TOPkeyboard_arrow_right採用ノウハウkeyboard_arrow_right採用代行keyboard_arrow_right

採用代行は違法になる?委託募集・職業紹介の許可やリスクを正しく解説

採用代行

  • local_offer

    採用代行

2026.2.3

採用代行は違法になる?委託募集・職業紹介の許可やリスクを正しく解説

この記事の監修者:

株式会社アズライト 佐川稔

採用代行(RPO)は、採用効率化の切り札ですが、「無許可で依頼したら違法になるのでは?」「どこからが許される範囲?」といった不安を抱える人事担当者の方は少なくありません。

実際、採用代行の業務には「委託募集」や「職業紹介」に該当する行為が含まれることがあり、適切な許可や手続きなしに進めると違法となるリスクがあります。

特に、無許可の業者への依頼や、個人情報管理の不備は、最終的な雇用主である企業側にも法的責任が及ぶため要注意です。

この記事では、採用代行が違法となる具体的なケースから、委託募集許可が必要・不要な境界線、そして許可の申請手順までを詳しく解説します。安全かつ合法的にRPOを活用し、採用を成功させるための業者選定のポイントやリスク回避策を、この記事で確認してください。

採用代行が違法となるケース

採用代行が違法となるケース

採用代行サービス自体は合法ですが、その業務内容が職業安定法などの法令に抵触する場合、委託元の企業と代行業者双方に違法性が生じるリスクがあります。

ここでは、特に注意すべきケースを紹介します。

「委託募集」の許可がない場合

企業が報酬を支払い、外部業者に応募者の選考や採用決定につながる「募集」に関する行為を委託する場合、原則として委託元企業は、職業安定法第36条第1項に基づく「委託募集」の許可が必要です。

この許可がないにもかかわらず、採用代行業者に以下のような募集行為を行わせると、違法となります。

  • 実質的な面接の代行や、選考基準に基づいた合否判断を行う

  • 単なる日程調整や事務手続きを超え、求職者に対し労働条件の詳細な説明や内定通知など、採用決定の核となる行為を実施する

無許可で募集に該当する業務を外部委託した場合、委託元企業と受託業者の双方が職業安定法違反となり、罰則(1年以下の懲役または100万円以下の罰金など)の対象となる可能性があります。

「職業紹介」に該当する業務を無許可の業者に委託する場合

採用代行は、企業の採用プロセスを代行するサービスであり、求職者と企業の間を仲介・斡旋する「職業紹介」とは法的に区別されます。

職業紹介とは、求人者と求職者の間における雇用関係の成立をあっ旋する行為を指し、実施するには厚生労働大臣の「有料職業紹介事業の許可」が必須です。この許可がない業者に、雇用関係の成立を目的としたあっ旋行為を委託・受託することは、職業安定法違反となります。

無許可で職業紹介事業を行った場合、罰則(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)が科せられる可能性があります。企業は、委託した業務が代行の範囲内であるか、無許可の職業紹介にあたらないかを厳しく確認する必要があります。

労働関連法規に違反する場合

採用代行業者が、採用活動の過程で労働基準法や男女雇用機会均等法などの労働関連法規に違反する行為を行った場合、最終的な雇用主である委託元企業が責任を問われます。

これは、企業には委託先の行為が法規に適合しているかを監督する責任があるためです。

特に、以下の行為は、職業安定法や労働基準法に抵触するリスクがあります。

  • 虚偽・誇大な求人情報の提示:労働条件や給与面で虚偽の記載を行い、実際の労働環境と著しく乖離した内容を提示すること

  • 不当な差別的な選考:性別や年齢などに基づき、正当な理由なく応募者に対して差別的取り扱いを行うこと

法令遵守を怠り、虚偽の求人広告や不当な選考が問題化すると、労働局の調査が入るだけでなく、企業のブランドイメージや信頼性に大きな打撃を与えます。

個人情報管理を怠る場合

採用代行業務では、履歴書や職務経歴書など機密性の高い応募者の個人情報を取り扱うため、情報セキュリティの脆弱性は法的リスクに直結します。求職者の個人情報は企業の信頼に直結する重要な資産です。

過去には、代行業者での情報管理不備による情報漏洩が発生し、個人情報保護法違反として行政指導を受けた事例があります。情報漏洩は、企業が負う個人情報保護法に基づく委託先の監督義務に違反するため、極めて深刻です。

