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スクラム採用完全ガイド|背景・メリット・成功のポイントを徹底解説

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2026.1.22

スクラム採用完全ガイド|背景・メリット・成功のポイントを徹底解説

この記事の監修者:

株式会社アズライト 佐川稔

「人事だけでは理想の人材を見極めきれない」「入社後のミスマッチを減らしたい」

そのような悩みを感じている企業は多いでしょう。

その中で、近年採用市場の競争激化に伴って注目されているのが、現場と人事が協働して採用を進める『スクラム採用』です。

IT業界のスクラム開発の概念を応用し、短いサイクルで採用プロジェクトを進めるこの手法は、導入企業で採用精度や定着率、採用スピードの向上が実証されています

現場社員が主体的に採用に関わることで、候補者との相互理解が深まり、企業文化に合う人材を確実に見極められます。

本記事では、スクラム採用の意味・背景・メリット・導入のポイントを体系的に解説します。

スクラム採用とは

スクラム採用とは

スクラム採用とは、人事部門だけでなく、現場の従業員も含めた全社的な「チーム」で行う採用手法です。IT開発で用いられる「スクラム(チームでの協調作業の考え方)」の概念を採用活動に応用しています。「スクラム採用」という言葉は2019年に創られた用語で、株式会社HERPによって提唱されました。

採用プロジェクトを短い期間に区切り、関わる全従業員がそれぞれの専門的な視点と能力を活かして協力し、目標達成を目指します。その結果、単なる人集めにとどまらず、企業の文化や事業戦略に深く適合する人材の採用を実現できるでしょう。

現場のリアルな情報を候補者に提供し、選考プロセスにも社員が関与するため、入社後のミスマッチを減らすことが可能になります。

スクラム採用とリファラル採用の違い

スクラム採用とリファラル採用の違い

スクラム採用とリファラル採用は、従業員を巻き込む点で共通しますが、「誰が」「どのプロセスに」「どのように」関わるかという点で明確に異なります。

リファラル採用は、主に既存社員が知人・友人を企業に推薦する「紹介」に特化した採用手法です。

対照的に、スクラム採用は、採用戦略の立案、求人票の作成、面接、内定者フォローアップなど、採用活動の全プロセスに現場の従業員が積極的に「関与」し、チームとして採用を推進します

リファラル採用が採用の「入口」に重点を置くのに対し、スクラム採用は採用活動全体の「協力体制と実行」に重点を置いています。関与する範囲と深さが大きな違いです。

スクラム採用が注目されている背景

スクラム採用が注目されている背景

スクラム採用が注目される背景には、採用市場の競争激化とミスマッチ防止の重要性の高まりがあります。

労働人口の減少により、優秀な人材の獲得の困難さは増しています。従来の人事部門に限定した採用手法では、現場が求める専門的なスキルやカルチャーフィット(企業文化への適合度)を持つ人材を見極めることに限界がありました

そこで、現場の従業員が採用に深く関わるスクラム採用が有効とされています。従業員が協力することで、企業と候補者間で「スクラム就活」のような深く双方向的な相互理解が生まれ、候補者は企業のリアルを知ることが可能です

スクラム採用実施のメリット

スクラム採用実施のメリット

スクラム採用の導入により、企業は従来の採用活動では得られなかった多くのメリットを享受できます。

特に、採用活動の主体を全社に広げることで、採用力の向上、ミスマッチの防止、従業員エンゲージメントの向上、そして人事担当者の負荷軽減といった4つの大きな効果が見込めます

ここでは、スクラム採用を実施することで企業が得られる具体的なメリットについて解説します。

採用力の向上

スクラム採用では、現場の従業員が採用活動に参画することによって企業の採用力が大幅に向上します。

現場の従業員は、自身の言葉で具体的な仕事内容や、職場のリアルな雰囲気、企業文化を説得力をもって候補者に伝えることが可能です。

人事担当者だけでは提供が難しい現場の専門的な情報を深く正確に提供できるため、候補者は入社後のイメージを明確に描けるでしょう

現場から直接得られる質の高い情報提供が、候補者の不安を払拭し、企業へのエンゲージメントを高めます。その結果、優秀で意欲の高い人材の獲得に繋がります。

ミスマッチの防止

スクラム採用は、入社後のミスマッチを効果的に防止する上で極めて有効な手法です。

現場の従業員が面接や選考に加わることで、候補者が実際の業務内容やチームの雰囲気、企業文化に合致した人格やスキルを持っているかを多角的に評価できます

人事担当者だけの視点に偏らず、現場の具体的なニーズに基づいた評価を実現することが可能です。また、多角的な視点を取り入れることで、企業の求める人物像と候補者の間に生じる認識のズレを防ぎます。

