採用手法
採用戦略
2026.1.29
この記事の監修者:
株式会社アズライト 佐川稔

「求人を出しても応募が少ない」「内定辞退が続く」
採用活動が思うように進まず、悩んでいる企業担当者の方は多いでしょう。今や、採用は「待ち」の時代から「攻めの時代」に完全に移行しているのが現状です。
採用がうまくいかない原因は、少子高齢化やキャリアの多様化といった外部要因に加え、企業内に潜む曖昧な人材定義や非効率な選考プロセスといった、自社で解決すべき内部要因が複雑に絡み合っていることにあります。
本記事では、採用が停滞する根本原因を外部・内部要因に分けて網羅しました。

外部要因とは、社会全体の動向や労働市場の変化など、個々の企業努力だけでは変えにくいマクロな要因を指します。
採用活動がうまくいかないと悩む企業にとって、これらの外部要因を正確に把握することは、現状を打開するための戦略的基盤となります。
ここでは、採用活動がうまくいかない場合の根本的な原因について、外部要因に絞って解説します。
日本社会における少子高齢化の加速は、採用難の最も根深い要因です。
生産年齢人口の継続的な減少により、労働市場全体の母数が縮小し、従来手法では十分な応募者確保が難しくなっています。この影響は、待遇面で劣る中小企業において特に顕著で、求める人材を採用できない状況が常態化しています。
また、今後の企業成長の担い手となる若年層の労働力が希少化している点も大きな課題です。企業は、既存の枠組みを超えた魅力的な条件や、長期的な育成計画を提示しなければ、優秀な若手人材を確保するのは難しい状況にあります。
この構造的な問題は、一企業では解決できないため、採用活動における前提条件として受け入れ、戦略の抜本的な見直しを迫られています。
終身雇用制度が実質的に崩壊し、個人のキャリアに対する価値観は劇的に変化しています。もはや大企業の安定性や高い給与だけでは、優秀な人材を引きつけられません。これは、新卒採用で人が集まらない一因となっています。
求職者は、給与や待遇に加え、ワークライフバランスや成長機会、企業理念への共感、柔軟な働き方(リモート、フレックスなど)を企業選びの重要な軸として重視しています。また、フリーランスや副業も一般化している中、企業「正社員」という雇用形態だけで人材を囲い込むのは困難です。
企業側は、この多様なニーズに応える柔軟な働き方を提示できなければ、採用競争から脱落してしまうという厳しい現実があります。
デジタル化や新規事業の推進により、企業が求める人材の専門性・難易度が質・量ともに上昇しています。特にITエンジニアなどのDX人材は、業界を問わず争奪戦となっており、需要に供給が追いついていません。
このような状況で中途採用がうまくいかない背景には、労働人口減少に伴う即戦力志向の強まりがあります。すぐに貢献できる人材を求める傾向が強まった結果、採用ターゲット層が極端に絞られてしまっているのが現状です。
求めるスキルレベルが高まる一方で、採用側の定義が曖昧だとミスマッチが発生しやすく、早期離職につながり、採用活動の難易度をさらに押し上げています。