万が一、情報漏洩が発生した場合、代行業者だけでなく委託元企業も法的責任や損害賠償リスクを負い、甚大な社会的信用の失墜を招きます。

採用代行の委託募集許可が必要・不要なケース

採用代行の委託募集許可が必要・不要なケース

採用代行において、委託募集の許可が必要かどうかは、委託する業務が「労働者の募集」に該当するかによって決まります。これは職業安定法に定められており、採用活動のどのフェーズまでを代行業者に任せるかが判断のポイントとなります。

委託募集許可が必要なケース

企業が採用代行業者に対し報酬を支払い、応募者の選考や採用の可否決定に影響を与えるような「募集」に関する行為を委託する場合、原則として「委託募集」の許可を、委託元企業が取得する必要があります。これは、実質的な募集行為を行う際に必要な法的手続きです。

許可が必要な主な業務例(募集行為)

  • 評価や合否に関する意見具申を行う場合

  • 選考基準に基づき、通過者を選定するなど実質的な選考業務を行う場合

  • 労働条件など重要な条件について、代行業者が主体的に交渉・決定し、提示する場合

  • 代行業者が選考結果に基づき、採用の可否を最終的に判断する場合

これらの募集行為を無許可で委託・受託すると、職業安定法違反として罰則の対象となるリスクがあります。

委託募集許可が不要なケース

採用代行に委託する業務が、応募者の選考や採用の可否に影響しない、単なる事務手続きや情報の伝達にとどまる場合は、委託募集の許可は必要ありません。

これは、職業安定法で規制される「募集」行為を伴わない、純粋なアウトソーシング(事務代行)と見なされるためです。

許可が不要な主な業務例(事務代行)

  • 採用計画の立案、求める人物像(ペルソナ)やKPIの設定

  • 面接の日時調整や会場案内、合否連絡の伝達(決定は企業が行う)

  • 求人広告の原稿を作成する作業や、掲載媒体の選定、運用管理

重要なポイントは、代行業者に委託する業務が採用判断という意思決定のプロセスに一切関与しないことです。代行業者が、企業の指示や決定に基づき、作業を代行するに留まっていれば、原則として委託募集の許可は不要と判断されます。

委託募集の許可を申請する方法・手順

委託募集の許可を申請する方法・手順

採用代行において委託募集の許可が必要となった場合、委託元企業(募集主)は、職業安定法に基づき、所定の手順で許可申請を行う必要があります。

ここでは、委託募集許可の申請をスムーズに進めるための具体的なステップを解説します。

申請に必要な書類を用意

まず、厚生労働省が定める様式に従い、「委託募集許可等申請書(様式第3号)」を作成します。この申請書には、募集を行う職種、募集地域、募集人数、期間、および受託する採用代行業者の情報などを詳細に記載します。

さらに、報酬を支払って委託募集を行う場合は、報酬の額についても認可を得る必要があるため、別途報酬認可申請書の作成も必要です。

主要な必要書類としては、これらの申請書のほか、募集を行う事業所の概要を証明する書類や受託者に関する書類などが挙げられます。提出時には内容を証明する資料の添付も求められることがあるため、事前に所轄の労働局等に確認しておきましょう。

提出先(厚生労働大臣か労働局長か)を確認

申請書の提出先は、委託募集の規模によって異なります

原則として、募集事業所の所在地を管轄する都道府県労働局長へ提出しますが、以下のいずれかの条件に該当する場合は、特例として厚生労働大臣の許可が必要となります。

  • ひとつの都道府県から募集する人数が30人以上になる場合

  • 募集人数総数が100名以上になる場合

この募集規模に応じた提出先の判断は極めて重要です。なぜなら、提出先によって書類の提出期限が異なっており、誤った提出先に申請すると、書類が管轄外として差し戻しになったり、審査が遅延したりする結果となり、計画通りに募集を開始できなくなるためです。

書類の提出期限を確認・提出

委託募集の許可申請には、募集開始日から逆算して厳密な提出期限が設けられています。

提出期限は提出先によって異なり、目安として以下の通りです。

  • 厚生労働大臣に提出する場合:募集開始月の21日前まで

  • 都道府県労働局長に提出する場合:募集開始月の14日前まで

期限を過ぎて申請した場合、募集開始までに許可が間に合わず、企業が無許可のまま募集行為を行うことになり、職業安定法違反として違法となるリスクが生じます。

このリスクを避けるため、申請スケジュールに十分な余裕を持った計画を立て、書類に不備がないように準備することが不可欠です。なお、募集主(企業)に代わって、採用代行業者が提出を代行することも可能です。

