採用手法
採用方法
2026.2.3
この記事の監修者:
株式会社アズライト 佐川稔

「即戦力は採用しづらい」「採用市場に自社に合う人材がいない」
このような課題に直面し、採用戦略の限界を感じている企業は少なくありません。
そうした中、今、新たな解決策として注目を集めているのがポテンシャル採用という選択肢です。
ポテンシャル採用とは、応募者の現時点でのスキルや経験ではなく、将来的な成長力や意欲(ポテンシャル)に焦点を当てて人材を採用する手法です。新卒採用とも中途採用(経験者採用)とも異なり、これからの伸びしろに重きを置く点が最大の特徴です。
本記事では、ポテンシャル採用の定義から、他の採用手法との違い、企業が注目する背景、メリット・デメリット、そして成功させるための具体的なポイントまでを徹底解説します。

ポテンシャル採用とは、企業が応募者の現時点でのスキルや経験よりも、将来的な成長可能性や潜在能力といった「ポテンシャル」を重視して行う採用手法です。
職務経験や特定の専門スキルが不足していても、「自社で成長し活躍できる見込みがある」と判断されれば採用に至るため、主に若手層を対象に行われることが多いのが特徴です。
ポテンシャル採用と一般的な中途採用の最も大きな違いは、評価の軸にあります。
中途採用(経験者採用)は、募集職種に対して応募者が既に持っているスキル、経験、実績といった即戦力性を評価軸とします。「今すぐ」業務に貢献できることを期待するのが特徴です。
これに対しポテンシャル採用は、過去の経験よりも、新しいことを学ぶ意欲や変化への適応能力、論理的な思考力、そして将来の伸びしろといった「未来の可能性」に焦点を当てて評価する点に、明確な違いがあります。
つまり、中途採用が「即戦力」を求めるのに対し、ポテンシャル採用は「将来の幹部候補」や「組織の活性化」を目的としていると言えます。
ポテンシャル採用と新卒採用の最も大きな違いは、採用のターゲット層の幅広さにあります。
新卒採用は、原則として採用年度に卒業見込みの学生のみをターゲットとしており、社会人経験がない人を対象とします。
これに対し、ポテンシャル採用は、新卒予定の学生に加えて、第二新卒(卒業後数年以内の転職者)や、さらに上の年齢層の、明確な経験やスキルはないものの意欲や素養が評価される若手層まで、幅広く対象としているのが特徴です。
新卒採用はゼロからの長期育成を前提としますが、ポテンシャル採用の対象者には既に社会人経験や基礎的なビジネスマナーがあることが多いため、新卒採用よりも効率的な戦力化を目指す側面も持ち合わせていると言えます。

ポテンシャル採用が注目される最大の背景は、深刻化する人手不足と、それに伴う採用難への対応です。
近年の日本は少子高齢化の進行によって、労働人口は一貫して減少傾向にあります。特に若手層の採用は、企業にとって年々困難を極めています。即戦力となる経験者の中途採用市場は、すでに熾烈な競争下にあり、獲得できる人数には限りがあるのが現状です。
こうした状況で、企業は採用の母集団を大幅に広げる必要に迫られています。特定のスキルを持たない未経験者であっても、その意欲と成長力を評価して採用し、自社で育成する戦略は、持続的な事業運営のために不可欠な「長期的な人材投資」へと変化しました。
ポテンシャル採用は、この構造的な課題を打破するための有効な手段として機能しています。