結果として、採用の精度を格段に高め、早期離職のリスクを低減させます。

エンゲージメントの向上

採用活動への積極的な参画は、既存従業員のエンゲージメント向上に大きく貢献します。

現場の社員が自社の未来を担う人材を選ぶ重要なプロセスに関わることは、企業への帰属意識や貢献意識を向上させます。

また、採用活動を通じて、採用基準や企業の成長戦略を深く理解する機会にもなるでしょう

経営層の重要な課題である採用に携わる経験は、社員自身のモチベーションを高めます。組織の一員としての自覚を強める効果も期待でき、従業員満足度の向上につながります

担当者の負荷軽減

スクラム採用の導入は、採用プロセスを全社の従業員に分散でき、人事・採用担当者の負荷軽減に繋がるという実務的なメリットがあります。

特に工数がかかる初期の候補者対応や面接対応などの実務を現場社員に委譲が可能です

人事担当者は現場社員の協力により業務の細分化と分担が実現し、採用というプロジェクト全体の進行管理や戦略立案に集中できます

採用戦略のブラッシュアップや効果検証といったより戦略的かつ専門性の高い役割に注力できるため、採用部門全体の生産性向上にも貢献するでしょう。

スクラム採用実施のデメリット

スクラム採用実施のデメリット

スクラム採用は多くのメリットをもたらしますが、導入や運用においていくつかの注意点が存在します。

例えば、現場の従業員を巻き込む手法であるため、体制構築や意識統一に時間を要することがあります。導入前にデメリットを理解し、適切な対策を講じることが成功に繋がります。

ここでは、スクラム採用の導入・実施に伴って生じる可能性のある3つのデメリットについて解説します。

現場従業員の負担増加

スクラム採用を導入することで、現場の従業員の業務負担が増加する可能性があります。

採用活動は、従業員の通常の業務に加えて発生するため、特に多忙な部門や社員にとっては大きな負担となりかねません

採用活動への積極的な参加を促すためには、現場の従業員が担当する工数を適切に考慮することが不可欠です。業務量が過多になると、採用活動の質が低下したり、本業に支障をきたしたりするリスクが生じます。

企業側は、採用活動を人事評価の対象に含めるなど、現場の負担に対する具体的なインセンティブ設計が重要です。

意識統一が難しい

全社的な取り組みであるスクラム採用では、採用基準や目標に関する意識統一が難しいというデメリットがあります。

人事部門と現場部門の間で「求める人材像」や「採用の優先度」に認識のズレが生じることが少なくありません。認識のズレは、選考プロセスにおける評価のバラつきや、採用活動自体の停滞を招く要因となります

こうした問題を防ぐためには、経営層が採用の重要性を明確に示す必要があります。全社共通の採用目標と評価基準を策定し、定期的な研修やミーティングを通じて全従業員への徹底を図ることが不可欠です

情報管理コストの上昇

スクラム採用では候補者の情報や選考の進捗状況、評価結果などを多部門で共有する必要があります。

多くの従業員が採用情報にアクセスし関与することで、情報管理コストが上昇する可能性があります。情報が分散すると、抜け漏れや誤った情報の伝達、さらにはセキュリティリスクの増大に繋がりかねません。

特に採用活動では機密性の高い個人情報を扱うことが多く、情報漏洩を防ぐ厳格な管理体制が求められるため、採用管理システム(ATS)の導入など採用情報を一元管理する体制の構築が不可欠です。

情報共有と管理を効率化する仕組みを整備することで、このコストを抑制できます。

スクラム採用に必要な3つのポイント

スクラム採用に必要な3つのポイント

スクラム採用を成功させるためには、デメリットを乗り越え、全社で一貫して採用活動に取り組むための仕組み作りが不可欠です。単に現場を巻き込むだけではなく、採用に対する権限や目標、担当者の役割を明確に定義する必要があります

ここでは、スクラム採用を効果的に機能させるために特に重要となる3つのポイントについて解説します。

採用権限委譲

スクラム採用を機能させる最初の重要なポイントは、現場への採用権限委譲です。

従来の採用活動のように人事部門が全ての権限を握るのではなく、現場の従業員に対して求人要件の決定や面接、評価などに関わる明確な権限を与える必要があります。

権限の委譲は、採用活動のスピード向上に直結します。そして、現場のニーズに合致した人材を迅速に見極めることが可能になるでしょう。

また、現場社員が採用の主体者として責任感を持つため、採用活動への主体性が増し、より真剣に取り組む姿勢が生まれます

採用目標・成果の可視化

スクラム採用を円滑に進めるためには、採用目標と成果の可視化が不可欠です。

そのため、採用活動の進捗状況や各プロセスにおけるKPIを、全従業員がいつでも確認できるようにしましょう。

例えば、「今月は何人の候補者にアプローチしたか」「現場の面接設定率はどうか」といった具体的なデータを共有します。データに基づく共通認識を持つことで、部門間の連携もスムーズになります