審査結果を待つ

提出された申請書は、労働局または厚生労働省によって厳格な審査が行われます。この審査では、職業安定法に基づく許可基準を満たしているかどうかが厳しく確認されます。

ここで重要なのは、無事に許可が下りた後でなければ、採用代行業者は委託された募集行為を一切開始できないということです。

もし、許可を得る前に募集行為を開始した場合は、職業安定法違反となり罰則の対象となります。採用活動は、必ず審査結果を待ってからスタートしましょう。

違法リスクを避けて採用代行業者を選ぶポイント

違法リスクを避けて採用代行業者を選ぶポイント

採用代行を安全かつ効果的に活用するためには、法令違反となるリスクを理解するだけでなく、それを未然に回避できる強固な体制を構築することが重要です。

ここでは、違法性のリスクを最小限に抑えるため、「信頼できる業者の選定」と「リスクを管理する社内体制の構築」という二つの側面から、具体的なポイントを解説します。

信頼できる業者を選ぶ

採用代行の違法リスクを回避するには、コンプライアンス体制を欠いた業者を選ばないことが絶対条件です。自社に許可があっても、委託先の行為で違法リスクを負う可能性があります。

業者選定時には、以下のポイントを徹底的にリサーチしましょう。

  • 職業紹介事業許可を適正に取得しているか

  • 委託する業務内容に応じて必要な委託募集の届出・許可があるか

  • 職業安定法や個人情報保護法に基づくコンプライアンス体制が確立されているか

  • 情報セキュリティ体制(Pマーク、ISMS認証など)が整備されているか

  • 業務範囲、責任の所在、法令違反時の対応などが明確な契約書を締結できるか

  • 自社の業種に関する専門性や実績があるか

これらの法的要件や体制が確認できない業者とは、絶対に契約を結ばないようにしましょう。

顧問弁護士や社会保険労務士の手を借りる

法律に違反するリスクを自社だけで回避できるか不安な場合は、顧問弁護士や社会保険労務士といった専門家の知見を活用するのが最も有効です。

採用代行の利用時の法的リスクを未然に防ぐため、契約締結前やサービス導入時に専門家の手を借りましょう。

専門家を活用する主な目的は、以下の通りです。

  • 顧問弁護士によるリーガルチェック:委託契約書に記載された業務範囲が、無許可の委託募集や職業紹介の規制に抵触しないかを厳しくチェックしてもらえる

  • 社会保険労務士による労務管理:労働基準法に基づいた適切な労働条件の設定や、応募者の個人情報管理など、労務面における法的適正化を任せられる

上記以外にも、労働局の相談窓口や、自社の属する業界団体のガイドラインなども積極的に活用し、専門的な視点から多角的に法令遵守を徹底しましょう。

法律や採用についての適切な社内教育を実施する

採用代行業者に委託しても、最終的な雇用主としての責任は委託元企業にあります。違法リスクをゼロにするには、採用活動に関わる全社員の法令理解と社内体制の強化が不可欠です。

以下の3点を通じて、適切な業務遂行の文化を醸成しましょう。

  • 監督責任の理解と履行:企業が負う委託先への監督義務を正しく理解し、業者作成の求人広告や選考プロセスに対し、定期的なチェックを徹底する

  • 法令遵守の徹底と研修の実施:職業安定法、労働基準法、個人情報保護法など、関連法令の知識について社員に対し定期的に研修を実施し、法令遵守意識を根付かせる

  • 統一的な基準の保持:社内と代行業者との間で、採用基準や労働条件の提示方法に齟齬が生じないよう、明確なマニュアルを作成し、周知徹底する

採用代行の成功は、外部の力だけでなく、企業内部のコンプライアンス意識によって支えられます。

採用代行の違法性のまとめ

採用代行は業務効率化に大きく貢献しますが、その利用には職業安定法に基づく委託募集や職業紹介に関する法的リスクが常に伴います。

採用代行が違法となる主なケースは「無許可での募集行為(委託募集)」「無許可業者への職業紹介業務の委託」「労働関連法規の違反」「個人情報管理の不備」の4つです。

採用代行の成功は、外部業者のスキルだけでなく、最終的な雇用主としての監督責任を果たす企業側のコンプライアンス意識にかかっています。

許認可の明確化、信頼できる業者の選定、そして継続的な監督と社内教育を徹底することで、違法リスクを回避して、採用代行を最大限に活用しましょう。

採用代行(RPO)についての詳細はこちら

この記事の監修者

株式会社アズライト 佐川稔

株式会社アズライト代表取締役。採用がうまくいかない優良企業を採用できる企業へ改革するために、戦略・運用に特化した採用コンサルティングファーム「株式会社アズライト」を創業。キャリアに悩む方々のために就活・転職相談BAR「とこなつ家」を池袋にて共同経営中。