ポテンシャル採用は、単に人材を確保するだけでなく、組織の未来に貢献する多くのメリットを企業にもたらします。
ここでは、ポテンシャル採用が企業にもたらす具体的なメリットを、人材戦略と組織変革の両面から詳しく解説します。
ポテンシャル採用の最大の利点は、採用の間口が大きく広がることです。
従来の経験者採用では、特定のスキルや実績を持つ人材に偏りがちでした。しかし、ポテンシャル採用は経験不問で募集をかけるため、第二新卒や異業種からの転職者、多様なバックグラウンドを持つ層など、これまで対象外だった幅広い人材を候補に加えられます。
これは単に母集団を増やすだけでなく、組織の多様性を高めるのにも有効です。異なる経験を持つ人材が増えることで、新たな視点やアイデアが生まれやすくなり、事業成長やイノベーションの創出につながる大きな付加価値を生み出します。
ポテンシャル採用は、成長意欲や向上心が非常に高い人材と効果的に接点を持つ機会を提供します。
この採用に応募する層は、経験不足を自覚しつつも「キャリアを変えたい」「大きく成長したい」という強い動機と高い学習意欲を持っています。経験より意欲を評価されるため、彼らにとって自らの可能性に挑戦する絶好の機会となるからです。
例えば、キャリアチェンジ志向の第二新卒は、研修やOJTに非常に積極的です。企業側は、熱意ある人材にビジョンを伝えることで、入社後すぐに高いエンゲージメントを醸成できます。
結果として、組織の未来に貢献する、質の高い伸びしろを持った人材の獲得が増加します。
ポテンシャル採用は、企業の中核を担う若手を、自社の文化や戦略に合わせて計画的に育成しやすくします。
経験者採用では、他社のスキルや働き方が自社文化にミスマッチするリスクがあります。一方、ポテンシャル採用は経験ではなく、企業の価値観や風土への適性を重視するため、入社後の教育がスムーズです。
特定のスキルがない若手は、自社の教育プログラムやOJTを通じ、企業独自のノウハウや理念をゼロベースで体系的に習得します。
その結果、外部から即戦力を採るよりも、自社の理念を深く理解し、「会社にとって最も都合の良い」形で活躍できる人材を、着実に育成することが可能になります。
ポテンシャル採用のメリットは、若い人材を計画的に確保し、企業の高齢化を防ぐことで、組織の健全な世代交代を促す点にあります。
人材の潜在能力を評価するこの採用手法は、主に若手層をターゲットとし、継続的に行うことで組織の平均年齢を引き下げ、新陳代謝を定期的に図れるようになります。
若手層が安定して加わることは、将来の事業の担い手を育成する強固な土台となるため、組織の持続的な成長には欠かせません。
さらに、彼らがもたらす新しい視点や柔軟な発想は、硬直化した業務プロセスを見直すきっかけとなり、組織全体の活性化にもつながります。

ポテンシャル採用を成功させるためには、応募者が現時点で持つスキルではなく、入社後に発揮される真の潜在能力を見抜く採用基準が必要です。
ここでは、特に評価すべき3つの重要な要素を解説します。
ポテンシャル採用では、入社後に新しい知識やスキルを習得できるかが重要です。そのため、応募者が過去に新しい経験を習得する際、どのような姿勢で臨んだかを深掘りする必要があります。
重要なのは、口先の意欲ではなく、具体的な行動と再現性です。面接では、「未経験の課題解決のために、どのように情報収集し、行動したか」という具体的なエピソードを尋ねましょう。
ここで重視すべきは、「失敗を恐れずに挑戦できたか」という行動力と、経験から学び活かす改善サイクルです。このサイクルこそが、入社後の教育効果を最大化させ、応募者を自走可能な人材とするための土台となります。
変化の激しい現代において、自ら情報を収集し、業務や生活に活かす能力は、ポテンシャルの重要な構成要素であり、環境変化への適応力を測る指標となります。
ポテンシャルの高い人材は、指示待ちではなく、常に業界の最新動向に関心を持ち、自発的に情報収集を行います。
面接官は、「普段どのようなメディアから情報を得ているか」「最近関心を持った業界ニュースについてどう考えるか」といった質問を通じ、応募者が情報をどのように取捨選択し、自己成長や業務改善につなげているかを確認しましょう。
自発的な情報活用能力は、入社後のイノベーション創出に直結する重要な要素です。
ポテンシャルは、具体的な目標やビジョンがあることで最大限に引き出されます。「なんとなく成長したい」ではなく、「何のために成長したいのか」という強い動機づけを持っているかを評価することが重要です。これは、入社後の定着率やモチベーションの維持に直結します。
面接では、単にキャリアプランを問うだけでなく、「なぜこの会社で、この仕事を通じてそれを実現したいのか」という根本的な動機を深く掘り下げましょう。
応募者のビジョンと企業の方向性が一致しているかを確認することで、入社後のミスマッチを防ぎ、長期的に活躍できる人材を見極められます。

ポテンシャル採用は多くのメリットをもたらしますが、同時に計画的かつ慎重に進めなければ、企業にとって大きな負担となり得るいくつかのデメリットも存在します。
ここでは、ポテンシャル採用の導入を検討する際に留意すべき具体的なリスクについて解説します。
ポテンシャル採用の最大のデメリットの一つは、即戦力として期待できないため、育成に大きな時間とコストがかかる点です。
経験者を採用する場合は、入社直後から一定の業務を任せられますが、ポテンシャル採用で入社した人材は、専門スキルや業界知識が不足していることが前提です。
そのため、企業は体系的な研修プログラムや、マンツーマンでのOJT体制を長期にわたって整備・運用する必要があります。
特に中小企業やスタートアップなど、リソースに限りがある企業にとっては、初期投資としての教育費用や、既存社員の指導負担が重くのしかかる可能性があります。
ポテンシャル採用は、将来の可能性という抽象的な要素を評価軸とするため、一般的な中途採用に比べ、採用ミスマッチが起きやすい傾向があります。
応募者側は「成長できそう」というイメージで入社を決意しがちです。しかし、入社後に仕事の現実や求められる水準についていけず、早期離職につながるケースが見られます。一方、企業側も応募者の持つ意欲や適性を見誤り、「期待したほどの成長が見られない」と判断してしまうリスクを抱えています。
このミスマッチを防ぐためには、採用プロセスにおいて、応募者が入社後のリアルな業務や環境を正確に理解できるような丁寧な情報開示と、明確な評価基準の設定が不可欠です。

