採用手法
採用活動
2026.1.29
この記事の監修者:
株式会社アズライト 佐川稔

「エージェント費用がかさむ」「求人広告を増やしても応募が安定しない」
このような悩みを抱える企業は、数多く存在するのではないでしょうか。
こうした背景から関心が集まっている戦略が「タレントプール」です。タレントプールは自社で活躍が期待できる人材をリスト化し、良好な関係を築いていくことで採用成功の確率を高めます。
実際にタレントプールをもとに活動する企業は、選考プロセスの短縮や入社後のミスマッチ防止を実現しています。採用力強化やコストを最適化したい人事担当者は、ぜひ構築しておきたい戦略です。
本記事では、タレントプールの基礎知識や利点、構築方法、導入事例、活用のポイントを解説します。

タレントプール(人材プール)とは、自社に関心を持つ求職者や今後活躍する見込みがある人材データを一元管理し、関係を構築する手法のことです。
「Talent」は才能がある人材、「Pool」は貯めておくと直訳できます。この語源から、タレントプールは、「新しい人材を募集する際に候補となる人材をストックする」という意味があります。
人材データは、採用管理システム(ATS)やスプレッドシートを使って一元化する方法が効果的です。自社独自に蓄積したタレントプールは、採用成功率や短期間でのマッチング率の向上につながります。

2025年現在、帝国データバンクの調査に回答した企業の約半数が、正社員の不足を感じている状況です。

(引用:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2025年10月)」)
新卒採用では多くの企業が母集団の確保に難しさを感じ、マイナビの調査では2025年卒の採用活動において、8割を超えています。

(引用:マイナビ「2025年卒 企業新卒内定状況調査」)
また、入社予定者1人あたりの採用費の平均は、2019年の48万円に対し、2024年では56.8万円まで上昇しています。

(引用:マイナビ「2019年卒 企業新卒内定状況調査」)

(引用:マイナビ「2024年卒 企業新卒内定状況調査」)
こうした状況から、多くの企業は求職者に選ばれるための戦略が不可欠です。タレントプールは施策の中の1つとして関心が高まっています。
今後は人口減少に伴い、今の状況が続く限り労働力人口も減少すると言われています。

(引用:独立行政法人労働政策研究・研修機構「2023年度版 労働力需給の推計」)
将来の人材獲得競争に備える意味でも、タレントプールは効果的な施策です。

人材獲得の難易度が上がっているなかで、歩留まり悪化や母集団の不足に悩む企業は少なくありません。独自に集めた人材データを活かした採用活動は、こうした悩みを抱える企業に有効な戦略です。
ここからは、タレントプールがもたらす4つのメリットを紹介します。
タレントプールを基盤にした選考は、必要なタイミングで自社が求める人材に打診できるため、人材紹介や求人広告への依存を減らせます。
外部チャネルは人材を集めるうえで欠かせないツールです。一方で、人材紹介会社へ支払う費用や広告掲載量は数十万円以上のコストがかかり、企業の大きな負担になりかねません。
タレントプールは外部サービスの委託を抑えられるため、採用コストの負担を軽減できます。
特に以下の場面で、タレントプールの効果を得られます。
媒体費が高騰しているポジションの採用
大量募集が必要なとき
突発的な欠員が発生した場合
候補者との関係構築は追加コストがかかりやすい採用に備えられ、外部費用を抑えながら人材の確保が可能です。
タレントプールは転職意欲が低い優秀な人材と継続した関係を築き、いざというときの採用タイミングを逃しにくくなります。中途採用市場は積極的に選考を受けている求職者だけでなく、いつか転職するかもしれない層も少なくありません。
潜在層との関係維持は、企業側が募集をかけるときだけでなく、潜在層が積極的に転職活動し始めた際にも、自社を選んでもらいやすくなります。
潜在層への接触は、特に次の場面で効果を発揮します。
新規事業や新拠点の立ち上げ時
専門性の高い職種の採用
ブランディングの強化
近年需要が高まっているDX人材やエンジニア職においては、タレントプールの活用が効果的です。
人材データが体系的に整理されたタレントプールは、選考プロセスを効率化できるため、人事担当者の工数を削減できます。
情報を管理するデータベースは、候補者の経験・スキルといった評価項目ごとに分類することで、人事担当者は条件に合う人材が抽出しやすくなります。
候補者とのコミュニケーション履歴も合わせて記録しておくと、情報収集の手間が省け、スムーズに選考を進められるため効率的です。
タレントプールは、選考工数が膨らみやすい以下の場面で効果があります。
同時に複数職種の採用を行う場合
人事担当者のリソースが不足している場合
タレントプールの構築は一定の工数が必要ですが、人材データを蓄積する仕組みを整えておくことで、限られたリソースでも業務効率化が可能です。
候補者とのコミュニケーションを継続できるタレントプールは相互理解が深まるため、入社後のミスマッチを防ぎやすくなります。企業は候補者の価値観やキャリアの方向性に合わせて、自社の文化や社風を発信できます。
タレントプールを活用すると、特に以下の場面で採用の質が向上します。
カルチャーフィット重視の採用
ポテンシャル採用
選考に時間がかかるハイクラスの職種
経験・スキル以外での適性判断が求められる採用では、継続的に接点を持てるタレントプールの活用が有効です。
タレントプールは入社後に感じるギャップを最小限にし、定着・活躍につながる採用活動が可能です。企業は候補者との関係を維持することで、選考時の本質的な見極めがしやすくなります。

