略語や社内用語の使用
仕事・事業の背景や前提の省略
人事担当者は若手社員に確認を依頼し、「学生が分かりやすいか」をチェックすることがポイントです。学生に近い立場の意見を取り入れることで、満足度の高いオープン・カンパニーを設計できます。
人事担当者は、学生がオープン・カンパニーを通じて何を得てほしいのかというゴールを設定することが重要です。内容を詰め込みすぎても理解が浅くなり、反対に情報が少なすぎると満足感を得られません。
学生目線で設計できている場合、オープン・カンパニー開催後の参加者は次のような状態です。
業界や仕事の大枠を理解できた
働くイメージが具体化された
自分なりのキャリア観や判断軸を考えるきっかけを得られた
ゴール設定はすべてを理解してもらうことではなく、次の行動につながる納得感を意識することがポイントです。

「オープン・カンパニーを効果的に面接へつなげたい」と選考を見据えている人事担当者も多いのではないでしょうか。しかし、オープン・カンパニーは個人情報の取り扱いにルールが定められているため、注意が必要です。
ここでは、オープン・カンパニーを実施する際に気をつけたいポイントを解説します。
オープン・カンパニーを通じて取得した情報をもとに、選考を優遇したり、個別に連絡を行ったりすることはできません。制度上、オープン・カンパニーは学生のキャリア形成を目的とした施策であり、選考とは明確に切り離して実施する必要があります。
企業が取得した個人情報を利用した場合、学生の間で情報が拡散する可能性があります。その結果、企業への信頼は低下し、採用活動が停滞しかねません。
選考に直結させた取り組みを行いたい場合は、インターンシップの開催が適しています。企業は制度の趣旨を正しく理解したうえで運用することが欠かせません。
オープン・カンパニーは選考とは切り離して実施する制度であるため、取得したデータをもとに評価や個別フォローを行えません。企業は特定の学生と選考を意識したコミュニケーションを取りにくい点に注意が必要です。
企業側は反応の良い学生を把握したいと考えてしまいますが、オープン・カンパニーでは視点を切り替えることが重要です。人事担当者は参加学生全体の傾向や関心をとらえる場とすると、今後の施策設計に活かせます。
オープン・カンパニーでは、学生がのびのびと参加できる環境を整えることにより、自発的に次のステップへ進みやすい流れがつくれます。
オープン・カンパニーは学生のキャリア形成をサポートし、業界や企業への理解を深めてもらうことを目的とした取り組みです。
人事担当者は学生がスムーズに理解できるように3段階で構成し、学生目線に立った説明が欠かせません。イベント開催後は、学生にどんな状態になってもらいたいかというゴールを設定し、内容の量や深さを調整することが重要です。
オープン・カンパニーは制度上、選考に直結させることは認められていません。企業は採用活動のための認知拡大やミスマッチ防止といった、将来につながる関係づくりの場として活かしていきましょう。
オープンカンパニー実施についての相談は、採用のプロフェッショナルであるアズライトにしてみましょう。採用課題に合わせて提案をしてくれます。

この記事の監修者
株式会社アズライト 佐川稔
株式会社アズライト代表取締役。採用がうまくいかない優良企業を採用できる企業へ改革するために、戦略・運用に特化した採用コンサルティングファーム「株式会社アズライト」を創業。キャリアに悩む方々のために就活・転職相談BAR「とこなつ家」を池袋にて共同経営中。
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