外部要因が採用活動の難易度を引き上げているとしても、多くの企業では、企業努力で改善できる内部要因がボトルネックとなり、採用失敗を決定づけています。
採用が停滞していると感じる場合、まずその採用の課題の根源である、自社の体制やプロセス、戦略に潜む以下の問題を徹底的に見直す必要があります。
ここでは、採用活動がうまくいかない場合の根本的な原因について、内部要因に絞って解説します。
採用活動の出発点である「どんな人物を採用するか」という人材定義が曖昧な場合、プロセス全体に深刻なブレを生じさせます。
人材定義が曖昧であると、面接官が共通の基準を持てず、選考の質が属人的になってしまいます。特に現場部門と人事部門の間で求める人物像(採用ペルソナ)の認識が異なると、これが顕著です。
また、そもそも明確な定義がないままでは、企業の魅力や入社後に期待する役割が求職者に正しく伝わりません。その結果、優秀な人材の応募自体を遠ざけてしまうことになりかねません。
採用は単なる「欠員補充」ではなく、事業成長のための投資として位置づけるべきです。しかし、多くの企業では、採用計画が短期的な補充の繰り返しに終始し、中長期の事業計画と連動していないことが大きな問題となっています。
採用活動を成功させるためには、例えば、3年後の事業拡大に必要な人材構成や、技術革新に対応するためのスキルセットを逆算して計画を立てることが重要です。これができていないと、場当たり的な採用になってしまいます。
また、採用目標人数や予算設定が、市場の状況に対して非現実的であれば、採用活動を失敗ありきで進めてしまう根本的な原因となります。
労働市場が縮小している現代において、人材から応募してくる「待ち」の採用手法はもはや通用しません。この環境下で、求人広告や人材紹介会社といった従来の手法に依存しすぎている企業は、採用競争から後れをとってしまいます。
特に、市場価値の高い専門人材や現職で活躍中の人材を獲得するには、企業が自社の魅力を能動的に発信し、潜在的な候補者に直接働きかける「攻めの姿勢」が不可欠となります。優秀な人材ほど、すでに他社からの魅力的なオファーやリファラルでの声かけを受けているものです。
多様なチャネルを活用し、ターゲットに合わせた戦略的なアプローチを行うことが、今の採用活動の成否を分けます。
面接官や採用担当者の経験不足が原因で、求職者の見極めができていないケースもあります。
採用担当者が、事前に定義された採用要件やペルソナを深く理解していないと、候補者がその要件に合致しているかを客観的・論理的に判断することが難しくなります。結果として、面接における質問が抽象的になったり、職務経験の表面的な確認に終始したりしがちです。
これにより、候補者の潜在能力や、自社の組織文化への適合性を見抜けず、「なんとなく良さそう」といった主観的な判断で選考が進んでしまいます。
経験不足からくる見極めの失敗は、入社後のミスマッチや早期離職を招き、採用活動全体を非効率にする決定的な原因となります。
採用競争が激化している現代において、選考期間の長期化は、機会損失の最大の原因となります。優秀な人材ほど、複数の企業から内定を得ていることが多く、内定の連絡や合否の判断に時間がかかると、他社に流れてしまうためです。
特に、新卒採用フローにおいては選考ステップの多さ、中途採用フローにおいては最終面接後の意思決定の遅延や日程調整に手間取ることが、「優秀な人材を逃している」 可能性を高めています。
市場のスピードに合わせて、選考プロセスの迅速化と効率化を図れていないことは、大きな内部的なボトルネックとなります。
内定通知を単なる「合格通知」として事務的に済ませてしまうと、求職者は「なぜ自分が選ばれたのか」という納得感や特別感を得られません。
内定者が入社を最終決定するためには、「あなたのどのようなスキルが、当社のどの事業や課題解決に不可欠なのか」という、具体的な貢献への期待を明確に伝える必要があります。
この意図が不明確だと、求職者は企業から単なる代替可能な人材として見られていると感じ、他社の熱意あるオファーと比較された際に、辞退する大きな理由になってしまいます。
内定を出してから入社までの期間に、内定者とのコミュニケーションやフォローアップが不足していると、内定辞退のリスクが大幅に高まります。内定承諾から入社日までの期間は、求職者が本当にこの会社で良いのかを再考する最も不安になりやすい期間だからです。
特に期間が数ヶ月にわたる場合、候補者の入社意欲が低下したり、他社からのオファーに心が揺らいだりする可能性が増大します。
内定者懇親会や社員との定期的な交流、配属予定部署の業務に関する情報提供など、入社への期待感と安心感を高めるフォローが欠かせません。