タレントプールは得られる効果が大きい戦略ですが、「運用に手間がかかりそう」と不安を感じる人事担当者は少なくありません。ただ人材を集めるだけではなく、ターゲット像と関係を保つための手段を明確に定める必要があります。
ここからは、タレントプール運用の基本ステップを解説します。
まずは、自社でどのような人材が将来的に必要かを明確にしましょう。
基準を設けずに人材データだけ集めてしまうと、必要なときにタレントプールから適切な人材を選べず、効果的な活用ができません。ターゲット像が言語化されていれば、人事担当者は求める人物を効率よく見つけ出せます。
必要となる人物像の設定は、以下の手順で行いましょう。
採用目的を整理する
入社後に達成してほしい成果を設定する
目標達成に必要な能力・経験を洗い出す
理想のターゲット像は、経営戦略や人員計画と結びつけた構築が欠かせません。人事担当者は今後の事業展開を見据えて候補者との接点を維持できるため、タレントプールの利点を戦略的に活かせます。
候補者の選定を効率よく進めるために、人事担当者はデータを一元管理する仕組みを整えましょう。
蓄積する情報にばらつきがあると、条件に合う人材を探すだけでも余計な時間がかかり、タレントプールとして十分に活かせなくなります。
人材データを管理するうえで把握しておきたい項目は、次のとおりです。
スキル・経験:職種・業界・実績
選考履歴:面談評価・見送り理由
志向性:勤務地・キャリアビジョン・希望条件
自社との接点:イベント参加・応募経路
関係性:転職意欲・連絡状況
使用するツールは人事部門が扱いやすい採用管理システム(ATS)やスプレッドシートを選択し、タレントプールが最大限機能する環境を整えましょう。
タレントプールに登録した人材とは、継続してコミュニケーションを図ることが大切です。
時間の経過とともに転職意向やキャリア志向が変化するため、企業がアプローチしたいタイミングに関心が薄れてしまっていることがあります。人事担当者は候補者の負担にならない範囲で接点を保ち、自社との関係を維持しましょう。
接触方法 | 内容 | 頻度 |
|---|---|---|
メール配信 | セミナー・イベント案内 | 月1回~2、3ヵ月に1回 |
SNS | アカウントのフォロー | 随時 |
カジュアル面談 | キャリアの方向性 | 半年~1年に1回 |
候補者との接触は押し付けにならない情報提供を中心に、相手の転職意欲や状況に応じて内容を変えることがポイントです。