目標と成果を可視化することで、採用活動の課題が明確になり、全従業員がデータに基づき改善策を検討することが可能です。PDCAサイクルを迅速に回せる状態が実現します。

採用担当者のプロジェクトマネージャー化

スクラム採用における人事・採用担当者は、プロジェクトマネージャーとしての役割を担うことが重要です。

現場が主体となって採用活動を行うとはいえ、人事担当者が採用戦略の設計、採用プロセスの全体管理を一元的に行う必要があります。さらに、現場への情報提供やサポートも担当者の重要な業務です。

現場社員が採用活動にスムーズに参加できるよう必要なツールや情報を提供し、進捗をチェックする役割を担います。

この役割分担によって、全社的な採用プロジェクトが円滑に進行します。結果として、採用目標の達成に向けた動きが強化されるでしょう。

スクラム採用を成功に導くプロセス

スクラム採用を成功に導くプロセス

スクラム採用を効果的に実施して持続的な成果を出すためには、具体的な導入プロセスを踏むことが重要です。

単なる一時的な取り組みではなく、企業文化として定着させるためのステップを踏む必要があります。特に、現場社員の協力体制構築と継続的な改善活動が不可欠です

ここでは、スクラム採用を組織に浸透させ、成功に導くための3つの重要なプロセスについて解説します。

必要性を全社的に共有する

スクラム採用を始めるにあたり、全従業員に対して導入の必要性を明確に共有することが最初のプロセスです。

単に「採用に協力してほしい」と依頼するだけでは、現場社員の主体的な参加は得られません。経営層が、従来の採用手法の限界や、事業成長に対する採用の重要性、スクラム採用がもたらすメリットなどを具体的に示します

この共有を通じて、全従業員が「なぜ自分たちが採用に関わる必要があるのか」を理解し、協力の動機付けを行うことが極めて重要です。

現場の協力体制を整備する

次に、採用活動に現場社員がスムーズに参加できる協力体制の整備が必要です。

具体的には、採用活動に関する権限委譲を明確にし、現場社員の業務負担が増加しないよう採用担当者が配慮します

また、採用活動に必要な情報やツールへのアクセス権を付与します。さらに、研修を通じて面接スキルや評価基準を統一することも不可欠です

現場の協力を単なる「善意」に頼るのではなく、採用活動に組み込む「仕組み」として体制を整えることが成功に繋がります。体制の整備により、現場社員は迷うことなく採用に参画できるようになります。

検証・改善を繰り返す

スクラム採用は、一度導入して終わりではなく、継続的な検証と改善を繰り返すことが成功の必須条件です

採用活動の結果(採用目標達成率、ミスマッチ率など)を定期的に評価し、どのプロセスに課題があるのかを全社で分析します。その際、現場からのフィードバックを積極的に収集し、採用戦略や評価基準、現場の役割分担を見直すことが重要です

PDCAサイクルを迅速に回し、常に採用プロセスをブラッシュアップし続ける姿勢が求められます。この継続的な改善活動が、企業の採用力の持続的な強化に繋がります。

スクラム採用のまとめ

「スクラム採用」の基本的な概要から、導入のメリット・デメリット、そして成功させるための具体的なポイントとプロセスについて解説しました。

スクラム採用とは、人事部門に限定せず全従業員が一丸となって採用に取り組む手法です。市場の競争激化とミスマッチ防止の必要性が高まる現代において、非常に有効な戦略となります。

導入にあたっては、現場への権限委譲、採用目標の可視化、そして採用担当者のプロジェクトマネージャー化が成功の鍵です

また、導入後も全社的な必要性の共有、協力体制の整備、そして継続的な検証・改善のサイクルを回すことが、採用力の持続的な強化に繋がります

スクラム採用を成功、事業成長を加速させるにあたり、お困りのことがあればアズライトに相談ください。採用のプロフェッショナルが解決へ導きます。

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この記事の監修者

株式会社アズライト 佐川稔

株式会社アズライト代表取締役。採用がうまくいかない優良企業を採用できる企業へ改革するために、戦略・運用に特化した採用コンサルティングファーム「株式会社アズライト」を創業。キャリアに悩む方々のために就活・転職相談BAR「とこなつ家」を池袋にて共同経営中。