ポテンシャル採用を単なる未経験者歓迎で終わらせず、組織の成長につなげるためには、戦略的な準備と明確な基準の設定が不可欠です。
ここでは、採用の精度を高め、ミスマッチを防ぐための重要なポイントを解説します。
ポテンシャル採用においては、自社が求めるポテンシャルを具体的に定義し、評価基準として社内全体で共有することがポイントです。
評価軸が抽象的だと、評価基準が曖昧になり、面接官や部署間で大きなブレが生じやすくなります。その結果、採用の精度が落ち、ミスマッチの原因となってしまうからです。
定義を具体化するには、「粘り強さ」や「論理的思考力」といった具体的な行動特性に落とし込み、評価基準としてマニュアル化するのが効果的です。
ポテンシャル採用を実施する際は、まず応募者の「成長したい」という方向性を把握し、企業のキャリアパスが一致するかを確認しましょう。
ポテンシャル採用者は将来性を最も重視しており、入社後にキャリアビジョンが不明確だと、モチベーションの低下やミスマッチによる早期離職を招くからです。キャリアの一致は、彼らの入社後の定着と貢献意欲に直結します。
面接では、応募者が抱く長期的なビジョンや「3年後にどのようなスキルを身につけたいか」といった具体的な目標を深くヒアリングします。そして企業側は、自社のどの部署で、どのような経験を積ませることでその目標が実現できるかを具体的に提示しましょう。
ポテンシャル採用は「育てていくこと」が前提であるため、採用活動と並行して、人材育成の体制が万全であるかを事前に確認・整備することが不可欠です。育成体制が整っていないと、採用した人材が放置されて早期離職したり、期待通りに戦力化しないという失敗を招きます。
具体的には、新卒や中途向けの体系的な研修プログラムが用意されているか、現場配属後にマンツーマンで指導するOJT担当者の割り当てが可能か、そして指導する社員に育成スキルがあるかをチェックしなければなりません。
育成体制が不十分なまま採用を進めてしまうと、現場の負担が増大するだけでなく、応募者とのミスマッチが発生します。
ポテンシャルという抽象的な要素を多角的に評価するためには、評価者の主観によるブレを防ぐ体制とツールの導入が重要です。評価基準を明確にしても、その解釈が人によって異なると、選考の公平性や再現性は担保できません。
このブレを防ぐため、まず面接官トレーニングを徹底し、共通の評価基準に則って判断できるよう指導します。さらに、選考過程全体で応募者の能力や性格特性を客観的に測るために、アセスメントツール(適性検査)を導入するのも有効です。
これらの客観的なデータとトレーニングされた面接官による多角的な評価体制を整えることで、ポテンシャル採用は曖昧な感覚論から脱却し、成果の再現性の高い戦略的な人材投資へと進化させることができます。
ポテンシャル採用は、企業の未来の成長を担う人材を内部から育てる戦略的な投資です。即戦力ではなく、高い学習意欲を持つ若手をターゲットとすることで、組織の多様性確保、活性化、世代交代といった多くのメリットをもたらします。
一方で、育成コストやミスマッチといったデメリットを理解し、戦略的に取り組むことが成功の鍵となります。具体的には、求めるポテンシャルを定義し、キャリアと育成体制を一致させること、そして評価ブレを防ぐための客観的なツールと体制を整えることが不可欠です。
これらのポイントを実践し、変化に強い「自走できる人材」を獲得することで、企業の持続的な成長を実現させましょう。
もし、採用活動に行き詰まっていたら、人材採用のプロフェッショナルであるアズライトに相談してみましょう。課題解決の糸口を得られますよ。
この記事の監修者
株式会社アズライト 佐川稔
株式会社アズライト代表取締役。採用がうまくいかない優良企業を採用できる企業へ改革するために、戦略・運用に特化した採用コンサルティングファーム「株式会社アズライト」を創業。キャリアに悩む方々のために就活・転職相談BAR「とこなつ家」を池袋にて共同経営中。
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