採用手法
採用活動
2026.1.22
この記事の監修者:
株式会社アズライト 佐川稔

「思っていた職場と違った」「説明会、事前資料と話が違う」
そのような理由で早期に退職されてしまった経験はないでしょうか。
採用活動に時間とコストをかけたにもかかわらず、定着しない。その背景として、企業と求職者の間に生じる採用ミスマッチが潜んでいるケースも少なくありません。
実はこのミスマッチは、多くが事前の情報共有不足や入社後フォローの欠如といった、企業側の工夫で防げる要因に起因しています。
そこで今回は、「採用ミスマッチとは何か」を解説します。さらに、離職理由や原因、企業が取るべき対策も紹介します。採用の質と定着率を高めるために、参考にしてみてください。

採用ミスマッチとは、企業と入社者との間に認識のズレが生じる状態を指します。たとえば、求職者が「想像していた仕事内容と異なる」と感じたり、企業側が「期待していた成果が得られない」と判断するケースなどです。
このようなミスマッチは、早期離職や生産性の低下につながり、採用コストの増大や企業イメージの悪化を招くおそれがあります。
実際、多くの企業が採用後すぐの離職を経験しており、規模や業種を問わず多くの現場で課題となっています。雇用条件やスキル、企業文化など多面的な要因が影響するため、情報の透明性を高めるとともに、選考プロセスの精度向上が重要です。

離職の背景をたどるとさまざまな要因が挙げられますが、特に新卒・中途を問わず共通して見られる傾向として、入社前の期待と現実とのギャップによるミスマッチが挙げられます。
ここでは、離職につながりやすい代表的な4つの理由について解説します。
職場の人間関係は、離職理由の中でも特に多く見られる要因です。新卒採用では、上司や同僚との相性が合わず、早期離職につながるケースが少なくありません。価値観の違いや相談しにくい雰囲気が、定着の妨げとなることがあります。
若手社員は待遇よりも働きやすい人間関係を重視する傾向があり、心理的な安心感が欠かせません。1on1や日常の対話を通じた関係構築が、ミスマッチの防止に役立ちます。
労働時間や休日の条件も、離職理由としてよく挙げられます。中途採用では、説明と実態の差からミスマッチが生じ、早期離職につながるケースも珍しくありません。
厚生労働省の調査でも、「労働条件が悪い」は若年層の主な退職理由とされ、働き方への意識は年々高まっています。
制度の整備だけでなく、実際の勤務条件を正確に伝えることが、採用後の定着を左右します。条件の透明性が離職防止のポイントです。
給与への不満は、離職理由としてよく挙げられます。厚生労働省の調査では、転職入職者のうち男性の10.1%が「給料等収入が少なかった」と回答し、若年層ではより高い傾向です。具体的な割合は以下のとおりです。
昇給の見通しが立たない場合も、就業継続の意欲は下がりやすくなります。採用時は報酬水準や昇給制度を丁寧に伝え、ミスマッチの防止に努めることが重要です。
仕事内容に対する認識のズレも、離職の大きな要因です。採用時の説明と実際の業務内容に差があると、社員はミスマッチを感じやすく、早期退職につながることがあります。特に「思っていた仕事と違う」「やりがいを感じない」といった声は多く見られます。
こうしたギャップは、職務理解の不足や期待とのズレが背景にある場合が少なくありません。入社前に業務の実態を正しく伝えるRJPや、適性に応じた配属により、離職リスクの低減が期待できます。