採用活動の成功には、外部環境を理解し、前述した内部要因のボトルネックを解消するための抜本的な対策が不可欠です。
ここでは、採用の停滞を打破し、企業成長に必要な人材を獲得するための具体的な解決策を提示します。特に、新卒採用における効果的な打ち手も含めて解説します。
採用活動を成功させるための最初のステップは、明確な人材定義(採用ペルソナ)を確立することです。明確な人材定義は、その後の選考プロセスの設計と採用活動全体の質を高めるための土台となります。
人材定義は、事業計画に基づき、「入社後にどのような役割を果たし、どのような成果を出すか」を具体的に言語化する必要があります。また定義を策定する際は、人事だけでなく、実際に受け入れる現場の社員からの意見を十分に反映させましょう。
現場の実態に即した、主観の入らない選考軸が確立され、「なんとなく優秀そう」といった曖昧な判断を排除できます。
人材定義が明確になったら、それに合わせて採用基準と評価プロセスを再構築します。
まず、現在の人員配置や業務負荷を評価し、本当に必要なポジションや採用人数を特定します。その上で、選考基準や面接手法には一貫性をもたせることが重要です。
特に、面接官によって評価にブレが生じないよう、評価項目や質問例を記載した「面接官マニュアル」を作成し、全関係者に向けたトレーニングを徹底しましょう。
また、現代の採用においては、スキルだけでなく、企業の価値観や文化に合うかというカルチャーフィットを客観的に見極める基準も導入することで、入社後のミスマッチや早期離職を防げます。
従来の求人広告や紹介会社頼みの「待ち」の姿勢から脱却し、「攻め」の採用手法を導入することが求められます。
具体的には、転職意欲の低い潜在層に直接アプローチするために、SNSやオウンドメディアを活用した情報発信、すなわち採用ブランディングを強化します。
また、社員の知人を紹介してもらうリファラル採用は、カルチャーフィットする人材を低コストで獲得できる有効な手法であり、積極的な推進が不可欠です。
さらに、市場価値の高い専門人材には、ダイレクトリクルーティングやヘッドハンティングサービスを積極的に活用し、企業側から能動的にコンタクトを取ることが重要です。
採用における認知度とは、単に企業名が知られていることではなく、「そこで働くイメージが具体的であるか」を指します。特に、新卒採用で「応募者が来ない」という課題に直面している企業は、このイメージ不足が原因かもしれません。
対策としては、自社の事業内容や働く環境、社員のキャリアパス、企業文化といった情報を、ターゲット層が利用するチャネルで継続的に発信する採用ブランディングを強化しましょう。
特にオウンドメディアや採用サイトを通じて、現社員のインタビューや仕事のプロセスを公開するのが効果的です。これにより、求職者は入社後の自分を具体的にイメージし、応募への意欲を効果的に高められます。
採用市場は常に競争下にあります。競合他社がどのような人材をどのような条件で募集しているかを分析し、自社の独自の強みを明確に打ち出すことが重要です。
給与や待遇だけで勝てない場合は、柔軟な働き方(リモートワーク、フレックス)、手厚い教育制度、挑戦できる企業文化といった非金銭的な魅力(EVP) を強調しましょう。
求職者が「この会社を選ぶ理由」を明確に提示することで、競争優位性を確立し、他社に流れる人材を引き留められます。
採用活動のスピードと質を向上させるためには、必要なリソース(人員、予算、時間)の確保が不可欠です。
採用活動への全社的な関与度が高まれば、採用活動への協力体制が強化され、選考スピードが向上するだけでなく、現場の目線で企業文化にフィットした人材の選定が可能になります。
そのため、採用を人事部門だけの仕事にせず、全社的な最重要プロジェクトとして位置づけ、現場の社員を面接官やリクルーターとして積極的に巻き込みましょう。
特に、経験豊富な社員を面接官にアサインするための工数確保や、採用活動に関わる人材への適切な教育と権限委譲を行うことが、採用力強化に直結します。
採用活動のすべてを自社で賄おうとせず、外部の専門的なサービスを戦略的に活用します。
例えば、採用代行(RPO)サービスを利用して、煩雑な日程調整や初期コミュニケーションをアウトソースすることで、採用担当者は面接や戦略立案といったコア業務に集中できます。
また、採用コンサルティングサービスを活用し、自社の採用課題を客観的に分析してもらうのも有効です。市場の変化に合わせた最適な戦略を外部の知見と共に立案し、内部的なボトルネック解消のスピードを速めることができます。
採用難の時代を乗り越えるには、外部要因を前提とした上で、自社の内部課題を直視し、抜本的な解決策を実行することが不可欠です。
成功への鍵は、事業計画に紐づいた明確な人材定義を軸とすることにあります。この軸を基に、選考プロセス全体の迅速化・効率化を図らなければなりません。
そして何よりも重要なのは、採用を人事部門だけのタスクではなく、全社的な最重要プロジェクトとして位置づけ、社員全体で「攻めの姿勢」を持つことです。
これらの対策を実行すれば、厳しい外部環境の中でも、企業成長を支える優秀な人材を獲得できる、揺るぎない採用力を手に入れられるでしょう。
自社での解決が困難な時は、採用のプロフェッショナルに相談することをお勧めします。豊富なノウハウで採用成功へ導いてくれます。

この記事の監修者
株式会社アズライト 佐川稔
株式会社アズライト代表取締役。採用がうまくいかない優良企業を採用できる企業へ改革するために、戦略・運用に特化した採用コンサルティングファーム「株式会社アズライト」を創業。キャリアに悩む方々のために就活・転職相談BAR「とこなつ家」を池袋にて共同経営中。
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