すでにタレントプール施策を導入している企業は、どのように活用しているのかを紹介します。
事例①:総合重工業メーカー
■課題
人事部門の負担が大きく、専門職採用を人材紹介に頼っていた
■取り組み
接点を持った候補者の情報や志向性を一元的に蓄積できる運用体制を整備
■効果
エージェント依存の軽減につながり、採用コストの削減を実現
■自社への応用ポイント
面接終了者や退職者を継続的にタレントプールへの登録につなげる
→長期的な候補者確保と費用の最適化が可能次は自社サイトを活かしてタレントプールを運用している事例です。
事例②:グローバルIT企業
■取り組み
採用サイトに「登録フォーム」を設置し、求職者が希望条件やスキルを入力すると求人情報を受け取れる仕組みを構築
■自社への応用ポイント
履歴書アップロード欄を設ける
→就職・転職意欲の高い人材データをストックできる
「タレントプールをうまく維持できるのか」と不安を抱える人事担当者は少なくありません。活用企業の取り組みを見ると、タレントプールは適切な運用基盤を整え、継続的に行う姿勢が成果につながっていることが分かります。
ここからは、導入事例を踏まえながら、タレントプールを実践的に活用するためのコツを解説します。
候補者との関係を維持させるために、人事担当者はタレントプールに向けた情報発信を定期的に実施することが欠かせません。しかし、発信は緊急度が低く優先順位が下がりやすいため、つい後回しになっていしまうことがあります。
発信を行う際は「誰が・どの内容を・いつ届けるのか」を事前に決めておき、継続的に候補者と接点を維持できるようにしましょう。
継続的な発信を行うための工夫として、以下の取り組みが有効です。
配信テーマをテンプレート化する
発信頻度をスケジュールに組み込む
進捗やマニュアルをクラウドで共有し、チームで管理する
候補者情報と同じツールで配信内容やスケジュールも整理すると、担当者は余計な工数をかけずに効率よく運用できます。
人事担当者は候補者にとって価値のある情報を届けることで、自社への関心を持ち続けてもらいやすくなります。
求人情報をメインに送ってしまうと、候補者のフェーズによっては自社への関心が離れてしまうおそれがあります。その結果、メールの開封率や返信率が下がり、関係が途切れてしまいかねません。
候補者の心理を踏まえて発信内容を工夫しましょう。
過去のやり取りやメールの反応率をモニタリングする
状況確認を兼ねたカジュアルなコミュニケーションをする
選考時の評価やヒアリング内容からニーズを読み取る
人事担当者は候補者の志向性や行動データを分析し、発信内容に反映していくことが重要です。質の高い情報は候補者との良好な関係を継続でき、タレントプールの効果を高められます。
人事担当者は候補者の転職意欲を把握できれば、声をかける最適なタイミングを逃さず、採用成功につなげやすくなります。
タレントプールは転職潜在層も含まれるため、全員に同じ連絡をすると負担に感じさせてしまうおそれがあります。人事担当者は候補者の関心度を見極めたうえで、状況に合わせたコミュニケーションを行うことが重要です。
転職意思の変化を把握する方法として、以下の取り組みが効果的です。
行動ログやメールの反応を分析する
年に1〜2回のアンケートで現在の意向を確認する
SNS・カジュアル面談での発言や反応の変化を記録する
採用サイトにタレントプールの登録フォームを設置すると、入力内容の詳細度から転職意欲の高さを判断できます。
候補者の情報を最新の状態で管理することで、企業は優先度の高い人材へタイムリーにアプローチでき、採用のミスマッチを減らせます。
古いデータのままでは、適切な候補者を逃すことや本人の状況に合わない提案により、企業は信頼を損ねてしまいかねません。タレントプール内のデータがアップデートされていれば、必要なタイミングで該当する人材を抽出しやすくなります。
情報の更新を継続するために、有効な施策は次のとおりです。
定期的に候補者へ情報の更新を依頼する
面談・交流イベントで得た情報を反映する
行動ログをスコアリングし、変化を把握する
候補者データを一元的に管理しておくことで、更新作業が効率化でき、人事担当者の負担軽減にもつながります。
タレントプールとは候補者情報をストックし、必要なときに企業側からアプローチできる仕組みです。
昨今は深刻な人材不足や採用コストの増加により、求人広告だけでは十分な応募数を確保することが難しくなっています。こうした状況で、企業からの関心を集めているのが、「タレントプール」の運用です。
タレントプールの活用は自社に関心を持つ人材を長期的に確保ししやすくなり、採用単価の抑制や歩留まり改善につながります。人事担当者は求める人物像を具体化したうえで、候補者とのコミュニケーションを継続することが不可欠です。
企業は候補者の視点を踏まえた情報発信を心がけ、タレントプールを採用基盤の強化に結びつけていきましょう。
また、良い人材のストック方法がわからない、採用管理ツールを使いこなせない等の課題は、採用のプロに相談すると解決できます。自社だけでは効果的な採用へつなげにくいと感じている場合は無料相談をしてみましょう。

この記事の監修者
株式会社アズライト 佐川稔
株式会社アズライト代表取締役。採用がうまくいかない優良企業を採用できる企業へ改革するために、戦略・運用に特化した採用コンサルティングファーム「株式会社アズライト」を創業。キャリアに悩む方々のために就活・転職相談BAR「とこなつ家」を池袋にて共同経営中。
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