採用活動において理想的な人材を確保しても、入社後に早期離職や定着率の低下が起きるケースは少なくありません。
ここでは、採用ミスマッチが起きる主な原因について解説します。
採用活動において自社の魅力ばかりを強調し、業務上の負荷や職場の課題などを伝えない場合、入社後に現実とのギャップを感じた求職者が早期離職に至る可能性が高まります。特に、労働時間や評価制度、人間関係の実情が不透明なままだと、「聞いていた内容と違う」といった不満が生じやすくなります。
ミスマッチの原因を減らすにあたっては、良い面だけでなく注意点や実態も含めた情報提供が必要です。企業として誠実な姿勢で向き合うことが、結果的に定着率の向上と採用コストの最適化につながります。
求職者への情報提供が不足している場合も、採用ミスマッチが起こりやすくなります。たとえば、募集要項に基本的な条件しか記載されていない場合、働き方や人間関係が見えづらく、入社後にギャップを感じやすくなります。特に次のような内容は事前に伝えておくべきです。
業務内容の詳細:配属後の仕事像を明確にする
残業や休日出勤の有無:働き方の実態を把握できる
上司やチーム体制:職場の雰囲気を想像しやすくなる
評価・昇進制度:将来の展望を持ちやすくなる
魅力だけを強調するのではなく、現実に基づく情報開示が重要です。
入社後のフォロー体制が不十分なことも、採用ミスマッチの大きな要因に挙げられます。
特に新卒や中途で入社した人材は、業務や職場の雰囲気に慣れるまでに時間がかかるものです。適切な支援がなければ、不安や孤立感から本来の力を発揮できず、早期離職につながるおそれがあります。
研修やOJT、メンター制度が整っていない環境では、離脱リスクが高まるだけでなく、周囲の負担も増加します。定着を促す際は、採用後の支援体制をあらかじめ整備しておくことが大切です。
スキルや経験だけで採用を決めると、ミスマッチの原因になりやすくなります。たとえ実績が十分でも、自社の文化や働き方に合わなければ、早期離職や現場との摩擦につながる可能性があります。主体性や協調性、変化への対応力などは、面接だけでは見極めが難しい要素です。実際に、次のような事例が見られます。
営業実績はあるが、チームでの連携が取れなかった
学歴は優秀でも、指示がないと動けなかった
対人スキルは高くても、変化に順応できず疲弊した
こうしたギャップを防ぐ際は、スキルに加えて価値観やスタンスも含めた総合的な判断が必要です。
評価基準が曖昧なまま採用を進めると、面接官の主観に左右されやすく、採用ミスマッチを引き起こす要因となります。基準が統一されていない場合、同じ応募者でも評価がぶれ、自社の求める人物像とずれる恐れがあります。
この対策として、評価項目を明文化し、全員で共有することが効果的です。たとえば以下のように定義すれば、判断が安定します。
主体性:自ら課題を見つけ行動できる(提案経験など)
対話力:意図を正確に伝えられる(受け答えの明確さ)
成長意欲:学びへの前向きな姿勢(学習経験など)
こうした基準整備が、ミスマッチの防止につながります。

採用ミスマッチは、入社後の定着や早期離職に大きく影響する課題です。
ここでは入社前の段階で採用ミスマッチを防ぐための具体的な方法について解説します。
採用ミスマッチを防ぐ際は、主観に頼った評価から脱却し、客観的な採用基準を明文化することが重要です。
基準が不明確なままでは、面接官ごとの判断にばらつきが生じ、想定と異なる人材を採用してしまう恐れがあります。以下のように活躍人材の傾向を可視化し、次のような観点で基準を整えると、選考の精度が向上します。
スキル要件:業務経験や必要スキル
性格・行動特性:主体性や協調性など
カルチャーフィット:価値観や志向性の一致
これらを社内で共有することで選考判断の軸が統一され、採用ミスマッチの発生を未然に防げます。
採用では、スキル・業務内容・期待値を明確に共有することも採用ミスマッチ対策として重要です。
必要なスキルを「必須」と「歓迎」に整理して示すことで、候補者が適性を判断しやすくなります。業務内容も具体的に伝え、発生し得る課題まで共有すれば、入社後の齟齬を抑えられます。
また、期待される役割や成果基準を早い段階で提示し、人事と現場で認識を揃えることが欠かせません。短期間で採用を進める状況でも、これらの情報整理と共有を丁寧に行うことで、離職リスクや追加コストの発生を防げます。
採用ミスマッチを防ぐ際は、会社の良い面だけでなく、業務の厳しさや組織課題といったネガティブな側面も入社前に正直に伝えることが重要です。
現場で求められる姿勢や働き方の実態を伝えることで、求職者が自らの価値観や志向性との相性を判断しやすくなり、入社後のギャップを軽減できます。
採用の段階であえて課題を開示する姿勢は、信頼感や納得感を生み、結果として定着率の向上につながります。採用ミスマッチ対策として、リアルな情報共有を重視することが大切です。
カジュアル面談も、採用ミスマッチを防ぐ手段の1つです。企業と応募者が対等に話す場として、仕事内容や職場の雰囲気を共有し、相互理解を深めます。
入社後のギャップを減らす際は、魅力だけでなく課題や求める人物像も率直に伝えることが重要です。以下のように通常面接とは目的や形式が異なるため、意図を明確にしたうえで実施することで、採用ミスマッチ対策として効果が高まります。
項目 | カジュアル面談 | 通常面接 |
|---|---|---|
合否判定 | 行わない | 行う |
応募書類 | 不要 | 必要 |
雰囲気 | 自由・対話型 | 緊張感がある |
目的 | 相互理解 | 適性の見極め |
採用ミスマッチを防ぐ際は、構造化面接の導入も効果的です。まず、求める人材像を明確にし、必要なスキルや行動特性を評価基準に落とし込みます。次に、以下の流れで面接を進めます。
主体性や協調性などを数値化して評価項目を設定する
全応募者に共通の質問を投げ、比較しやすくする
回答を深掘りして特性を見極める
基準に沿ってスコア化し、公平に判断する
この手法は、面接官の主観を抑えつつ適性を見極められる点が特長です。採用人数が多く、限られた工数で選考精度を高めたい企業にとって、有効なミスマッチ対策となります。
リファラル採用は、社員が知人や友人を紹介することで実施される手法で、採用ミスマッチを防ぐ手段として注目されています。
紹介者が企業文化や業務内容を理解したうえで情報を伝えるため、入社後のギャップが小さく、価値観の合う人材と出会いやすくなります。加えて、広告費や紹介料が不要な点も企業にとって魅力です。
一方で、選考が甘くなると適性の見極めが不十分となり、ミスマッチの原因になりかねません。採用ミスマッチ対策として活用する際は、通常と同じ選考基準を設けたうえで、紹介者・候補者への丁寧な情報提供を行うことが大切です。

入社前の対策を万全に整えても、実際の業務や職場環境とのギャップが原因でミスマッチが生じることがあります。定着率の向上や早期離職の防止を図る上で、入社後のフォロー体制や職場環境の整備は不可欠です。
ここでは入社後の採用ミスマッチを防ぐための具体的な対策について解説します。
新入社員の定着を図る際は、入社直後のオリエンテーションや研修の設計が重要です。企業理念や業務全体を伝えることで、期待とのズレを早期に埋められます。
OJTやeラーニングも活用すれば、個々に応じた育成が可能となり、早期戦力化につながります。研修は以下のように段階的に実施すると効果的です。
入社直後:会社概要や就業ルールを通じて組織理解を促す
1か月後:OJTや面談で実務への適応を支援する
3か月後:キャリア面談などで成長と定着を後押しする
こうした継続的な取り組みにより、入社後のギャップを抑え、ミスマッチを防ぐことができます。
入社後のミスマッチによる早期離職を防ぐ上で、メンター制度の導入も効果的です。
この制度では、年齢の近い先輩社員が新入社員や中途入社者の精神面と業務面を支援します。直属の上司とは異なる立場で悩みに対応できるため、孤立感の緩和や職場定着の促進が期待されます。
特に企業文化や人間関係への適応が重視される現在、相談できる存在の有無は重要な要素です。メンターとメンティーの相性や支援体制に配慮し、制度の形骸化を防ぐための運用設計と継続的な見直しが求められます。
入社後の採用ミスマッチを回避する際は、従業員サーベイを定期的に実施し、職場への適応状況を把握することが重要です。
特にエンゲージメントサーベイを活用すれば、仕事内容や人間関係、職場環境への満足度といった要素を数値で捉えられます。違和感や不安の兆しを早期に察知できれば、離職の予防も可能です。
加えて、調査結果は1on1面談やキャリア支援の材料としても効果的であり、従業員の心理的な安心感を支える要素とされています。こうしたサーベイは一度きりで終えず、継続的に実施して改善へとつなげる姿勢が求められます。
採用ミスマッチは、企業にとって人材の定着や生産性向上に大きく関わる重要な課題です。離職の主な原因やミスマッチが起きる背景を正しく理解し、入社前後での対策を講じることで、早期離職のリスクを軽減できます。
採用基準の明確化や情報開示の充実、構造化面接・カジュアル面談の活用、入社後のフォロー体制整備など、できることは多岐にわたります。
貴社に合ったアプローチを見極め、継続的に改善を重ねながら最適な採用活動を進めていきましょう。
採用に課題を感じる場合は、人材採用のプロフェッショナルであるアズライトに相談してみましょう。

この記事の監修者
株式会社アズライト 佐川稔
株式会社アズライト代表取締役。採用がうまくいかない優良企業を採用できる企業へ改革するために、戦略・運用に特化した採用コンサルティングファーム「株式会社アズライト」を創業。キャリアに悩む方々のために就活・転職相談BAR「とこなつ家」を池袋にて共同経営中。
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